新町第二保育園(西区)の開所延期による影響は広範囲に及びそうです。影響する範囲や取り得る対応策を検討してみました。

新設保育所の募集予定数

新町第二保育園の定員は0歳8名・1歳18名・2歳23名・3歳23名・4歳24名・5歳24名です。

既設保育所と異なり、下のクラスからの持ち上がりが無い新設保育所は原則として全ての定員を一斉に募集します。つまり、定員=初年度募集数となります。西区で待機児童問題が深刻な1-3歳児にとっては、まとまった募集数は極めて魅力的でした。開所が延期されてしまい、こうしたクラスを検討していた方は目算が大きくずれた形でしょう。

周辺にある他保育所の第1希望入所倍率が上昇する

第1希望を他保育所に変更する方が多いと考えられます。具体的には新町保育園・西六保育園・うつぼほんまち保育園・りんりん保育園・梅本保育所・西保育所が候補になりそうです。いずれの保育所も入所基準点・入所者平均点が高くなっています。特に前四保育所は入所基準点195、入所者平均点200点超となっています。(詳細はこちら)。ただでさえ入所するのが極めて困難であり、開所延期によって入所が更に困難になる恐れがあります。

また、これらの保育所の更に周辺にある保育所にも間接的な影響が及びます。これら保育所を第1希望として入所できなかった児童は周辺の保育所等に入所すると、他の入所希望者が弾き出されてしまいます。影響は西区東部を中心に、西区西部・中央区西部・浪速区北部にも及ぶのでは無いでしょうか。

対応策1:新町第二保育園を諦め、他保育所等へ入所申請・入所

新町第二保育園を諦め、第1希望等を周辺の保育所等に変更します。0歳児は希望保育所等を絞り込まない限りは入所できそうですが、1-2歳児はいずれの保育所等にも入所できない可能性があります。H27一斉入所において、1歳児入所倍率は3.29倍、2歳児は4.40倍でした。

対応策2:他保育所等に入所後、新町第二保育所へ転所申請

周辺の保育所等に入所後、新町第二保育園の開所時期が固まって募集を行う時に転所申請を出す方法です。

ネックになるのは転所申請に係る減点措置です。大阪市保育利用調整基準によると、転所希望では「やむを得ないと認められる場合を除き、算出した利用申込児童の基本点数に0.5をかけた点数を適用する。」とされています。つまり、他の保育所等からの転所希望が「やむを得ないと認められる場合」に該当するかが問題となります。また、仮に減点されなくても、認可外保育施設の利用者に点数面で劣後する可能性が高いでしょう。

仮に転所できなかった場合、その後も入所した保育所で過ごす事となります。「転所までの腰掛け」というつもりにはいかないでしょう。

対応策3:認可外保育施設に入所後、新町第二保育所へ入所申請

新町第二保育園にどうしても入所したい方は、開所まで認可外保育施設で過ごすという選択が考えられます。転所希望の様に減点される恐れが無く、更に5-7点の加点も得られます。当然ながら保育所より保育料はかさみます。また、開所時期がいつになるか分かりません。

最も大きな問題は、新町第二保育園に入所できなかった場合は実質的にH29一斉入所まで保育所へ入所できないという点です。まとまった園児を募集する年度途中入所で入所できなければ、募集数が少ない既設保育所の年度途中入所で入所するのは絶望的でしょう。

入所するのに必要な点数は?

全く予想がつきません。ただ、過去のケースや統計資料等から、ある程度の方向性は見えてきます。

5-6月の開所であれば、一斉入所より低い点数で入所できる可能性が高い

西区ではりんりん保育園堀江敬愛保育園の2保育所が平成26年5-6月に開所する事となり、両保育所の年度途中入所募集が3月末を期限として一斉に行われました(詳細はこちら)。実は既設保育所への一斉入所が決定した方より大幅に低い点数でも入所が決まっていました。募集数が多かった・一定以上の得点がある児童は4月一斉入所で決定していた為でしょう。

夏以降の開所であれば、相当高い点数が必要となる

一方、夏に開所した保育所では、入所するのに相当高い点数が必要でした。今年8月に開所したYPC保育園は5月15日まで入所募集を行いました。結果、周辺の既設保育所での一斉入所での入所者とほぼ同水準の点数が必要だった様子です。児童の年齢にもよりますが、フルタイム共働きで入所できなかった方は少なくないでしょう。4月から認可外保育施設を利用している児童が少なくなく、入所に必要な点数を押し上げてしまったと考えられます。

西区の就学前児童数は増加傾向

相次ぐタワーマンションの建設の為か、西区の就学前児童数は現在も増加傾向にあります。ここ数年は毎年4%前後ほど増加しています(詳細はこちら)。就学前児童数の増加は、保育所への入所を困難とする方向に働きます。毎年の様に保育所を新設していますが、入所希望者の増加に追いつけないのが現状です。

どうすべきか?

新町第二保育園の優先度・点数・許容できるリスクによって、希望する保育所等の考え方は大きく異なります。新町第二保育園もしくは同じ法人が運営する新町保育園へ入所したければ、第1希望に新町保育園のみを記入した変更届を提出します。一方、自宅から登園できるいずれかの保育所等へ確実に入所したいのであれば、多くの保育所等を記入して提出します。

例年通りであれば、今週末に各保育所・年齢毎の入所申込状況が発表されます。こちらの数字を見てから考え直したい反面、新町第二保育園の開所延期による影響が織り込まれておらず、やや信頼性に劣る数字になってしまうのではないでしょうか。

「これが正解」という方法はありません。入所面接や区役所窓口等で区職員に相談しつつ、考えと方針を再検討して下さい。お困りの事があれば、お問い合わせよりご相談も受けております。