平成27年度保育所一斉入所申込状況分析、第6回もリクエストにお応えして西区を取り上げます。
現時点において、西区は市内で最も入所倍率が高くなっています。
文章量が多いので、前半(区全体)と後半(保育所別)に分割します。

※10月28日に発表された数字に基づています。募集数等は今後の変更が想定されています。
※今年は認定こども園も同時に発表されており、分析対象に含めています。

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昨年(平成26年度)と比較して入所倍率が0.3倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.3倍以上減少した箇所は水色で、入所倍率が2倍を超えている箇所は赤で表示しています。
なお、申込があるにも関わらず募集数が「0人」の箇所は、便宜的に倍率を99.99倍としています。

【区全体】
入所倍率はH26の1.73倍からH27は2.02倍へと上昇しました。
市内で最も高い入所倍率です(2位は天王寺区)。
申込数が63人増加し、募集数が17人も減少してしまった為です。

申込数の増加が顕著なのは0-1歳児です。
0歳児は27人増加して162人、1歳児は23人増加して247人となりました。
ファミリー層向けの大規模マンションの相次ぐ建設が影響してそうです。

募集数は0歳児で27人増加したのに対し、1-4歳児は概ね前年より10人前後減少しています。
0歳児が増加した主な要因は、今年5-7月に掛けて開所したりんりん保育園堀江敬愛保育園の募集枠です。
両保育所はH26一斉募集の対象とはなりませんでした(年度途中に全定員分を一斉に募集しました)。
今年は一斉募集対象となり、募集人数が多い0歳児入所枠が目立っています。

一方、1-4歳児募集数が減少したのは、H26/4に開所したアスク南堀江保育園の入所枠が大きく減少した為です。
上で挙げた2保育所と異なり、同保育所はH26一斉入所の対象でした。
当時は全年齢の全定員を一斉に募集したので入所枠が大きかったのですが、今年は1歳下からの持ち上がりを除いた人数だけの募集となり、募集数が激減してしまいました(開所初年度が特殊)。

また、西区の特徴の一つに、小規模保育施設・保育ママ・乳児保育所が多い事が挙げられます。
これらは原則として0-2歳児の保育を行っており、3歳児以降は別の保育所等へ登園する事とされています。
西区内には小規模保育施設及び保育ママが7箇所(9/22調べ)、乳児保育所が3園(分園含む)、併せて10施設が存在します。
卒園児は保育所3歳児クラス等へ申し込む事が多く、3歳児申込数の増加要因となっています。

H27にはYPC保育園の新設が予定されています。
ただ、今回の一斉募集においては申込み対象から外れており、募集数の増加要因とはなっていません。

こうした要因により、1-3歳児の入所倍率は急上昇しました。
1歳児は2.57→3.21倍、2歳児は2.86→4.23倍、3歳児は62.74→6.77倍となり、いずれもここ3年間で最も高い数字となっています。
単純計算すると、1-3歳児で入所できるのは概ね4人に1人の見込みです。
西区の1-3歳児の入所倍率は大阪市内で最も高い数字です。
極端に高くない0歳児との違いが際だっています。
また、手元のデータを見る限り、各区別・年齢別の入所倍率としてH27西区の1歳児及び3歳児は過去最高となっています。

上記の通り、西区は0歳児と1-3歳児の入所倍率に著しい違いがあります。
大きな原因の1つは、1-3歳児の募集数が極端に少ない点にあります。
0歳児の募集数を1とした場合、1歳児は0.68、2歳児は0.26、3歳児は0.18となります(直近3カ年の加重平均)。
見過ごせない違いです。
1歳児は市内で最低、2歳児は4番目の低さ、3歳児は2番目の低さとなっています。

つまり、西区は0歳児募集数と比較して1-3歳児募集数が極端に少ない構造となっています。
ここに東部・西部の違いや乳児保育所より乳幼児保育所を好む傾向が重なり、1-3歳児入所倍率が酷い数字になっていると考えられます。
これだけ入所倍率が異なると、0歳児と1-3歳児では入所最低点が大きく異なると予想されます。
また、入所時年齢によって両親(特に母親)の就労時間にも大きな違いが生じているでしょう。

保育所別の分析は後編でまとめます。