幼児教育・保育の無償化が始まり、1カ月が経とうとしています。

これによって子育て世帯の経済的負担が減少するとの建前でした。

が、一部の施設では「値上げ」を行い、制度の不備も相まって「負担増」となってしまった世帯もあるそうです。

無償化なのに値上げ?! 保育の現場で何が
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191024/k10012146601000.html

幼保無償化なのに「12万円負担増」 制度の落とし穴
https://digital.asahi.com/articles/ASMBK5G6FMBKUCLV00Z.html

幼保無償化で便乗値上げ? 園長に直撃、漏らした本音
https://digital.asahi.com/articles/ASMB834JMMB8PTIL003.html

各紙の記事等をまとめると、こうした内容となります。

・相対的に高額の保育料を負担していた中高所得世帯は、無償化によって負担額が大きく減少した。
・保育料が低額に抑制されていた低所得世帯は、無償化されても保育料額は大きく減らなかった。
・経営改善の為、無償化限度額まで保育料を値上げした幼稚園・認可外保育施設が少なくない。
・無償化対象外の実費負担経費(給食費・諸経費等)が値上げされ、無償化による減額分を上回る世帯も生じた。
・値上げに対する説明が不十分な施設も。

保育に関するここ数年の流れから推測する限り、経済的負担が増大してしまった世帯への助成措置は多くの自治体で早急に行われると感じています(但し、子育てを軽視している一部自治体では放置される恐れも)。

消費税収の大半が中高所得世帯の経済的負担の軽減に充てられる一方、低所得世帯への手当が僅かに留まる事は国会等で繰り返し指摘されていました。

【日本総研より】幼児教育無償化の問題点(池本美香氏)

また、無償化限度額まで値上げする動きが広まるのは、当然ながら予期されたものでした。

10月から導入された幼保無償化を突き詰めると、「全国民が納税する消費税を、未就学児を育てる中高所得世帯へ重点的に配分し、それを通じて幼児教育施設の経営改善に資する」ものと感じています。

確かに中高所得世帯の家計支出に占める保育料の割合は決して低くありません。また、人件費や物価等の上昇により、経営に苦しむ幼児教育施設も少なくありません。

この制度によって置き去りにされたのは、子育て中の低所得世帯です。

保育施設等へ納める給食費の増額に増税分を含めると、家計負担額が増大した世帯は更に増加します。

今後、低所得世帯の子育ては苦しくなる一方だと考えられます。仮に幼保無償化の狙いが「貧乏人は子供を産むな」であれば、効果的な制度でした。