平成28年度保育所等一斉入所申込状況分析、第14回もリクエストにお応えして西区を取り上げます。

西区前編(区全体)の続きとして、今回は保育所別について記載します。

※10月28日に発表された数字に基づきます。

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昨年と比較して入所倍率が0.3倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.3倍以上減少した箇所は水色で、入所倍率が2倍を超えている箇所は赤で表示しています。
なお、申込があるにも関わらず募集数が「0人」の箇所は、便宜的に倍率を99.99倍としています。

0-5歳保育を行う保育所へ第1希望が集中一

全市的に0-2歳児までの保育を行う保育所・地域型保育事業よりも、0-5歳児の保育を同じ場所で行う保育所を第1希望として申し込みを行う傾向があります。

大阪市天王寺区等で数多くの保育所等を運営されている蓮美幼児学園の学園長先生も、同様の内容をブログに記されています。希望順位を決めるにあたり、保育年齢が極めて重要な一要素になっているとうかがえます。

地元大阪市の認可保育園への申し込み状況が市役所のホームページに公開されました。
私ども含めて、募集人員を超えた申し込みがあるのは、ほとんどが0~5歳児の大規模園となります。
小規模保育園とか分園は進級のことを考えて控えられる傾向にあるようです。

保育所入所状況に思うこと(蓮美幼児学園ブログより)

特に西区はそうした傾向が強く、極めて多くの第1希望が殺到する保育所とそうでない保育所等が綺麗に別れてしまっています。

0-2歳児までの保育所等へ入所した場合、3歳児で改めて他の保育所等へ入所する必要があります。西区は3歳児入所倍率が7.67倍と市内で最も厳しくなっています。東部地区では私立幼稚園という選択肢も難しく、卒園後の預け先に不安を感じるのも無理はありません。

新町第二保育園の開所延期発表前の数字か?

西区の保育所入所に大きな影響を及ぼしているのが新町第二保育園の開所延期です。中間発表の数字は、開所延期を発表する前のものでしょう。同保育所を第1希望としていた児童が中間発表でどこに含まれているかは不明です(第2希望の保育所を第1希望と見なされた?)。いずれにしろ、12月4日の締切期限までに新町保育園等に第1希望を変更される方が少なくないでしょう。

堀江敬愛保育園は約6倍

西区で入所倍率が最も高かったのは、堀江敬愛保育園の5.95倍でした。平成26年初夏に開所した、新しい保育所です。何と113人の児童が第1希望として申し込んでいます。3桁を超える保育所はごく僅かです。またm開所当初は定員に余裕があった4-5歳児が持ち上がりによって埋まり、募集数が19人まで減少したのが全体の倍率を跳ね上げています。

0歳児から3.22倍という高倍率、1歳児は5.67倍、2歳児は申込20人に対して募集0人です。フルタイム共働きに加えて高い加算点がなければ入所は困難でしょう。多くはきょうだい加算児童で埋まってしまいそうです。

同保育所が開所した当時は一斉入所募集に間に合わず、3月末を締切としたけい年度途中入所募集(5月開所)が行われました。一斉募集終了直後の大規模募集であり、フルタイム共働きに満たない点数の児童も多く入所できたと聞きました。当時と今、入所に必要な点数が余りに違って驚きです。

西六保育園は3.56倍へ低下

昨年までの3年間で入所倍率が最も高かったのは西六保育園でした。昨年は5.54倍という高さでしたが、今年は3.56倍へ低下しました(それでも高い)。募集数はほぼ昨年同数ですが、第1希望が昨年の133人から96人へと減少したのが原因です。昨年の高倍率が敬遠されたと同時に、なにわ筋を挟んだ東側に新設されたYPC保育園を第1希望とした児童(34人)が多いのでしょう。

とは言っても、同保育所は依然として極めて高い倍率のままです。1歳児は4.67倍、2歳児は3.14倍、3歳児は6.50倍です。フルタイム共働き&高い加算点が必要でしょう。今年は少し下がると思いますが、H27一斉入所での入所者平均点205.3は市内トップクラスです。

昨年まで極めて極めて多くの申込者があったのは、地理的要因が見逃せません。長堀通・新なにわ筋・中央本通・中央区境に囲まれた広い地域にある保育所は、昨年までは西六保育園のみでした。西区は圧倒的に保育所が不足しています。

りんりん保育園も高倍率

堀江敬愛保育園と同時期に開所したりんりん保育園も3.53倍という高倍率です。靱公園の周辺は住環境に恵まれており、次々と子育て世帯向けの大型マンションが建設されています。

同保育所は1歳児の入所倍率が6.00倍と極めて高くなっています。反面、0歳児は1.53倍とやや落ち着いています。西区では他の保育所も0歳児と1歳児の違いが極めて大きくなっています。行政コストが高くて多くの保育士を必要とする0歳児保育を縮小し、より多くの1歳児以上保育を行うという選択肢もあり得るでしょう。

なお、りんりん保育園及び周辺にあるYMCAとさぼり保育園・ポプラ保育園・うつぼほんまち保育園はいずれも2-3歳児募集予定数が皆無です。西区北東部の2-3歳児は入所先が全くありません。年度末に退所者が出てたまたま入所できる可能性もありますが、どうにもなりません。酷いです。

相対的に入所しやすい西区西部

多くの保育所が極めて高い入所倍率となっている西区東部と比較し、木津川以西の西部地区は相対的に入所しやすくなっています。

この地域で入所倍率が最も高いのは梅本保育所の2.42倍です。木津川の畔にあり、東部地区からも多くの方が第1希望としているのでしょう。阿波座ライズタワーズ フラッグ46から近く、入居を予定されている方が第1希望としそうです。1歳児は募集12人に対して第1希望が27人となっています。西保育所も1.36倍と落ち着いています。鈴の音保育園・ほっぺるランド国津橋も似た傾向です。

しかし、倍率が低いから入所しやすいとは言い難いのが西区西部です。というのは、東部地区の保育所を第1希望等とし、やや低い順位で西部地区の保育所を記入している児童が見込めるからです。

保育所入所が極めて厳しい東部地区では、200点を超える高い点数であっても入所できない児童が少なくないでしょう。こうした児童が西部地区の保育所へ申し込んで入所が決まる場合、高い点数であっても劣後する児童が入所できなくなってしまいます。

見た目の倍率と入所に必要な点数の乖離が激しいのが西部地区です。2倍未満・1倍前後だと言っても安心できません。

西区東部の0-5歳児保育所以外の選択肢

記したとおり、西区東部での入所は極めて困難です。多くの場合、許容可能な他の選択肢を検討する必要があります。

一つは0-2歳児までの保育を行う保育所・地域型保育事業です。西区ではこうした保育所等が少なくありません。2歳児までは比較的近い保育所等で過ごし、3歳児以降では改めて考えるという方法です。保育所よりやや低い点数であっても入所できていると推測できます。

問題は3歳児での入所先です。卒園児は連携施設への優先入所、及び6点の加点が加えられます(卒園児以外は減点も加点もなし?)。しかし、3歳児募集数があまりに少なすぎます。入所に向けた保育所探しをもう一度行うのも大変でしょう。

西区東部以外の地域、という方法も考えられます。真っ先に思いつくのは西区西部でしょう(上記参照)。また、中央区西部の保育所は西区東部よりやや入所しやすい傾向があります。タワーマンションの新築が盛んな浪速区北部は西区東部と似た状況であり、やや選択しにくいです。

募集数が多くて登園しやすいのは福島区南部地区の保育所です。上船津橋・船津橋を超えた地域には、数多くの保育所等があります。梅田方面へ通勤するのであれば、ほぼ通勤路に位置するでしょう。大半の保育所は西区東部地区より入所しやすくなっています。橋越えに体力が必要ですが、一つの選択肢です。

西区への転居&保育所入所は熟慮を

こうした通り、西区で保育所へ入所するのは極めて難しいです。計画的に入所したい場合、第1子は年度前半に産んで0歳児入所、第2子以降はフルタイム共働き&きょうだい加算で入所、とまで考えなければなりません。

お子様が小さい内に西区内の新築マンション等へ転居する場合は、保育所入所はより困難になります。1-3歳児入所倍率は極めて高く、多くの保育所では200点あっても入所できないでしょう。

次々と建築されるタワーマンション等に職住近接の良環境を求める共働き子育て世帯が続々と転居し、こうした世帯が求める保育所等の新設が全く追いつかないのが原因でしょう。限られた土地を有効活用するのがタワーマンションのメリットであれば、一定規模以上のマンション建築では敷地内に保育施設を設置する努力義務を負わせるべきではないかと感じています。

参考

【H27保育所一斉入所申込分析】(6)西区前編(区全体)
【H27保育所一斉入所申込分析】(7)西区後編(保育所別)
【H27保育所等一斉入所結果分析】(18)西区
過密する堀江学区(大阪市西区)の教育・保育環境
タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(上)
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