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(1/23追記)
【重要・大阪市政】4歳児・一定条件の認可外施設の教育費無償化を市長了承・予算化へ
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大阪市では平成28年4月から5歳児に掛かる教育費が無償化されています。

5歳児教育費無償化を含んだH28予算案が本会議で可決されました
保育所5歳児保育料は上限13,700円・幼稚園3-4歳児は階層細分化

具体的には5歳児の幼稚園保育料が全額、保育所保育料が教育費相当部分(約半額)が無償化されました。多くの子育て世帯が経済的に助かっています。

一方、保育所と幼稚園で異なる取扱い・認可外保育施設の除外・高所得層優遇施策・待機児童対策等に充てるべき等の指摘もありました。

そして、平成29年度(来年4月)から対象を4歳児まで拡大し、かつ認可外保育施設(無認可保育所)も対象に含める方向で検討に入ったそうです。

大阪市 4歳児も教育費無償に 認可外保育所も対象 市が方針
毎日新聞2016年10月25日 大阪夕刊

大阪市は、現在5歳児で実施している教育費の無償化を2017年度から4歳児まで拡大する方針を固めた。25日午後の市議会で表明する。これまで対象外だった認可外保育所も、来年度から無償化の対象に含める方向で検討に入った。対象とする無認可施設の選定方法や、利用者への給付方法などを調整した上で予算化を目指す。

国公私立の幼稚園や認可保育所に通う4、5歳児各約2万人を対象とした場合、無償化で市が見込む予算は約53億8000万円。今年度に5歳児のみで計上した約25億円の倍以上となる見通し。市予算は当面200億円程度の収支不足が見込まれており、財源の確保が課題となりそうだ。

大阪市は今年4月から、学校教育法で「学校」として扱われる幼稚園の保育料は原則全額無料、認可保育所の保育料は5~6割部分を教育費とみなし、所得制限なしで無料にした。吉村洋文市長は19年12月までの任期中に3、4歳児へも拡大する考えを示していた。

http://mainichi.jp/articles/20161025/ddf/041/010/007000c

「未来へ投資」4歳児も教育無償に 大阪市、認可外保育所も検討

大阪市の吉村洋文市長は、5歳児に対して実施している教育無償化を、来年度から4歳児にも拡大する方針を明らかにした。

5歳児の教育無償化は、政令市としては初めてで、市は今年度当初予算に約25億2千万円を計上し、保護者の所得に関係なく国公私立の幼稚園(一部の私立は保育料に上限あり)に通う5歳児の保育料を全額無償化。認可保育所の5歳児は保育料のうち5~6割(教育費相当分)を無償化している。

市によると、4歳児を無償化すれば、来年度計約53億8千万円が見込まれる。また、現在は対象外の認可外保育所に通う幼児を含めるかどうかも検討している。

吉村市長は今任期中に、3歳児までの教育無償化の実現を目指すと明言している。25日の市議会本会議の答弁では、「将来の消費者、納税者となる子供の未来への投資だ」と強調した。

http://www.sankei.com/west/news/161026/wst1610260065-n1.html

方針を表明したのは、平成28年10月25日に行われた大阪市会本会議です。高見亮(維新)からの一般質問に対する答弁でした。

・幼児教育の無償化は子どもに対する未来の投資だというに考えている、最終的には社会に返ってくる
・幼児教育は犯罪率の低下・所得の向上・生き抜く力を育む上で重要
・子供、幼児に対する積極的な投資について評価を頂いている
・子育てはお金が掛かる時期なので、負担が軽減されて喜んでもらえている
・質の向上、待機児童対策等の関係もあるが、必要な施策は実施していく
・平成29年度から幼児教育の無償化の4歳児への拡大を実現したい

上記市長答弁より趣旨を抜粋

5歳児のみでなく4歳児や3歳児にも拡大したい方針は、就任直後から吉村市長が主張していました。課題となるのは財源です。5歳児の無償化財源25億円は、人件費の削減・シーリングの実施等で確保しました。今後、財政調整基金の活用や、事業見直し・民営化等を検討するのではないでしょうか。

子供に対する投資=教育費無償化?

なお、あくまで私見ですが、幼児教育の無償化には大きな問題があると感じています。「教育費無償化は、市長が掲げる教育への投資に繋がらない」からです。

既に5歳児の95%は保育所・幼稚園に在籍しています。教育費が無償化されても、幼稚園等の在籍率は向上しないでしょう。犯罪率の低下・所得の向上・生き抜く力の育みには繋がりません。

教育投資を行うのであれば、幼稚園・保育所等を通じた教育の充実に市税を投じるべきです。職員人件費・施設整備費・保育所の新設等、様々な使い道が考えられます。

このところ、様々な場所で「(特に市立)幼稚園や保育所の建物が老朽化している」という話を聞きます。築40年前後という建物は珍しくありません。これは、小中学校も同様です。

保育料を家庭へ還元しても、その使途はまちまちです。習い事等に費やす家庭がある一方、生活費等へ充てる家庭もあるでしょう。投資に繋がるとは限りません。

教育費無償化=所得格差が更に拡大

更に大きな問題は、教育費無償化による受益は高所得世帯ほど大きいという点です。保育料・幼稚園の就園奨励費は応能負担となっており、所得が高いほど自己負担額が大きくなる仕組みです。

教育費が無償化され、従来は高額の保育料等を支払っていた世帯は大きな経済的メリットがありました。一方、極めて低額の保育料等しか払っていなかった低所得世帯・生活保護世帯には何らメリットがありません。教育費無償化は、親の所得格差が子供の教育格差を更に広げる効果を有しています。

認可外保育施設の教育費無償化はハードルが高い

実施へ向けて課題が大きいのは認可外保育施設です。大阪市内では5歳児の約5%・4歳児の約6%が認可外保育施設へ登園しているそうです(それ以外はほぼ全てが保育所・幼稚園)。

・認可外に通っている5歳児は5パーセント程度
・特別な英語教育等、教育の中身を市は実態を把握できていない
・行政が関与できないので従前から税を投入していない
・教育部分だけ税を投入するのは、なかなか難しい
・多子減免、多子世帯の保育料減免でも認可外を除外している
・認可外は市税投入が一切できる状況にない
・認可外に通っている5歳児は約5パーセント、500人
・4歳は約6パーセント、3歳児は一挙に増えて16パーセント
・無償化を3歳まで広げるときに、認可外が現実の問題として課題になると思う
・認可に入りたいけど認可外に通っている5歳児はゼロではないと思うが、線を引かなくてはならない
・認可に移行できていない(認可外)保育所自体をできるだけ減らしていきたい
・施設整備すら一切市税を投入していない所に教育費だけ税を投入するのは理屈としておかしい

平成28年2月19日の市長会見より抜粋

認可外保育施設は千差万別です。児童をただ預かるだけの施設・24時間保育・充実した幼児教育・富裕層向けの受験指導施設等、その内容は多岐に渡ります。経営主体も千差万別です。市税を投入する基準・対象者・投入額、根本的には大阪市と認可外保育施設との関わり方が大きな議論となるのではないでしょうか。

5歳児教育費無償化(本予算案)について議論された大阪市会・教育こども委員会(平成28年2月)では、財源問題等の指摘があったものの、多くの会派の賛成によって可決されました。橋下市長時代とは大きな違いです。4歳児教育費無償化案も同様の流れとなるのではないでしょうか。

先鋭な議論が予想されるのは認可外保育施設です。予想される主張を推測してみます。

・保育所等の充実を通じた待機児童対策に充てるべき
・教育的な活動を行っていない単なる託児施設は、「教育費無償化」にそぐわない
・高度な幼児教育や受験指導を行っている施設は、全額を自己負担して通園すべき
・認可外保育施設を自ら選んでいるので、市税を投入すべきではない(4-5歳児は待機児童がほぼゼロ)
・施設経営者と幼児保護者が共謀すれば、容易に不正受給が可能
・認可外施設から認可施設への以降に逆行する

一方、認可外保育施設へ登園している世帯に対して、何らかの助成措置を行っている自治体は徐々に増加しています。関西では門真市・明石市・長岡京市・三田市等で実施(予定)しています。また、東京都内の各市町村では、認証保育所(一定の基準を満たした認可外保育施設)の入所者に対して所得に応じた補助を行っています。

但し、京都市・神戸市・堺市といった関西政令市では行っていないそうです。財源・対象者等が膨大になるからでしょうか。

門真市認可外保育施設利用者補助金
認可外保育所利用世帯にも補助 明石市が新制度
認可外保育施設利用助成金の申請(長岡京市)
認可外保育施設利用者補助事業(三田市)
認証保育所の保育料の補助について(世田谷区)

4歳児・認可外保育施設における教育費無償化案は、10月25日(今日の午後)の大阪市会本会議で吉村市長が表明する予定です。具体的な内容や考え方に大いに注目です。