大阪市全体での新規入所申込数は前年比553人増でありながらも新規入所児童数は672人増え、入所倍率は0.03倍低下して1.26倍となりました。
ただ、区毎の状況はマチマチです。
今回は区毎の入所状況等を大まかに分析していきます。

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大阪市の保育所入所待機児童数について(平成26年4月1日現在)より作成

<保留率・在籍率>
市内平均より2割以上高い区をオレンジ色、2割以上低い区を水色で表しています。

<新規入所申込数・倍率>
前年より10%以上上昇した区をオレンジ色、10%以上低下した区を水色で表しています。

<就学前児童数>
前年より3%以上増加した区をオレンジ色、3%以上低下した区を水色で表しています。

【1.入所倍率・保留率】
保護者にとって最も気掛かりなのは「保育所へ入所できるのか」という点でしょう。
希望する保育所等へ入所できたか否かは、待機児童数ではなく保留率・保留児童数が参考になります。
公表されているデータから、区毎の入所倍率・保留率を算出しました。

H26一斉入所で最も入所倍率・保留率が高かったのは、やはり西区でした(西区申込分析)。
入所倍率は1.72倍、保留率41.9%でした。
新規入所申込を行った児童の内、5人に2人以上は入所できなかった計算となります。
次に高いのは中央区で、同じく1.62倍/38.4%でした。

この2区は以前から入所倍率が極めて高かったのに加え、未就学児人口が更に増え、一方で保育所の新設が予定通りに進まなかったのが背景にあります。
西区では2保育所(りんりん保育園堀江敬愛保育園)が、また中央区では1保育所(御堂筋本町ちどり保育園)が平成26年4月の開所予定に間に合いませんでした。
ただ、西区では2保育所で年度途中に入所募集を行い、中央区でも夏頃の入所へ向けて準備を進めており、更なる新設も計画されています。
来年の入所倍率はやや下がるのではないでしょうか。

一方、西区・中央区と同様に市内中心部にありながらも入所倍率が大きく下がったのは北区・都島区・福島区です。
特に前年比0.32倍も低下した都島区は、平成26年4月に3保育所(トレジャーキッズともぶち保育園アスク野江内代保育園ぜんげんじさくらさくほいくえん)が開所されたのが大きく効果を上げています。
北区・福島区では更なる新設も計画されています。

一方、入所保留率が10%を下回り、相対的に入所しやすかったのは大正区・東成区・生野区・平野区・西成区です。
保育所在籍率が概ね4割を越えており、区民の保育所ニーズの多くが満たされているからでしょう。

【2.就学前児童数】
一般的に就学前児童数が上昇している地域は子育て世帯から人気があると言える一方、保育所等の整備が人口増加に追いつかずに入所しにくくなるケースが多いです。

昨年から就学前児童が3%以上増加したのは北区・中央区・西区・天王寺区・浪速区・阿倍野区と市内中心部に集中しています。
これらの区は入所倍率がいずれも1.35倍以上かつ在籍率が30%未満(浪速区を除く)であり、保育所整備が追いついていないと言えるでしょう。
一方、3%以上減少したのは港区・大正区・西淀川区・城東区・住之江区・東住吉区となっています。
就学前児童数の増減がはっきりと分かれています。

【3.新規入所申込数】
入所倍率と密接に関係しているのは、新たに入所を申し込んだ児童の数です。

前年比で100人以上増加したのは、北区・淀川区・住吉区・東住吉区でした。
北区を除く3区は就学前児童数は前年より減少しており、区民の保育ニーズが高まったのかもしれません。
保育所の増設を進めていた北区以外の3区で入所倍率が上昇し、昨年より入所しにくくなっています。

【4.区毎の傾向】
これらから、各区を大まかにグループ分けできます。
但し、区内部でも地域によって状況は大きく異なります。

(1)就学前児童数が増加し、保育所が足りない
北区・福島区・中央区・西区・天王寺区・阿倍野区といった市内中心部が該当します。

(2)就学前児童数や申込数は増加しているが、一定程度の保育所が整備されている
浪速区・都島区です。
両区とも保育所の新設が積極的に行われています。
ただ、新設直後は空き定員が多くて入所しやすく、入所倍率が低めに出るのにご注意下さい。

(3)就学前児童数は横ばいもしくは減少しているが、保育所ニーズが上昇し、不足感が強まっている
此花区・西淀川区・淀川区・旭区・鶴見区・住之江区・住吉区・東住吉区が該当します。

(4)就学前児童数が減少し、一定程度の保育所が整備されている
港区・大正区・東淀川区・東成区・生野区・城東区・平野区・西成区が該当します。

発表された資料から区毎の入所倍率等は判明しましたが、入所を希望する保育所でどれだけの入所基準点が必要かは読み取れません。
大阪市は各保育所毎の新規入所者の点数を公表しています。
このデータを基に、各区毎・保育所毎の入所状況を探っていきます。