東京都の小池知事は都議会にて「(今年10月から導入される第2子保育料無償化に加え)第1子保育料無償化も進めていく考えを明らかにしました。

 東京都の小池百合子知事は25日、都独自に第1子の保育料の無償化を進めていく考えを明らかにした。すでに取り組んでいる無償化事業を拡充し、0~2歳についても所得制限なしで全員、無償化したい考えで、都議会で「区市町村と連携しながら、具体的に検討していく」と述べた。

第1子の保育料無償化は、小池知事が7月の知事選で公約の目玉の一つとして掲げていた。

保育料をめぐっては、国が現在、3~5歳までを無償化し、0~2歳は住民税非課税世帯などを対象に無償化している。都は国の助成に上乗せする形で独自に無償化の対象を広げており、現在は0~2歳の第2子以降について所得制限なしで全額無償としている。

この無償化の対象を第1子にも広げる方針で、具体的な開始時期などについて検討を進める。小池知事はこの日、「少子化対策は一刻の猶予もないことから、この手を緩めることなく取り組みを加速していくことが必要だ」と強調した。

https://digital.asahi.com/articles/ASS9T1V26S9TOXIE00PM.html

大阪市も同様の施策を検討しています。

【重要】「0-2歳児保育料無償化を2026年度から実現したい」大阪市長

東京都は日本一豊かな都道府県なので、財源問題は容易にクリア出来るでしょう。実現に当たって最大の問題となるのは、第1子保育料無償化によって更に増加する保育需要に対する保育所等の整備です。

大阪市が行ったアンケートによると、1歳児の在宅児童(33.2%)の内、32.5%が無償化になれば利用して就労したいとの考えを示しています。現在の1歳児保育ニーズ66.8%が約78%へと増加すると考えられています。つまり保育需要を約10%押し上げる効果があると推定されます。
第1子保育料無償化によって保育ニーズが1割増加 大阪市が試算

東京都と大阪市は都市規模や保育所等の整備状況に大きな違いはありますが、同じ都市部における子育て世帯の潜在的な意識に大きな違いは無いでしょう

東京都の令和5年出生数は8万8295人でした。大阪市の推計に単純に当てはめると、1歳児の保育需要が約8,800人ほど増加すると推定されます。0-5歳児で5万人以上となります。これに見合うだけの保育所等は整備できるのでしょうか。

大阪市でも無償化によって増加する保育需要に応じられるだけの保育所等が整備できるかが、第1子無償化導入の可否を大きく左右しています。無償化でも利用保留となってしまった子育て世帯からは極めて強い不満が噴出します。行政の公平性に著しく反します。

東京都の第1保育料無償化に対しては近隣県から懸念や不満の声が上がっています。

都の保育料無償化「まだやるの」 千葉知事、格差を懸念
https://news.yahoo.co.jp/articles/2fd22435de1a195879cd098245d8cefc987d3830

また、一般的に保育料無償化の目的は、子育て世帯の経済的支援による少子化対策とされています。確かに保育料無償化によって子育て世帯の経済状況は好転します。

しかし、だからといって「子供をもう1人・・・」という考えにはなかなか直結しません。子供を育て上げる20年後の収入、家屋の広さ、高騰する学校教育費と学校外教育費、親の健康状態、夫婦の考え方、柔軟な就労の可否等、様々な事情が影響します。

少子化の最大の原因は「未婚者の増加」です。これに対する対策が政府・自治体共に乏しいのが残念です。