2025年度保育所等一斉入所申込状況分析、第6回は阿倍野区です。

※10月28日に発表された数字に基づきます。保育士等優先利用数は申込者数に含んでいます。



昨年と比較し、入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.1倍以上減少した区は水色、また入所倍率が2倍を超えた箇所は赤で表示しています。

阿倍野区が重視した地域型保育事業への希望者は若干数

阿倍野区の申込数は前年より30人増の714人、募集数は5人減の561人となりました。入所倍率は市内で3番目に高い1.27倍となりました。0歳児と1歳児の申込数が際立って増加しています。

0歳児申込数は前年より30人増の183人となりました。入所倍率はほぼ1倍である0.97倍まで上昇しました。1歳児申込数も前年より23人多い331人となっています。

他区と比べ、阿倍野区は地域型保育事業や幼稚園を母体とするこども園が多い地域です。保育所新設以外の手段にも重きを置いて、待機児童対策を行ってきました。

しかしながら、多くの保護者が入所を希望しているのは「6年保育を行う保育所やこども園」です。卒園まで同じ施設で過ごせ、複数のきょうだいを別の保育所等へ送迎する手間も省けます。0-2歳児保育を行う地域型保育事業のメリットもありますが、「複数の未就学児がいる家庭は、一時的でも2か所保育を強いられる」という極めて大きなデメリットが存在します。

0歳児や1歳児の第1希望が保育所やこども園に集中し、0-1歳児全体の入所倍率を遙かに上回る保育所等が数多く生じています。

様々な事情があったのでしょうが、子育て世帯の希望と施設整備が乖離してしまいました。昨年ですら厳しかった保育所やこども園への0-1歳児入所が、今年はより厳しくなっています。

本当に難しい1歳児、きょうだいでも入所できないリスク大、翌年の2歳児申込も?

以下、年齢別に見ていきます。

区全体での0歳児入所倍率が1倍を切っているので、数字の上では全ての入所希望者が入所できます。しかし、第1希望は6年保育を行う保育所等に集中しています。施設数ベースで約4割を占める地域型保育事業(この割合は大阪市内トップか)を第1希望としている方は、決して多くありません。

0歳児第1希望が2倍を超えたのは、望之門保育園・クオリスキッズあべの橋保育園・りんりん保育園阪南町・あゆむ保育園(募集数1人)でした。募集数が少ない保育所等では、きょうだい加点がある児童によって定員を充足する可能性が高いです。第1子での入所を考えている方は、他の保育所等も検討してみて下さい。

非常に難しいのが1歳児です。募集数239人に対し、331人が申し込んでいます。その内、地域型保育事業(募集数55人)を第1希望としているのは16人です。保育所やこども園に限ると、入所倍率は2倍弱まで高まります。

入所倍率が3倍を超えたのはナルド夜間保育園(7倍、募集予定数1人)・にしたなべ太陽保育園(4倍、募集予定数2人、保育士優先枠あり)・あい保育園昭和町でした。いずれも募集予定数が極めて少ない事から、きょうだい加点があっても入所できない児童が生じるのは避けられません。

にしたなべ太陽保育園やあい保育園昭和町は0歳児募集数が非常に多い反面、1歳児募集数は最小限に絞っています。0歳児と1歳児では入所に必要な点数が余りに違い過ぎます。不公平感が強いです。

入所倍率が概ね2倍以上、かつ保育士等優先枠の利用者がある保育所等も少なくありません。育徳園保育所・高松保育園・ながいけ認定こども園・クオリスキッズあべの橋保育園・あべのげんき保育園・グレース幼稚園・Pingu’sEnglish昭和町が該当します。フルタイム共働きであっても入所できない可能性があります。

不可解なのは望之門保育園です。2024年は8人、2023年は6人の1歳児募集がありました。しかし今年の募集予定はありません。誤って「0人」としたのか、それとも何らかの事情で1歳児募集を行えなかったのかは不明です。

また、松の実保育園の第1希望が激減しています。2年前は16人でしたが、今年は5人にまで減少しています。数年前に区北部で保育所の新設が相次いだ影響を受けたのでしょうか。

2歳児の入所倍率は前年とほぼ横ばいの1.59倍です。0-1歳児と比べて、2歳児は募集予定数が少ない保育所等が多くを占めます。たとえ数人でもそうした保育所等を第1希望とすると、入所倍率が途端に跳ね上がります。

2歳児入所倍率が3倍を超えたのは、きたばたけ保育園(5.5倍、優先枠あり)・長楽保育園(4.5倍)・せいあい保育園(4倍、募集予定1人)・あべのげんき保育園(優先枠あり、3倍)でした。

これらの保育所等は2024年一斉入所での1歳児入所倍率が非常に高く、きょうだい加点があっても入所できなかった児童が生じた可能性があります。2024年4月からは別の保育所等へ入所したものの、来春にきょうだいで同じ保育所等へ通える様にと転所申請を行った児童を含んでいるでしょう。

更にきたばたけ保育園やあべのげんき保育園では、保育士等優先枠での申込みがあります。実質的な募集人数は更に少なくなります。

0-1歳児とは異なり、2歳児は地域型保育事業での募集が殆どありません。高倍率の保育所・こども園へ入所できなければ、家庭保育の延長や企業主導型・認可外保育を考えざるを得ません。第1子ならともかく、(無償化された)第2子以降は費用面で割高感があります。

3歳児は更に困難です。3歳児募集予定数34人は、数多くある地域型保育事業の卒園児数を上回る恐れがあります。それ以外となると絶望に近い状況です。

阿倍野区では地域型保育事業の新設や幼稚園から認定こども園への移行を重視したツケが生じています。負担させられるのは子育て世帯です。

今後の予定&運営支援のお願い

今年も各区毎の申込状況等を分析し、様々な情報等を掲載する予定です。次回は東淀川区を予定しています。

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