平成28年度保育所等一斉入所申込状況分析、第15回もリクエストにお応えして住吉区を取り上げます。
※10月28日に発表された数字に基づています。
昨年と比較して入所倍率が0.3倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.3倍以上減少した箇所は水色で、入所倍率が2倍を超えている箇所は赤で表示しています。
なお、申込があるにも関わらず募集数が「0人」の箇所は、便宜的に倍率を99.99倍としています。
実は待機児童問題が深刻な住吉区
隣接する住之江区・東住吉区と比較して、保育所へ入所するのが難しいのが住吉区です。0歳児を除く各年齢で満遍なく入所が難しい状況です。都心部以外の地域では突出しています。
実は住吉区は保育所在籍率が極めて低い区です。H27一斉入所結果分析によると、市内で5番目の低さでした。幼稚園に偏り、保育所が少ないのが原因でしょう。
3歳児問題
住吉区での今年の申込人数は昨年より若干増加する一方、募集人数がは71人も増加しました。小規模保育等の充実で20人、既設保育所の募集数拡大で50人という内訳です。これにより、主に1-2歳児の入所倍率が低下しています。
昨年以上に厳しいのは3歳児です。入所倍率が3.00倍まで上昇しました。市内で2番目の高さです。幼稚園が少ない西区が1位、逆に幼稚園が多い阿倍野区が3位という奇妙な結果となっています。申込数が9人増加、募集数が5人減少しています。H27一斉入所で入所できなかった2歳児に加え、小規模保育の卒園児が申し込んでいるのでしょう。
「3歳児の待機児童問題」は今後各地で多発します。住吉区(及び阿倍野区)では「(保育所がなくても)幼稚園があります」というスタンスが感じられます。一方、幼稚園が少ない西区(特に東部)では「保育所しかない」という状況がうかがえます。
2歳児問題
3歳児問題と並び、2歳児問題も深刻です。いずれの保育所等も募集人数が限られ、募集を行う一部の保育所へ多くの第1希望が殺到しています。
こぐま保育園・万領保育所・遠里小野保育園・大領保育園・藤保育園では入所倍率が3倍を超えました。募集人数が11人と多い浅香東保育所が大和川の畔にあり、多くの地域からは登園できない場所にあります。区全体の入所倍率は1.86倍ですが、実際にはもっと高く感じられます。
認定こども園・幼稚園に併設された保育所が増加中
大阪市内を俯瞰すると、市南部に多くの私立保育所が集まっています。特に阿倍野区とここ住吉区では保育所に匹敵する数の幼稚園があります(但し、市立幼稚園は乏しいです)。
そうした幼稚園が認定こども園へ移行、もしくは幼稚園に保育所を併設する形で乳児を募集しているケースが多く見受けられます。その反面、従来型の保育所は全く新設されていません。極めて特徴的な動きです。
認定こども園での保育で不安なのが「3歳児以降はどうする?」という点です。本体の幼稚園へ進学する、他の保育所へ入所するのが主な選択肢でしょうか。保育時間・保育料・日々の過ごし方等、幼稚園(認定こども園)と保育所では違いがあるのが実情です。徐々に互いの距離を縮めようとしている過渡期にあたります。
こうした保育所へ入所を検討・希望している方は入念に下調べを行って下さい。中には認定こども園の認定を返上して幼稚園・保育所を別に運営する事とし、在園中の保護者に動揺が広がっているケースもあると聞きました。
こぐま保育園・長居保育園は入所困難
住吉区で最も入所倍率が高かったのは、住吉区役所北にあるこぐま保育園(3.00倍)でした。4年連続で入所倍率が3倍を超えています。近くのあびこひかり保育園・遠里小野保育園が第1希望が減少しており、集中度合いが上昇しています。H27一斉入所では入所基準点195点、入所者平均点197.4点という高さでした。今年も同様の水準、少なくともフルタイム共働きでの点数が必要でしょう。
長居駅前にある長居保育園も2.12倍という高さです。同園の募集は0歳児が殆どを占め、1歳児以降は殆ど入所できない募集内容となっています。1歳児は募集2人に対して第1希望22人が集中しています。併設する長居保育園乳児センターと合算しても、1-2歳児は入所しにくい状況です。長居駅周辺には同保育所しかなく、申込が集中するのも仕方ありません。
認定こども園も人気
上で触れたとおり、住吉区は私立幼稚園が多い地域です。その為、認定こども園(幼稚園に併設された保育所も含む)へ多くの申込が集まっています。東よさみ幼稚園やまんだい保育園は入所倍率が2倍を超えました。多くの児童は3歳からは幼稚園へ進学するのではないでしょうか。
昨年の記事(参考)
【H27保育所一斉入所申込分析】(15)住吉区
【H27保育所等一斉入所結果分析】(14)住吉区
次回の予定
浪速区、その後は生野区・住之江区・天王寺区を予定しています。
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