保育所等の利用を申し込む人の中には、「本当は入所するつもりがない」という方もいます。育休延長に必要な「入所不承諾通知」を入手する為です。
育休延長・給付金のため… 入園の意思ない保育利用申請
保育園の利用を申請し、落ちた場合などに、育児休業期間と育休給付金受給を延長できる国の制度を巡り、横浜市と川崎市が、保育利用の申請をしなくても延長できるようにするよう政府に求めている。育休延長のために形式的に保育の利用申請をする人が一定数いて、本当の待機児童数が見えにくくなっているためだ。
育児・介護休業法で、育休は子どもが1歳に達する日までとされている。育休期間中は、雇用保険の育休給付金として、給料の一定額を受け取れる。
保育園に申し込んだが入れなかった場合は、育休は2歳まで延長でき、給付金も受給し続けることができる。待機児童問題が慢性化するなか、保育園に入れず復職できない人のための、救済措置の性格だ。だが実際には、「もっと子どもと一緒にいたい」などの理由で、個人の選択として育休の延長を望む人もいる。
川崎市の昨年4月入園に向けた申請では、育休中の保護者約300人のうち約120人が、「絶対に入れない保育園に申し込みたい」と望んだ。 横浜市でも昨年10月時点で、申し込んだのに入れなかった「保留児童」5917人のうち、482人の児童の保護者は、育休中で復職する意思がなかった。
いずれも、保育園に入れないことを見越して申請し、「保留通知」を受け取って育休を延長するための申請が一定数含まれると、両市はみている。
こうした申請の存在は、待機児童の数え方にも影響している。
保護者が育休中の場合はこれまで、待機児童から除外する自治体が多かった。だが「待機児童隠しだ」との批判を受けて、厚生労働省は昨年3月、保護者に復職の意思がある場合は、待機児童に含めるよう全国の自治体に求めた。待機児童の定義を広げた上で、育休延長のための申請は差し引く狙いだった。
しかし、利用申請はもともと、子どもを預けて働く意思があることが前提だ。本当に入園させるつもりで申請する人と、育休を延長するために申請する人は、見分けがつきづらい。ある自治体関係者は「保護者は『育休延長のため』とは言いづらく、行政も『育休延長のためですか』とは聞きづらい」と明かす。
育休延長のために申請したのに、利用調整の過程で入園できることになってしまい、保護者が困惑する事例もある。このため横浜市は昨年6月、保育利用を申請しなくても育休の期間を延長できる制度にするよう、国に提案した。川崎市も昨年10月、国の規制改革推進会議で、育休期間を1~2年の選択制にするよう要望している。
「育休延長 不承諾通知」で検索すると、数多くのサイトが見つかります。そこで、厚生労働省が作成・公表しているチラシを参考にします。
昨年10月の制度改正により、「保育所等における保育の実施が行われないなどの理由により、子が1歳6か月に達する日後の期間に育児休業を取得する場合は、子が2歳に達する日前まで育児休業給付金の支給対象期間が延長できる」ようになりました。
具体的には「育児休業の申出に係る子について、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、その子が1歳6か月に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」が挙げられています。「実施が行われない場合=入所不承諾」です。
これを証明する書類として「不承諾通知」が求められています。チラシでは「市町村が発行した保育所等の入所保留の通知書など当面保育所等において保育が行われない事実を証明することができる書類」と記載されています。
川崎市の場合、育休中の保護者約300人のうち約120人が「絶対に入れない保育園に申し込みたい」と望んだそうです(※下記追記にて一部修正)。育休中の保護者の約4割に相当します。非常に高い割合だと感じました。
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(3/31追記)
コメント欄より「300人という数字は、おそらく4月入園できず(せず)、育休を継続した人の数です。」という指摘を頂きました。
川崎市のデータによると、「保留児童2,891人の内、産休・育休中が331人」となっていました。
http://www.city.kawasaki.jp/170/cmsfiles/contents/0000087/87044/170502-2.pdf
「育休中の保護者約300人のうち約120人・・・・」ではなく、「入所保留となった育休中の保護者約300人のうち約120人・・・・」が正しい表現です。
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大阪市でも実例があります。「不承諾通知書が欲しかった」というメールも頂きました。
育休を延長するか否かは個人の選択です。勤め先はともかく、第三者や行政が苦言を呈する類ではありません。保育を必要とする児童が減少する事により、保育所維持に要するコストも抑えられます。
そもそも「待機児童が正確に見積もれないから、不承諾通知目当ての申込みは止めて欲しい」というのはおかしな話です。育休延長を希望したいが為の申込みを、判別できる項目を追加すれば済む話です。
また、横浜市が提案している様に、「保育利用を申請しなくても育休の期間を延長できる制度」という考え方もあります。
不承諾通知は確実に?
関係者が困ってしまうのは「不承諾通知が欲しかったが、入所が内定してしまった」というケースです。大阪市では内定を辞退した上で2次調整へ応募、不承諾通知を得たという実例を聞きました。
しかし、当初の内定を得た事により、本来は入所できていた筈の児童が入所できなくなってしまいました。非常に残念です。
内定が辞退された枠は2次調整で募集される事となります。2次調整で募集する手間暇や、何よりも「1次調整で入所したかったのに入れなかった枠が、何故か2次調整で募集されている!」という怒りの声を招いてしまいます。
どうしても不承諾通知が欲しい方は、「確実に入所できない保育所等」を慎重に選ぶ必要があります。
一般論としては「都心部にある」「募集人数が無い、もしくは非常に少ない」「周囲に保育所が少ない」という保育所等のみを第1希望とすれば、おおよそ入所不承諾通知を得られるでしょう。
大阪市の場合、1歳児クラスではこうした保育所等は多数あります。一方、0歳児は募集数が多く、より慎重に考える必要があります。
今後、入所不承諾通知を求める申込みは増加していくでしょう。本当に入所したい保護者との区別を付けるべく、何らかの対応が求められそうです。
実際には川崎市の昨年4月に向けた新規入園希望者は、育休中以外の人も含めて1万人近くいたはずです。
育休中の全申請者のうち、入園の意思がなく申請した人の割合は2%弱かと思われます。
300人という数字は、おそらく4月入園できず(せず)、育休を継続した人の数です。
そのうちの120人ということです。
育休中の大多数は4月に入園しますし、認可外に入る人もいますから、そりゃあ復職意思のない人の4割にもなるわけです。
復職意思のない人にもいろんな事情があって、国の制度とは関係なく、会社からいわれて仕方なく申請した人もいると思ってます。昨年4月時点で育休延長のために不承諾通知が必要だったのは、0歳児クラスに申し込んだ4月生まれの子の保護者だけでしょうし。
復職意思のない人の4割→復職意思のない人が4割。
すみません。
コメントありがとうございます。
川崎市のH29データが掲載されていました。
http://www.city.kawasaki.jp/170/cmsfiles/contents/0000087/87044/170502-2.pdf
昨年4月時点での保留児童2,891人の内、産休・育休中が331人でした。
この中で育休中が約300人なのでしょう。
「入所保留となった育休中の保護者約300人のうち約120人・・・・」が正しい表現でした。
ご指摘ありがとうございます。
上記は昨年4月の数字なので、今年4月には跳ね上がる恐れがありますね。
復職意思のない人は様々な理由があるのでしょう。
不承諾通知を必要とする為の申込みは否定しません。
が、申込書を準備するだけでも一苦労です。
たまたま内定→辞退すると、他の申込者や入所調整に影響を与えてしまいます。
何か良い方法が導入されると効率化されそうですね。
ご対応ありがとうございます。
大元の記事の間違いに呆れてしまい(27日の夜にこっそり修正したようです)、
よどきかくさんはしっかり保護者の事情を汲んで解説されているのに、
変なコメントしてしまってすみません。
同じ題材で東京新聞からも記事が出ていました。
申請の段階で対応している自治体もあるようですね。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201804/CK2018040102000167.html
いえいえ。
ご指摘頂き、感謝しています。
東京新聞によると、一部の自治体は選考前に「育休延長の希望の有無」を確認し、希望によって選考対象から外す措置等を行っているそうですね。
育休延長に不承諾通知が必要という制度が続くのであれば、こうした対応が他自治体にも広がって欲しいです。
たまに異常に倍率が高い園がありますが、こういった理由もありそうですね。このような園でも、役所に最低点を聞くとそこまで高くなかったりして、もし受かっても辞退して、二次募集で保留にしてもらうケースが有ったのかもと勘ぐりました。
(この場合、一度辞退してるので、次年度も点数が下がるように思うのですが、育休取ってそのままやめたいケースならありうる?)
質問なのですが、大阪市では年度の前半生まれの場合、次の年度の0歳学年から応募できますが、兄姉がいて既に認可園に通っていて、出来るだけ長く育休が欲しいからほんとは下の子は一歳学年から入園させたい場合、下の子が一歳になった後の3月末(下のお子さんの慣らしを考えると4月中)まで、育休取得しても、上のお子さんは退園にはならないという認識で良かったでしょうか?
勿論一斉申し込みで上記のやり方で保留通知を受け取ったり、一歳のタイミングで取り合えず申請して年度途中で保留通知を受け取っておいて、ですが。
兄姉加点で入りやすくなるので、1番最初の入園可能なタイミングを逃したら、一歳までしか在園出来ないなどはないでしょうか。
(ないという認識だったのですが)
コメントありがとうございます。
内定辞退→2次調整で不承諾通知→育休延長→復職せずに退職、という方もいそうですね。
復職する予定だったが育児・家事・仕事の両立が難しいと感じたり、配偶者が転勤するので一緒に転居する事にした方もいるでしょう。
ご質問の件ですが、ピッタリの事例が大阪市ウェブサイトで紹介されてます。
上のお子様がすでに保育施設等を利用しており、保護者が育児休業を取得する場合で、こどもの発達上環境の変化が好ましくないと認められる場合は、保護者の申し出により、下のお子様が1歳の誕生日を迎える年度の3月31日までを限度に、利用中の保育施設等を引き続き利用することができるとしています。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000422908.html
育休を取得しても、下の子が1歳の誕生日を迎える年度の3月31日まで継続利用できるとされています。
満1歳では無く、満1歳後の年度末までです。
質問された内容で合っています。
仮に「満1歳」の場合、様々な問題が生じます。
例えば11月生まれの場合、年度途中での入所が厳しい保育所等もあるでしょう。
入所できないままで11月を迎えた場合、ストレートに適用すると在園している上の子が退園に追い込まれかねません。