(中央区新町のサンクタスタワー、874戸)

平成28年度保育所等一斉入所へ向けて、既に各施設の見学等を行って情報収集や希望順位の選定等に着手している方は少なくないと思います。

大半の保育所等では昨年と第1希望申込者・募集数・入所に必要な点数に大きな変化は無いでしょう。
しかし、一部の保育所等では劇的な変化が生じる場合もあります。
それは「近隣地域にタワーマンションが建設された場合」です。

数年ほど前から市内中心部で数多くのタワーマンションを見掛ける様になりました。
市内中心部の企業用地の放出・土地の値下がり・共働き世帯の増加による都心回帰の流れが主な理由でしょうか。
一時期は雨後の竹の子の様な勢いで、それぞれのタワーが階高を伸ばしていました。

では、大阪市内でどれだけのタワーマンションが完成・建設中なのでしょうか。
計画・建設中のタワーマンション(建設ニュース)より、ここ1年間ほどの間に完成したタワーマンションを抽出してみました。

【完成済】

名称戸数所在地完成時期
大阪ひびきの街 ザ・サンクタスタワー874西区新町12015/3
プラウドシティ新大阪310淀川区西宮原22015/2
ロジェマンタワー梅田254北区万歳町2015/2
ザ・セントラルマークタワー415北区中津12015/1
パークタワー北浜350中央区北浜東2014/9
ジオ釣鐘町123中央区釣鐘町22014/9
なんばセントラルプラザ リバーガーデン553浪速区湊町22014/9
2015/8

ザ・サンクタスタワーの874戸に驚きです。
YPC保育園の開所までは最寄りだった西六保育園に何らかの影響が生じていると考えられます。
同保育園は以前から入所希望者が多くて高い点数が必要だった所、今春は入所に必要な点数が更に上昇しています。
また、今夏に開所したYPC保育園は200点でも入所できなかった児童が多発したと聞きました。
両保育園ではサンクタスタワーの影響は否定できないと感じています。

影響が本格的に生じるのは完成直後ではなく、少し落ち着いた数年後からでしょう。
そうした影響が続々と生じているのが、待機児童問題が極めて深刻な西区等の地域です。

では、タワーマンションが建設されると具体的にどれだけの影響が出るのでしょうか。
サンクタスタワーを例として、ざっくりかつ乱暴ですが試算してみます。

同マンションは2LDKの賃料が25万円~27万円であり、大阪市内では高額な部類に含まれるでしょう。
874戸の内、6割の500戸が子育て世帯であり、ここ15年ほどで子育て世帯1戸につき平均1.5人の子供が産まれる(もしくは既に産まれている)と仮定します。
マンション全体での子供の数は750人となり、均等に分散すると各年齢につき50人となります。
保育所等への申込率を40%とした場合、各年齢につき20人の子供が保育所等への入所を申し込む結果となります。

結果、6年間で約120人分の保育需要が必要となります。
これは中規模の認可保育所に匹敵する人数です。
つまり、タワーマンション1棟につき、ざっと1つの認可保育所が必要となります。

タワーマンションが建設される様な地域では、他にも数多くの中規模マンションも建設されています。
一方、こうした地域は早い段階で市街地が形成されていて、歴史ある市立幼稚園・私立幼稚園が多数存在します。
その為、「幼稚園は多いけど、保育所は不足している」という状態に陥っています。
各区では保育所の新設を進めていますが、保育需要が旺盛な子育て世帯の増加に追いついておらず、不足が年々深刻になっていると推測されます。

では、今後のタワーマンションの建築は保育所等一斉入所とどの様に関係していくでしょうか。
次回の記事で取り上げてみます。

(追記)
続きを掲載しました。
タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(下)