5歳児教育費無償化案とは?
大阪市会の平成28年第1定例会にて、5歳児教育費無償化が盛り込まれた予算案等が審議されようとしています。
これが5歳児教育費無償化案の内容です。幼稚園保育料の細分化と同時に行われる見込みです。これによると幼稚園保育料は無償となっています。
一方、保育園保育料は教育部分のみが無償とされ、概ね現行の半額程度の保育料が来年度以降も必要となります。また、無償化対象には認可外保育施設は含まれていません。
記者からの質問は認可外の扱いに集中
平成28年2月19日、予算案に関する市長会見と記者との質疑応答が行われました。市長が重点項目とした教育無償化に多くの質問が集まりました。大阪市ウェブサイトに全文が掲載されていますが、話し言葉で読みにくい為、まとめて要旨を記載します。
○市長
・今年度から5歳児から幼児教育の無償化をて実施したい
・大阪において、人材に対する教育というのが何より必要だと考えている。
・社会が豊かであるために、子どもたちが社会を支えられるように、生き抜く力を身に付けてもらいたい。
・特に道徳心や社会性、知性、体力、そういった基礎を担う重要な幼児期を充実させたい。
・欧米ではすでにもう幼児教育の無償化が進んでいる。
・欧米での無償化は5歳児を対象にしている国が多い
・幼児教育のGDP比や公私の負担割合はOECDの加盟国で最下位
・今後、段階的に4歳、3歳というふうに下げていきたい
・大阪市の児童・生徒の学力テストでの平均正答率は全国平均を下回っている。
・小1プロブレムの解消、幼児教育と義務教育との接続を図りたい
・所得制限は設けない
・幼児教育が本当に重要な施策であるという明確な意思表示、明確なメッセージも出していきたい
・質の高い幼児教育に繋げていきたい
・待機児童対策は非常に重要
・無償化による反射的な効果として、子育て世代の負担軽減、少子化の対策、子育て世代の定住促進も期待している
・子ども子育て新制度に移行している幼稚園は保育料が無償
・預かり保育料はこれからも負担いただく
・保育所は教育費相当額を無償にしていきたい
・新制度に移行してない私立幼稚園は、就園奨励費の最高額を上限として助成する
・児童発達支援事業所も無償化
・教育を受ける機会を均等に図っていくという観点から、所得制限は設けない
・教育内容の質の向上を更に図っていきたい
・就学前教育カリキュラムを更に徹底していきたい
・資源のない日本では、人材への投資、教育というのが最も重要
○毎日放送
・5歳児の無償化の財源25億円等はどう対応するのか?
○市長
・人件費の削減、シーリングの実施等を行い、予算全体の中で組み込めたと考えている。
○毎日放送
認可外保育施設は?
○市長
・認可外に通っている5歳児は5パーセント程度
・特別な英語教育等、教育の中身を市は実態を把握できていない
・行政が関与できないので従前から税を投入していない
・教育部分だけ税を投入するのは、なかなか難しい
・多子減免、多子世帯の保育料減免でも認可外を除外している
・認可外は市税投入が一切できる状況にない
○朝日放送
将来の財政収支見通しには3歳児までの分は入ってない。更なる財政削減策は?
○市長
・3歳、4歳の財源見通しはこれから判断していく
・財政調整基金を積み上げていく
・事業見直しや民営化を継続していく
○読売テレビ
認可外を利用している保護者から納得いかないという声がある
○市長
・認可外に通っている5歳児は約5パーセント、500人
・4歳は約6パーセント、3歳児は一挙に増えて16パーセント
・無償化を3歳まで広げるときに、認可外が現実の問題として課題になると思う
・認可に入りたいけど認可外に通っている5歳児はゼロではないと思うが、線を引かなくてはならない
○こども青少年局長
・5歳児の待機児童そのものは、ほぼゼロに近い
○市長
・5歳児は待機児童の問題ではない
・3歳になると待機児童の点が出てくる
・3歳児の無償化で認可と認可外で分けるのは大きな課題だと認識している
○読売テレビ
・認可外の不公平感は否めないと考えているのか?
○市長
・認可に移行できていない(認可外)保育所自体をできるだけ減らしていきたい
・施設整備すら一切市税を投入していない所に教育費だけ税を投入するのは理屈としておかしい
○読売テレビ
・今後は認可外から認可への移行を進め、無償化を広げていきたいという考えか?
○市長
・無償化対象外の施設を選ぶ保護者の選択であれば、仕方がない
・ただ待機児童の受け皿としての認可外には、この施策を反映できる仕組みを考えたい
○朝日新聞
・人口流出を食い止めて定住を図る為に、地方の自治体は現役子育て世帯に重点投資するのは見聞きするが、大都市の大阪でめざすべき姿はそこか?
○市長
・子どもたちの幼児教育、初等、中等教育を担ってるから、力を入れるのは当然
・近隣都市から来てください、という考えではない
・高齢者に3万円を配るのではなく、子どもの貧困対策や子どもの教育に使うべき
・全体的に国の動きはそういう方向に向いてない
・大阪でも高齢者重視でやってきたがもう少し現役世代や子どもにスポットを当てたい
○朝日新聞
・現役世代への重点投資は選挙にリンクしているか、意識しているか?
○市長
・選挙としてははマイナスだと思っている
・維新が現役世代への重点投資と選挙で訴えているのは、現役世代に響いてないと思っている
・必要な所に政策を打っていくのが結果的に支持に繋がると思う
・あえて意識しない
○読売新聞
・無償化は5歳児の後に4歳、3歳と1年毎にやっていくのか、それとも一気にやるのか?
○市長
・一気にっていうのはなかなか難しい、やるとしたら年ごとに段階的に、時期は言えない
・財政、予算、市政改革プランを見極めて判断したい
・任期中に4歳、3歳と下げたい
・思いだけでやる訳にはいかない
○読売新聞
・4歳、3歳それぞれどれぐらいかかる?
・全体で4歳、3歳、50億ぐらい?
○市長
5歳の額と、それほど大きくは変わらない
○NHK
大阪市の予算案を一言で言うと?
○市長
「5歳児教育無償化予算」です。
○産経新聞
国による拡充が進まなくなったとしても、市単独でも継続できる自信は?
○市長
・国の制度ができることを前提にしてる訳ではない
・市単独でも5歳児の無償化は続けていくべき