H27保育所等一斉入所に関する結果分析、18回目もリクエストにお応えして西区を取り上げます。
子育て世帯からの人気が高くて転入が相次いでいる西区は、大阪市内で最も待機児童が深刻な区です。
特に西区東部(木津川以東)は余りに凄惨な状況です。
0歳児はまだしも、1-3歳児では「入所できるのが少数派」という状態です。

次回は東淀川区を取り上げる予定です。
「○○区の状況を早めに知りたい」「○○保育所についてもっと突っ込んだ分析を」などのリクエストがありましたら、コメント・問い合わせからお寄せ下さい。

各保育所毎の新入所者数・入所者平均点・入所基準点を取り上げ、H26とH27を比較した上で分析検討を行ってみます。
(入所者平均点・入所基準点の計算方法はこちらに記載しています。)

なお、下記の投稿も参考にして下さい。
【H26保育所一斉入所結果分析】(11)西区
【H27保育所一斉入所申込分析】(6)西区前編(区全体)
【H27保育所一斉入所申込分析】(7)西区後編(保育所別)
タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(上)
タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(下)

入所基準点付き保育所等マップ(西区)
h27_kekka_nishi
【H27版】大阪市子育て支援施設マップ(非公式)より

種別名称H27H26
入所者数入所者平均入所基準点入所者数入所者平均入所基準点
民間保育所YMCAあわざ保育園7169.81256175.5125
YMCAとさぼり保育園19198.116515202.2195
YPC保育園平成27年8月開所
アスク南堀江保育園15197.617551189.1175
アポロ南堀江保育園24186.315534192.6165
うつぼほんまち保育園9201.119511202.0195
ソフィア南堀江保育園13189.417513197.0195
ポプラ保育園11183.713510199.5195
堀江敬愛保育園31200.1195
メリーガーデン保育園10183.57514194.8185
りんりん保育園35200.1195
新町保育園18202.219516201.8195
西六保育園28205.320533202.5195
波除学園分園なみぴよ2175.51657171.2155
波除学園分園ぴよこじま8191.815510169.5125
鈴の音保育園33193.717531184.9155
ほっぺるランド国津橋平成27年10月開所予定
新町第二保育園平成28年4月開所予定
公立保育所西保育所24189.314527192.2165
梅本保育所22192.818536198.3195
小規模Aあい・あい保育園阿波座園4193.0185
たいようランド10189.5165
ちよざき保育園6182.2145
小規模Bおひさまルーム5199.5195
ソフィア南堀江乳児保育園7185.5135
はなぞの保育園9177.7155
家庭的シュッポッポ保育園3165.5155

大阪市の保育所等利用待機児童数について(平成27年4月1日現在)より作成

大阪市内で保育所へ入所するのが最も困難な地域の一つが西区です。
下記の様な理由が考えられます。
1.就学前児童数の伸びが顕著
平成27年4月1日時点での就学前児童数(0-5歳人口)は前年同日から286人増加した5,163人でした。
前年から約6%増加しています。
西区は就学前児童数の増加がコンスタントに続いているのが大きな特長の一つです。
平成17年3月末時点での西区の就学前児童数は、何と3,479人でした(0-4歳児人口と5-9歳児の20%を合算)。
ここ10年間で1.5倍になっているのです。
最大の要因は、主に事業所や工場跡地に建設されているタワーマンションでしょう。

2.そもそも保育所が少なかった
西区は懸命に保育所等の整備を進めています。
平成18年以降に新設・新設を予定している保育所(分園を除く)は13保育所もあります。
驚くべきペースで整備を進めていますが、未だ明らかに不足しています。
在籍率28.3%は市内ワースト2位です(1位は中央区、同率2位に天王寺区)。
就学前児童の増加ペースが急激なのに加え、そもそも区内の保育所が少なかったという事情は見逃せません。
平成18年より前に設置されていたのは、わずか5保育所でした。
しかも内3保育所は木津川以西にあり、タワーマンションが建ち並ぶ東部地域にあったのは僅か2保育所でした。

3.東部地域に私立幼稚園がない
地図を見ていると、東部地域にあるのは市立幼稚園ばかりで私立保育園は皆無であることに気付きました。
当然ながらこども園もありません。
就学前児童の教育・保育の場として、幼稚園と保育所は両輪と言えるでしょう。
多くの私立幼稚園はバス登園を行っており、西区から別区の幼稚園へ登園している児童は少なくないでしょう。
しかし、地元の私立幼稚園という選択肢はありません。
子育て世帯の地域における教育・保育ニーズが保育所へ集中してしまっている可能性は大いに考えられます。
また、小規模保育・乳児保育所等を卒園した3歳児の選択肢が限られてしまい、いわゆる3歳児問題をより深刻化させる背景となっています。

少なくともこれから数年間は、急増する就学前児童数に対して、保育所等の新設が間に合うか否かが西区の保育所事情を大きく左右しそうです。
平成27年度一斉入所では児童数増加と新設・開所がほぼ同じ進捗で進んだ為か、入所保留率は平成26年度と同一も41.9%でした。
5人の内、2人以上は入所できなかった結果となっています。
市内で最も高い入所保留率となっており、依然として西区の状況が深刻だと窺えます。

新規利用申込数は前年より71人多い613人、新規利用児童数(入所内定)は41人増の356人、利用保留数は30人増の257人という結果でした。
平成26年度中に開所したりんりん保育園堀江敬愛保育園、西区に7箇所ある小規模保育・家庭的保育の入所人数が新規利用児童数の増加に寄与しています。
しかし、利用保留数は市内で最も多く、依然として待機児童問題は深刻です。
特に1歳児が酷く、待機児童が既に200人を超えていると聞きます。

保育所別に見ていきます。
西区は東部、特になにわ筋周辺にある保育所への入所が著しく困難な傾向にあります。

西区で入所するのが最も困難だったのは、平成27年も西六保育園でした。
入所基準点205点、入所者平均が205.3点でした。
新規入所者28人の内、211点以上が5人、201点~210点が22人、200点が1人でした。
全年齢である程度の加算点が要求されるでしょう。
兄姉が在園していても入所できなかった児童も存在しそうです。
211点以上の児童が5人と極めて多く、兄姉加算(7点)+認可外保育施設加算(5~7点)で入所したのではないでしょうか。

同程度に入所が困難だったのは、うつぼほんまち保育園・堀江敬愛保育園りんりん保育園・新町保育園です。
入所基準点195点、入所者平均点が200点を超えています。
0歳児はフルタイム共働きでも入所できない方が多く、1-2歳児は何らかの加算点が必須と言えるでしょう。
なお、今年8月に開所したYPC保育園の年度途中入所申込も、これらの保育園と同程度に難しかったと聞きました。
新町保育園を除き、いずれもなにわ筋から徒歩5分以内の場所にあります。

一方、西区東部には入所基準点が低くて入所しやすそうな保育所もあります。
こうした保育所は専ら乳児保育所、つまり0-2歳児までの保育のみを行っているので注意が必要です。
卒園後の入所先を新たに探す必要があります。
小規模保育等の増加と相まって、西区での3歳児入所は困難を極めます。
平成27年度一斉入所における3歳児入所倍率は、何と6.77倍でした。

東部ほどではありませんが、西部(木津川以西)も保育所等へ入所しにくい状況に変わりはありません。
0歳児はフルタイム共働きに匹敵する働き方、1-2歳児はフルタイム共働き以上の点数が必要となるでしょう。
今年10月に開所するほっぺるらんど国津橋は、各年齢ともフルタイム共働きであれば概ね入所できたという話を聞きました。
年齢によっては未だ募集を行っている可能性があるので、興味がある方は西区役所へお問い合わせ下さい。

保育所へ入所するのに高い点数が求められる西区では、小規模保育等への入所にも一定の点数が求められます。
西六保育園が運営主体となっているおひさまルームは、なにわ筋周辺にある他保育所と同程度の点数が必要です。
連携施設?たる西六保育園への優先入所が可能との事で、高い順位で希望する児童が多そうです。
小規模保育等の卒園児は連携して保育を行っている連携施設への優先入所が可能という制度(詳細はこちら)となっていますが、全く続報が聞こえていないのが少し気掛かりです。

YPC保育園・ほっぺるらんど国津橋に加え、西区では平成28年4月に新たな保育所を設置する予定です。
新町保育園を運営する(社福)大阪愛保会が主体となり、区役所裏手の新町4丁目にて新町第二保育園を開所する見通しです。
西長堀駅・区役所・中央急病診療所に近くて利便性が高いので、多くの第1希望申込が集まるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが西区の保育所入所は厳しく、待機児童問題は極めて深刻です。
0歳児はともかく、1-3歳児は絶望感すら漂う入所倍率の高さです(詳細はこちら)。
西区で保育所入所を検討するには、こうした客観的な状況を踏まえるのが大前提でしょう。