H27保育所等一斉入所に関する結果分析、17回目もリクエストにお応えして浪速区を取り上げます。
就学前児童数が市内で最も伸びているエリアです(詳細は後述)。
リクエストを頂いたので次回は西区、その次は東淀川区を取り上げる予定です。
西区は様々な話を聞き、想像以上に大変な状況だと感じています。
「○○区の状況を早めに知りたい」「○○保育所についてもっと突っ込んだ分析を」などのリクエストがありましたら、コメント・問い合わせからお寄せ下さい。
各保育所毎の新入所者数・入所者平均点・入所基準点を取り上げ、H26とH27を比較した上で分析検討を行ってみます。
(入所者平均点・入所基準点の計算方法はこちらに記載しています。)
なお、下記の投稿も参考にして下さい。
【H27保育所一斉入所申込分析】(14)浪速区
【H26保育所一斉入所結果分析】(20)浪速区
タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(上)
タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(下)
新設保育所「桜川保育園」(浪速区)の入園募集が9/1〜9/14に行われます!
入所基準点付き保育所等マップ(浪速区)
【H27版】大阪市子育て支援施設マップ(非公式)より
種別 | 名称 | H27 | H26 | ||||
入所者数 | 入所者平均 | 入所基準点 | 入所者数 | 入所者平均 | 入所基準点 | ||
民間保育所 | もとまちさくらさくほいくえん | 15 | 183.6 | 125 | 67 | 173.3 | 135 |
愛染園愛染橋保育園 | 21 | 179.3 | 135 | 38 | 177.3 | 145 | |
蓮美幼児学園みなとまちナーサリー | 9 | 199.9 | 195 | 7 | 196.9 | 195 | |
浪速さくら保育園 | 16 | 186.1 | 135 | 20 | 195.0 | 165 | |
グローバルキッズ戎本町園 | 30 | 165.9 | 125 | ||||
桜川保育園 | 平成28年1月に桜川1丁目に開所予定 9/1~9/14まで入所受付 | ||||||
公立保育所 | 小田町保育所 | 32 | 198.8 | 185 | 41 | 185.5 | 165 |
浪速第1保育所 | 33 | 180.1 | 145 | 32 | 167.7 | 135 | |
浪速第5保育所 | 28 | 168.0 | 125 | 25 | 146.3 | 95 | |
公設民営保育所 | 広田保育所 | 26 | 182.0 | 145 | 35 | 187.8 | 165 |
大国保育所 | 22 | 192.4 | 175 | 30 | 185.2 | 155 | |
小規模A | (未定) | 平成28年4月までに日本橋5丁目にて開所予定 | |||||
小規模B | あい・あい保育園桜川園 | 2 | 195.5 | 195 | |||
あったかスマイル・なにわ | 6 | 162.2 | 125 | ||||
ぬくもりのおうち保育桜川園 | 7 | 146.9 | 55 | ||||
家庭的 | 保育ママ大きなじゃんぐる | 3 | 192.2 | 185 |
大阪市の保育所等利用待機児童数について(平成27年4月1日現在)より作成
大阪市内で就学前児童数の伸び率が最も高いのは何区だと思いますか?
緑豊かな西区、ビジネス街に直結して便利な中央区、それとも梅田周辺の再開発が盛んな北区でしょうか。
全て外れです。
正解は浪速区です。
平成27年4月の就学前児童数は2,473人であり、前年から何と167人(7.2%)も増加しています。
では、具体的にはどの地域で顕著に増加しているのでしょうか。
大阪市の住民基本台帳人口・外国人登録人口より、平成26年3月末と平成27年3月末毎の町丁目毎の就学前児童数(0-5歳児の合計)を比較してみます。
増加数が多い町丁目を並べてみます。
町丁目 | 増加数 |
湊町2丁目 | 44 |
桜川2丁目 | 20 |
桜川4丁目 | 18 |
幸町3丁目 | 13 |
日本橋東2丁目 | 13 |
就学前児童数が増加している地域は区北西部に集中しています。
道頓堀川を挟んで西区と向かい合っている区北西部で大型マンションが次々と完成し、子育て層が転居している為でしょう。
特に44人と突出して増加している湊町2丁目は、タワーマンション新築による保育所等の不足に要注意(下)で取り上げたなんばセントラルプラザ リバーガーデンがある地域です。
浪速区全体としてみると、保育所等の在籍率は38.4%と市内平均37.6%を上回っています。
しかし、新規利用児童数は昨年より43人減少して252人となり、保留児童数もほぼ倍増の91人となりました。
グローバルキッズ戎本町園が開所した一方、愛染橋保育園・広田保育所・昨春開所したもとまちさくらさくほいくえんが大きく募集人数を減らした為です。
では区北東部にある保育所等のみが急速に入所が困難となっているのでしょうか。
保育所毎の数字を見る限り、区内のほぼ全ての保育所等で入所に必要な点数が上昇しています。
募集人数の減少&北東部での就学前児童の増加による影響は、区全体に及んでいます。
浪速区内で入所するのが最も難しかったのは、湊町2丁目にある蓮美幼児学園みなとまちナーサリーでした。
入所基準点195、入所者平均点は199.9点でした。
0歳児はフルタイム共働き、1-2歳児は更に何らかの加算点が必要でしょう。
タワーマンションが林立する湊町2丁目にあり、居住者の第1希望が集中している為でしょう。
なお、同地区からの第2希望は小田町保育所(後述)・もとまちさくらさくほいくえん・西区南堀江地域の保育所が候補となるのではないでしょうか。
同地域は保育所等が全く足りていない地域です。
待機児童問題を解消すべく、平成28年1月に桜川1丁目にて桜川保育園が開所する予定です。
9月1日から9月14日まで開所に伴う入所募集を行っています(詳細はこちら)。
開所予定が当初の10月から3ヶ月ほど遅れる見込みですが、周囲にお住まいの方にとっては朗報でしょう。
次に難しかったのは小田町保育所です。
基準点185、入所者平均点が198.8点でした。
0歳児はフルタイム共働きか準ずる働き方+加算点、1-2歳児はフルタイム共働き+加算点が必要だったと推測されます。
同保育所のの西・北西側の広い地域に保育所がなく、幅広い地域から申込があったのでしょう。
入所に必要な点数が急上昇したのは、区南東部にある浪速第1保育所・浪速第5保育所です。
H27一斉入所では入所基準点が10-30点、入所者平均点は13-22点も上昇しています。
両保育所とも区の外れにあり、他の保育所と比較するとやや低い点数でも入所できる状況でした。
浪速第1保育所を第1希望とする申込が急増しており、同地域に済んでいる子育て世帯の保育所へのニーズが増している影響が窺えます。
また、他保育所の入所に必要な点数が上昇しており、間接的な影響も無視できないと推測されます。
小規模保育・家庭的保育は特徴的な結果となっています。
あい・あい保育園桜川園は周辺の保育所並に入所するのに高い点数が必要となっています。
浪速区北部のみならず、西区南堀江周辺からの申込も少なくなったのでしょう。
また、通天閣のお膝元、恵美須西2丁目にある保育ママ大きなじゃんぐるは入所基準点185、入所者平均点192.2という高さになっています。
多数の飲食店が建ち並ぶ繁華街に近く、こうした界隈でお店を営んでいる自営業者が利用しているのではないでしょうか。
大阪市の場合、自営業であっても会社員等と同じ基準で就労時間によって点数が定められています。
一部の自治体では、自営業は時間に融通が効くという理由から減点されるケースもあると聞きます。。
繁華街に近い地域での保育の多くは認可外保育施設が担っていましたが、今後はより行政の目が行き届いている小規模保育が担う部分が大きくなるかもしれません。