首都圏や政令市を中心に、保育所等へ入所できなかった待機児童・保留児童は少なくありません。特に東京23区では申込者の半数が入所できない区がある等、深刻な状態となっています。

東京都中野区(Aさん)・港区(Bさん)・世田谷区(Cさん)で子供が待機児童となってしまった方々が、朝日新聞のインタビューに応えました。

 ――保育園に入るための活動(保活)はいかがでしたか?

Aさん フルタイムの共働きだからどこかに入れると思っていたので、区役所から(落選を示す)「保留」と書かれた通知を受け取った時はびっくり。4月までにはどこかに引っかかると淡い期待もしたが、かなわず、育児休業を延長した。上司から「10月には何とかならないか」と言われるが、自分の力ではどうしようもない。

Bさん 認可保育園を第19希望まで書き、すべて落ちた。認可外の4園も落選。今は1日ごとに予約する一時保育でしのいでいる。空きがない日もあるうえ、5時間までしか利用できず、在宅勤務でできる範囲の仕事をするしかなくなっている。

Cさん 7年前に長男が認可保育園にすべて落ち、認可外の保育園に預けた。次男、長女も合わせて計5回の保活をしたが、7年たっても改善されず、むしろ厳しくなっていることに憤りを感じ続けている。

(以下、会員限定部分につき省略。なお、無料会員でも1日1記事は全文が読めます。)

digital.asahi.com/articles/ASK681DMMK67UTFL00S.html

東京23区、しかも利便性が高くて地価が高そうな中野区・港区・世田谷区等でも保育所等への入所は、困難を極めている様子が窺えます。手元の数字を見ると、大阪市西区・中央区・天王寺区・北区等も似た状態です。

フルタイム共働きでも0歳児入所できない・第19希望まで書いても全滅・3人の子供を併せて5回も保育所等への入所をしたとは、本当に大変です。

それだけ都内は保育ニーズが強く、そして保育所等が不足しているのでしょう。

3人の本音は会員限定部分に記されています。特に重要な「自治体への苦情や要望」に関する部分を引用します。(なお朝日新聞の保育関係記事は充実しています。この機会に登楼されてはいかがでしょうか。)

Bさん フルタイムの会社勤めでないと「(入園選考の)ポイント」が低い。区役所の窓口で担当者に苦笑いされ、申し込んでも無駄かもしれない状況を知って深く傷ついた。

Aさん 入れるなら引っ越したいが、「待機児童ゼロ」と言っても(隠れ待機児童がいて)実際はゼロじゃない自治体もあるから、どの数字を信じていいのか……。郊外に引っ越すのは、職場が遠くなって親子ともに負担なので、現実的でない。

Cさん 自治体は住民の要望を取り違えている。うわべの数字で待機児童が「ゼロ」になればいいのではない。正直に数字を出して、どんな対策を取ろうとしているのか示してくれれば、それを評価するのに。

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インタビューに応えられた3人は、揃って自治体の対応や情報開示に不信感を持っています。

ポイントが低いと苦笑いするのは言語道断でしょう。自営業やフリーランスとして働いている保護者のポイント制度上でどの様に扱うかは、自治体によって大きく異なります。関西でも分かれます。

【ご相談】自営業・パート・非常勤だと保育所等へ入りにくい?

各自治体が「待機児童ゼロ」を目標に掲げ、争っている姿には違和感を覚えます。そもそも「待機児童」とは自治体が一方的に定めた定義に過ぎません。

保護者にとって重要なのは、申し込んでも入所できなかった児童をそのまま表した入所保留数・保留率、次いで各施設・年齢毎の倍率や入所最低点です。

「保育所等へ入りやすそう」という基準を持って住む地域を検討している方は、「待機児童数」を参考にするのは止めるべきです。実態と懸け離れています。

東京23区や大阪市中心部等に代表される、都市部への子育て世帯の転入はまだまだ続きそうです。どこに住むのは各家庭の選択です。

ただ、転居に当たっては地域の保育所等・小中学校の事情をよく調べて下さい。保育所は申込みが殺到して全く入れない、小学校は児童数が急増して運動場が殆ど使えない、では悲惨です。

【6/13追記】「母・父になるなら流山市はやめろ」と「大阪市中心部で子供急増・教室不足」

【H29保育所等一斉入所申込分析】(11)西区/なにわ筋沿いは最入所難地域・3歳の断崖絶壁