H27保育所等一斉入所に関する結果分析、16回目もリクエストにお応えして中央区を取り上げます。
17回目は浪速区、18-19回目は西区を予定しています。
大阪市中心部、最も保育所へ入所しにくいエリアを集中的に取り上げます。

20回目以降はリクエストを頂いた東淀川区を取り上げる予定です。
「○○区の状況を早めに知りたい」「○○保育所についてもっと突っ込んだ分析を」などのリクエストがありましたら、コメント・問い合わせからお寄せ下さい。

各保育所毎の新入所者数・入所者平均点・入所基準点を取り上げ、H26とH27を比較した上で分析検討を行ってみます。
(入所者平均点・入所基準点の計算方法はこちらに記載しています。)

なお、下記の投稿も参考にして下さい。
【H27保育所一斉入所申込分析】(11)中央区
【H26保育所一斉入所結果分析】(10)中央区
タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(上)
タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(下)

入所基準点付き保育所等マップ(中央区)
h27_kekka_chuo
【H27版】大阪市子育て支援施設マップ(非公式)より

種別名称H27H26
入所者数入所者平均入所基準点入所者数入所者平均入所基準点
民間保育所あゆみ保育園33201.319536195.2185
あゆみ保育園(うえまち第2分園)
あゆみ保育園(うえまち分園)
あゆみ保育園(谷四分園)
つばな保育園23191.717520194.6175
ブライト保育園大阪谷町50192.9175
マザーシップ船場保育園14196.918522198.3185
ゆめ中央保育園26200.519533202.1195
慶生会上町みどり保育園33200.819547192.9175
御堂筋本町ちどり保育園23193.8165
大手前保育園9196.619511187.3155
蓮美幼児学園てんまばしナーサリー5197.519513192.4175
蓮美幼児学園まつやまちナーサリー18192.719522191.4175
蓮美幼児学園もりのみやナーサリー23201.619523197.7195
(仮称)あゆみ第二保育園中央区龍造寺町にて平成28年4月開所予定
(仮称)あい・あい保育園長堀橋園中央区島之内1丁目にて平成28年4月開所予定
公立保育所南大江保育所21204.219526202.8195
小規模Aアートチャイルドケアパンプキンガーデン天満橋7185.5125
(未定)中央区和泉町にて平成28年4月までに開所予定
小規模Cおひさまルーム本町園7186.9175
保育ルームてんとうむし4190.5175
保育園スキップ7184.1155

大阪市の保育所等利用待機児童数について(平成27年4月1日現在)より作成

再開発による大型マンションの建築の為か、子育て世帯の転入が激しいのが中央区です。
平成27年4月時点での就学前児童数は前年より291人も増えて4,382人となっています。
増加率は7.1%は市内2位です(1位は浪速区の7.2%)。
誰しもが急激な増加を実感できる程の伸び率でしょう。

一方、子育て世帯が頼りとする保育施設は全く足りていません。
保育所等の在籍率23.9%は市内ワーストです。
最も在籍率が高い西成区(54.3%)の半分以下です。
保育所のみを集計対象としたH26結果分析では、在籍率は何と21.6%でした。
そもそもの施設数・定員が決定的に不足しており、新設等によって子育て世帯の保育ニーズを満たすには相当な時間が必要でしょう。

とは言ったものの、保育所等の在籍児童数は前年から164人も増えて1,046人となりました。
中央区では積極的に保育所等の新設を進めており、その効果が現れています。
平成27年1月に御堂筋本町ちどり保育園、同4月にはブライト保育園大阪谷町を開所しました。
保留率も4.9%低下し、33.5%となりました。
新たに申し込んだ3人の内、2人は入所できた結果となります。

こうした事情により、H27一斉入所での新入所者の推定平均点数は市内2位の196.56点(実際にはもう少し高いでしょう)となり、前年と殆ど変わらない点数となりました。
認可外施設等を利用しているフルタイム共働き世帯等の増加によって、入所申込者の点数そのものが上昇したと推測されます。
反面、保育所等の新設によって新入所者が50人も増え、双方が打ち消し合って点数の上昇が抑えられたのでしょう。

新設保育所や小規模保育は相対的に低い点数(それでも高い)で入所できたと推測される一方、既設保育所は入所に必要な点数が高止まり、もしくは更に上昇した保育所が少なくありません。

平成27年4月に開所したブライト保育園大阪谷町は50人の乳幼児が新たに入所しました。
中央区内の新入所者の増加分に相当します。
全年齢を一度に募集する新設保育所は、既設保育所よりやや低い点数でも入所できる傾向があります。
大阪市内では珍しいオフィスビル内の保育所であり、保育活動とオフィスビルとの調和をどの様に図っているかが気になる所です。

中央区で入所するのが最も困難だったと推測されるのは、南大江保育所(公立)でした。
入所基準点195点、入所者平均点が204.2点でした。
0歳児はフルタイム共働きが必須、1-2歳児は何らかの加算点も要求されるでしょう。
各年齢毎の第1希望申込数を見る限り、入所倍率が5倍だった1歳児では兄姉加算あっても入所できなかった可能性があります。
中央区の中心地たる谷町四丁目に近く、区内唯一の公立保育所であって広い園庭を有する為、数多くの第1希望が殺到しているのでしょう。

殆ど同じ水準で入所が困難だったのは、あゆみ保育園・ゆめ中央保育園・慶生会上町みどり保育園・蓮美幼児学園もりのみやナーサリーです。
いずれも入所基準点195点、平均点が200点を超えています。
ゆめ中央保育園を除いて、上記の各保育所は昨年より平均点が無視できない幅で上昇しています。
認可外保育施設を利用している世帯を中心として、第1希望がより集中したと推測されます。

これらの保育所は上町台地に立地し、0-5歳までの保育を行っているのが共通点です。
中央区内には0-2歳児までの保育のみを行っている乳児保育所が多く、第1希望からは除かれやすい傾向にあります。
3歳児以降の預け先やきょうだいで同じ施設に通えない不安を考えると、5歳までの保育を一貫して行う施設へのニーズが強いのでしょう。

保育所へ入所するのに高い点数が必要な中央区では、小規模保育も同様の傾向があります。
入所者平均点は184-190点となっており、フルタイム共働きないしそれに準ずる点数が必要でしょう。

来春にかけ、中央区では新たに2保育所と1小規模保育施設の開所が予定されています。
特に中央区龍造寺町に開所される保育所は区内最激戦地域たる谷町四丁目に近く、運営法人は中央区中寺であゆみ保育園を運営している大阪あゆみ福祉会です。
多くの第1希望申込者が予想されます。
お隣の天王寺区からの申込もあるでしょう。

3施設が新規開所されるH28一斉入所は、中央区全体としては各保育所の入所に必要な点数は今年と大きな変化はないと予想されます。
しかし、子育て世帯のニーズが極めて強い谷町四丁目周辺の乳幼児保育所は、より高い点数が求められる可能性があります。
兎にも角にも中央区は保育施設があまりに不足しています。

その背景には、保育所に適した用地が不足している事情もあるでしょう。
しかし、遊休状態、もしくは利用頻度に乏しい公有地があるのも事実です。
中央区で真っ先に思いついたのは、もと芦池小学校跡地(現在は南幼稚園の臨時グランド等として使用)です。


猫たちの街かどには より

南船場3丁目にある約2,800平方メートルの土地は、都心部では極めて貴重です。
建設ニュースによると2017年度以降の処分が予定されているそうです。
ここに中規模の保育所や認定こども園(市立南幼稚園を包摂?)が開設できれば、中央区西部・西区東部の待機児童問題は大きく前進するでしょう。