平成28年度保育所等一斉入所申込状況分析、第13回もリクエストにお応えして西区を取り上げます。
西区は市内で保育所入所が最も困難な地域の一つです。
文章量が多いので、前半(区全体)と後半(保育所別)に分割します。
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(11/24追記)
後半(保育所別)を公開しました。
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※10月28日に発表された数字に基づきます。
昨年と比較して入所倍率が0.3倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.3倍以上減少した箇所は水色で、入所倍率が2倍を超えている箇所は赤で表示しています。
なお、申込があるにも関わらず募集数が「0人」の箇所は、便宜的に倍率を99.99倍としています。
入所倍率は市内随一
西区の入所倍率1.93倍は市内で最も高い数字です。昨年の2.05倍から低下したとは言え、依然として極めて高い数字です。2位の阿倍野区(1.52倍)と大きな差があります。
全ての年齢層をまとめた場合、ざっと2人に1人しか入所できない計算となります。年齢や保育所毎の偏りがあるので、入所できる児童は実際にはより少なく、特に「0-5歳までの保育を行う保育所」に限ると更に少なくなります。どうしてこうなってしまったのでしょうか。
申込人数は昨年より88人も増えて722人となりました。特に1-2歳児の申込数が大きく増加しています。タワーマンション等の新築により、西区は就学前児童数の増加が顕著です。職住近接・共働き志向と西区の環境・タワーマンションが上手くマッチングしているのでしょう。
申込数の増加には及ばないまでも、募集人数は65人増えています。主に0-1歳児で増加しています。半分強は地域型保育事業(小規模保育や家庭的保育)によるものです。残りの半分弱は主に新設されたほっぺるランド国津橋とYPC保育園によるものです。
前年通りの0歳児
0歳児は概ね前年通りでしょう。一部保育所へ第1希望が集中していますが、区全体としてみると、ほぼ申込数=募集数となっています。となると、平成27年10月以降に産まれて平成28年4月以降に入所を希望する児童の分の空きが殆どなく、即座に待機児童となる可能性があります(年度途中の定員拡大措置等も一部であるかもしれませんが)。
他区と比較すると、相対的に西区は0歳児募集数が多い一方、1-3歳児募集数が少ない傾向があります。他区以上に「0歳児入所しなければ、保育所入所が一気に難しくなる」という傾向が強いでしょう。
既設保育所へ集中する1歳児
1歳児の入所倍率はやや下がりました。しかし、増加した申込数の多くは既設保育所を第1希望としており、これら保育所の倍率はより上昇しています。
小規模保育等を新設して募集数を増やしても、「0-5歳まで一貫して保育をして欲しい」という多くの保護者のニーズと食い違ってしまっているのが実情です。その為、こうした要件を満たす保育所へ第1希望が集中しています。入所倍率が3倍を超える保育所は珍しくありません。西区では0-2歳児の保育のみを行う乳児保育所も少なくなく、一部保育所への集中に拍車を掛けています。
4人に3人がどこにも入所できない2歳児
2歳児は更に深刻です。申込数は増えたものの、募集数は殆ど増えていません。入所倍率は4倍です。募集予定数ゼロという保育所も目立ちます。そもそも、保育所の2歳児入所枠が少なすぎます。
入所倍率の高さは小規模保育の募集数が皆無なのも一因です。2歳児は1歳児からの持ち上がりを想定しており、募集数がゼロとなっているのが効いています。1歳児が他保育所等へ転所して2歳児の募集を行う小規模保育もありますが、決して多くはないでしょう。
絶望的な3歳児
3歳児は絶望的です。入所倍率は7.67倍です。きょうだい加算・認可外保育施設加算・地域型保育事業等の卒園児ですら入所できない恐れがあります。
他区の3歳児であれば幼稚園の預かり保育という選択肢があります。しかし、西区、特に待機児童問題が深刻な東部では実は私立幼稚園がありません。その為か、3歳児が保育所へ集中する傾向があるでしょう。
影響が大きい新町第二保育園の開所延期
入所倍率の高止まりに至った大きな原因の一つが、新町第二保育園の開所延期です。一斉入所の申込を締め切った後に唐突に発表され、極めて多くの方が影響を受けたでしょう(詳細はこちらとこちら)。
あくまで推測ですが、開所延期の理由は「入札不調」です。認可保育所等整備にかかる工事入札参加業者募集法人の一覧(大阪市)に工事入札を募集している各保育所が掲載されています。同保育園を運営する社会福祉法人大阪愛保会も掲載されています。平成27年10月13日が公告日と記されています。しかし、下の方を見ていくと「8月26日」にも公告が行われています。8月の公告・入札が不調に終わり、改めて10月から公告・入札をやり直したのではないでしょうか。
景気回復・建設関係費用の急騰等により、全国的に公共事業が難航しています。補助金を得て新設される保育所も例外ではありません。無事に入札・建設工事が進められて開所日のメドがたった段階で、改めて年度途中入所の募集が行われるのでないでしょうか。
保育所毎は後編へ
保育所毎の詳細は後編(恐らく週明け)に別記します。多くの保育所の入所倍率が高く、特に一部保育所が著しく高いのには理由があります。
参考
・【H27保育所一斉入所申込分析】(6)西区前編(区全体)
・【H27保育所一斉入所申込分析】(7)西区後編(保育所別)
・【H27保育所等一斉入所結果分析】(18)西区
・過密する堀江学区(大阪市西区)の教育・保育環境
・タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(上)
・タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(下)