大阪市は2024年9月から第2子保育料無償化を実施します。
これに加えて、大阪市の横山市長は「2026年から第1子保育料も無償化したい」と主張しています。
課題となるのが財源、そして無償化によって増大する保育需要に対する保育供給の整備です。無償化によってどれだけ入所希望者が増えるのでしょうか。
大阪市が昨年行ったニーズ調査によると、保育所等を利用していない子育て世帯の約半数が「保育料無償なら利用したい」と回答しました。
これらを踏まえ、2024年9月28日に行われた「大阪市待機児童改称特別チーム会議(第21回)」で配布された資料には、「今後の保育ニーズの考察」という項目があります。
まずは今年9月から実施される第2子保育料無償化により、既に保育ニーズは大幅に上昇すると考えられています。1-2歳児保育ニーズは前年より4.5%も高い65.9%に達する試算が示されています。
これに加えて第1子無償化が実施されると、1-2歳児の保育ニーズは更に10%程度増加すると見込まれています。
これは非常に大きな数字です。ただでさえ厳しい1歳児への入所希望者が更に1867人も増加するとの試算が打ち出されています。
2024年度一斉入所では1歳児募集数5294人に対し、6437人に申し込みがありました。これに1867人を加えると、潜在的な申込数は8304人となります。見かけの入所倍率は1.22倍から1.57倍へと急騰します。
0-2歳児での入所が急激に難しくなり、無償化に期待して申し込んだにも関わらず入所できなかった子育て世帯から不公平を訴える声が続出するのは避けられません。
では、これに見合う保育所等が整備できるのでしょうか。実は令和6年度の整備は難航しています。8月28日時点で整備目標に対して約6割程度しか進捗していません。
https://www.city.osaka.lg.jp/templates/chonaikaigi2/cmsfiles/contents/0000634/634312/21sanko.pdf
特に北区・福島区・中央区・西区・西淀川区・東成区・東住吉区で難航しています。都市部に限った話ではありません。また、2024年度一斉入所が極めて厳しかった東淀川区・旭区・港区は整備目標が低すぎると感じています。
こうした現状を見る限り、第1子保育料無償化がすんなりと実施できるとは考えにくいです。無償化に至らずとも、まずは保育料の大幅引き下げ(第1子から現行の半額?)を行い、需要の変化等を見守るのも一つの手段でしょう。