日本列島各地に大きな被害をもたらした2024年台風10号が襲来した際、福岡市教育委員会は暴風警報が発表されたにも関わらず児童を登校させた直後に下校させるという、あり得ない対応を行いました。

【2024年台風10号】暴風警報でも登校→急遽臨時休業→緊急下校やお迎えで大混乱 福岡市立小中学校

保護者からの苦情等が複数寄せられたそうです。大阪で同じ事態が起きたら、保護者からの苦情が「殺到」するでしょう。

 風水害に襲われたとき、学校の登下校時間の変更や休校をどう判断するか、各自治体が頭を悩ませている。8月下旬に日本列島を襲った台風10号は進路が読みづらく、一部で混乱も起きた。台風シーズンが続く中、安全確保の手探りが続く。(中略)

 市教育委員会には、保護者らから「連絡が遅い」「なぜ急に判断が変わるのか」といった苦情が複数寄せられたという。

 こうした混乱は、市教委の唐突な方針変更が原因だった。

 市教委は28日のうちに「29日は給食後に下校」などと市立学校に通知。だが、29日午前6時半ごろに暴風警報が発表され、急きょ速やかに児童生徒を下校させるよう方針を転換した。保護者に伝わったのは、登校時間帯の前後に重なった。

 市教委は気象台から台風の進路情報を得ていたが、「予想がつきにくく判断が難しかった」と釈明した。

 一方、週末を挟んで台風を待つ状態になった群馬県高崎市教委は、9月2日の月曜日に予定していた市立小中学校などの始業式の延期を8月30日に決め、各校に通知した。

 担当者は「進路や勢力が読めない台風だったが、土日に休校を検討して各家庭に連絡する混乱を考えると、児童生徒の安全を最優先して早めに決定した」と話した。また、家庭での都合がつかない場合は保護者が送迎の上、午前中は子どもたちを学校で預かる対応も取ったという。(以下省略)

https://digital.asahi.com/articles/ASS9M3D1JS9MTIPE00YM.html

批判を受け、福岡市教委は「台風が福岡地方に接近しつつ、福岡地方が「暴風域」「強風域」に入る見込みの場合」に「全市一斉休校」を行うとする新たな基準を定めました。


https://www.city.fukuoka.lg.jp/kyoiku-iinkai/gakkoshien/ed/typhoonkijun.html

新たな基準にも驚かされました。基準の体裁を取っていますが、「基準」とは言い難いです。「見込み」という曖昧な文言が用いられており、基準に必要な客観性を欠いています。いつ暴風域等に入るかという、時間的な基準もありません。

学校や市教委は柔軟や迅速な判断が極めて苦手な組織です。前例踏襲という意識が非常に強く、刻々と変わる事態に適切に対応できない局面を何度も目撃しました。

更に教育関係者は気象情報等に関して専門的な知識を有していません。気象庁から情報を得たとしても、適切に判断できるのでしょうか。

その点、大阪市立小中学校は明快です。午前7時時点で大阪市に暴風警報や特別警報が発表、もしくは地震等によってJR大阪環状線及び大阪メトロが全面運休している場合は臨時休業となります。

https://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=e721638&frame=frm52366870e2902

また、各学校の地域特性(海や川が近い、特定の鉄道路線に依存している等)に応じ、基準を追加している学校も数多くあります。そうした情報は年度始まりの際にペーパーで配布し、かつ気象災害が予想される場面では一斉メール等で重ねて通知しています。

こうした基準を気象台も把握しているのでしょうか。確実に台風が日中に接近すると考えられる場合、暴風警報はまだ風が弱い明け方に発表される事例が少なくありません。

保護者としては判断に迷いません。6時台に起床してニュースやスマホで暴風警報の有無を確認するだけです。暴風警報が発表されていたら子供が自宅で過ごす段取りを組み、発表されていなかったら子供を学校へ行かせるだけです。

福岡市の新基準は極めて曖昧です。今後も同様の混乱が生じる恐れが高いでしょう。