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成28年度保育所等一斉入所申込状況分析、第3回はリクエストにお応えして中央区を取り上げます。

※10月28日に発表された数字に基づています。募集数等は今後の変更が想定されています。

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昨年と比較して入所倍率が0.3倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.3倍以上減少した箇所は水色で、入所倍率が2倍を超えている箇所は赤で表示しています。
なお、申込があるにも関わらず募集数が「0人」の箇所は、便宜的に倍率を99.99倍としています。

全年齢で入所倍率は低下、しかし1-2歳児は実質3倍弱

入所倍率はH27の1.62倍からH28は1.41倍へと大きく下落しました。全年齢で下落しています。しかし内訳は大きく変化しています。申込数は134人も増加、そして募集数は141人も増加しています。

申込数が最も増加したのは1歳児の43人、次いで2歳児の37人、3歳児の29人となっています。2-3歳児申込の増加数は市内2位です。一方、募集数は全年齢でほぼ同数で増えています。3-5歳児はあゆみ東保育園及びあい・あい保育園長堀橋園の新設、0-2歳児はそれに加えて小規模保育・家庭的保育の充実によるものです。

これらを踏まえると、保育所に限ると0-2歳児は昨年とほぼ同程度かやや入所しにくくなっていると推測されます。現に0-2歳児の第1希望は一部の保育所に集中しており、極めて高い入所倍率となっています。これらの保育所では少なくとも昨年と同程度の点数が必要だと推測されます。小規模保育等が充実する一方、多くの保護者の第1希望は0-5歳を保育する保育所へ集中しています。1-2歳児の入所倍率は実質的には3倍に近い実感でしょう。

反面、3-5歳児は入所しやすくなっていると推測されます。2保育所の新設が効いています。

上町台地・谷町筋の保育所は高倍率で入所困難

中央区で入所倍率が最も高かったのは、蓮美幼児学園もりのみやナーサリーの4.33倍でした。特に1-2歳児の申込が大きく増加しています。同保育所がある森ノ宮中央2丁目は再開発によって人口が急増している地域です。特に0歳児人口は昨年9月末の37人から今年9月末は倍増の77人となっています。多くの児童が1歳児入所へ申し込んだのだと考えられます。平成26年2月に完成したファインシティ大阪城公園(493戸!)にお住まいの方が多いのではないでしょうか。

次に入所倍率が高かったのは、ゆめ中央保育園の3.88倍でした。第1希望申込が昨年より8人減少し、入所倍率は若干低下しました。同保育所は毎年極めて多くの第1希望申込が集まります。再開発が盛んな上町台地北部に位置し、ビジネス街にも近い立地です。居住者・通勤者、双方からの申込が殺到していると推測されます。入所するには今年も昨年と同程度の高い点数が必要でしょう。

中央区では数少ない市立保育所、南大江保育所は今年も高倍率です。昨年よりやや低下しましたが、今年も2.83倍という高さです。低下した理由は4歳児募集数の増加によるもので、0-3歳児入所は昨年同様に狭き門です。立地の良さと市立らしい園庭の広さが好まれたと考えられます。

南大江保育所の南東にある慶生会上町みどり保育園も3.88倍と高倍率です。募集数が半減した一方、0-1歳児の第1希望申込が倍増したのが理由です。

入所倍率が大きく低下したのはあゆみ保育園です。5.27倍から1.95倍となりました。全年齢の申込数が減少したのに加え、2-3歳児の募集を行うのが一つの理由です。より大きな理由は、系列園たるあゆみ東保育園の新設です。両園は最寄駅が共に谷町六丁目であり、登園区域は重複しているでしょう。同駅より北に居住・通勤している方があゆみ東保育園を第1希望にしたと推測されます。

あゆみ東保育園は特に1-3歳児で多くの申込が集まっています。中央区で募集数が少なく、最も入所しにくい年齢と一致しています。下の年齢からの持ち上がりが無い新設保育所は1歳児以上の募集数が多いのが特色です。その為、募集数が多くて入所しやすい同保育所へ、広い地域から第1希望が集まったと考えられます。なお、同保育所は予定していた4月開所が間に合わない、但し一斉募集の対象のままとアナウンスされています。開所まではあゆみ保育園や各分園にて保育を行うそうです。

きょうだい加算がないと0-1歳児は狭き門?

0-1歳児で気がかりなのは「きょうだいが既に在籍している児童の申込」です。フルタイム共働き200点に加えて、既にきょうだいが在籍している児童が申し込むと7点が加算され、合計で207点となります。殆どの児童は既にきょうだいが在園している保育所へ入所できています(ごく一部で入所できないケースが生じたそうです)。

こうした0-1歳児は各保育所で一定数います。既に登園している児童の保護者であれば、園内に乳児をだっこして登園している親の人数から推測できるでしょう。きょうだい加算が無い児童の申込は、実質的にはより狭き門となってしまっています。詳しくは平成26年度認可保育所一斉入所に関する傾向と感想をご覧下さい。

阪神高速環状線より西の保育所はやや入所しやすい

一方、阪神高速環状線・東横堀川より西側の地域(中央区西部)にある保育所は、東側よりやや入所しやすい傾向にあります。募集数と比較して申込数が少なく、入所倍率はやや低めです。地価が高く、ファミリー居住用の大規模マンションが建設しにくいからでしょうか。

南船場にあるのは、マザーシップ船場保育園と御堂筋本町ちどり保育園です。マザーシップ船場保育園は1歳児で極めて多くの第1希望が集まっています。一方、御堂筋本町ちどり保育園の1歳児は申込が少なく、他の年齢も合わせて両保育所間で第1希望も変更が生じるのではないでしょうか。

旧南区の中心、島之内地区で初めての保育所として新設されるのは、あい・あい保育園長堀橋園です。繁華街に近くて就学前児童が少ない為でしょうか、全ての年齢で第1希望申込数が募集数以下となっています。

実は千日前通りの南側にも中央区の保育所があります。つばな保育園です。高津3丁目にあり、すぐ隣が天王寺区・浪速区です。中央区からではなく、両区からの方が登園しやすいと言える場所にあります。特に天王寺区は保育所へ入所するのが市内で最も困難な地域の一つです。3区にお住まいの方はご検討下さい。

0-2歳児のみの保育施設は第1希望から外れる傾向に

中央区の特長に、0-2歳児のみの保育を行う乳児保育所や小規模保育施設が数多く立地している点があります。多くの施設を機動的に設置できる反面、3歳児以降の保育が担保されないというデメリットがあります。

0-5歳の保育を行う保育所に第1希望が集中する一方、こうした保育所を第1希望として挙げている世帯は決して多くありません。卒園後の保育の不安に加え、兄姉等が在園・卒園した保育所を優先する傾向もあるでしょう。

小規模保育等を卒園した後の保育の場を担保するという観点から、大阪市では選考において点数を加算したり、連携施設への優先入所枠を設定しています。しかし、そもそも募集枠がなければ入所できません。今年の中央区の3歳児入所倍率は1.81倍であり、概ね2人に1人しか入所できません。卒園児の一部の入所先が見つからない恐れがあります。

幼稚園という選択も難しい

中央区で小規模保育等を卒園した後、3歳児から幼稚園に通うという選択肢が浮上します。中央区の各幼稚園の3歳児入所(3年保育)を申し込まれた方の具体的な経験・数字が掲載されています。

(要旨)
・市立玉造幼稚園は20人の合格枠に60人強がつめかけた様子
・市立銅座幼稚園は20人枠に69人!
・市立愛珠幼稚園も65人前後
・市立桃園幼稚園は2年保育で定員割れ
・私立城星学園幼稚園はほぼ全員合格?、ただし入園金10万円を数日内に要納付
・私立中央なにわ幼稚園はきょうだい枠のみで定員充足か

Osakan Hot Mama* 幼児教育研究&子どもイベント

中央区での幼稚園入所は、保育所より更に入所倍率が高そうです。中央区のみならず他区でも市立幼稚園の3年保育は人気がある様子で、多くの幼稚園で定員を充足しています。一方、2年保育は酷い定員割れです。立地が極めて良い市立幼稚園が多いだけに勿体ないです。

フルタイム共働きでも1-3歳児は入所は困難

区全体の入所倍率はやや低下しました。しかし、1-3歳児を中心に入所が難しい状況は変わっていません。倍率が低下しても第1希望は分散していません。特に第1希望が集中する一部保育所へ入所するには相当な点数が必要です。何らかの加算点がない限り、入所するのは困難だと考えられます。

昨年の同記事

【H27保育所一斉入所申込分析】(11)中央区
【H27保育所等一斉入所結果分析】(16)中央区

次回の予定

福島区、その次は大阪市の東南端の平野区を予定しています。その後は城東区・旭区・西淀川区・住之江区・阿倍野区です。「○○区の状況を早く知りたい」「○○保育所について突っ込んで分析して欲しい」等と言ったご要望がありましたら、コメント欄もしくはお問い合わせからお伝え下さい。