保育士不足が明らかになった高等森友学園保育園につき、大阪市は7月1日での事業停止命令を検討しています。同園が保育士を採用したという証拠はなく、事業停止が命令される可能性が色濃くなっています。
一方、同園を利用していた保護者から大阪市に対し、森友学園・塚本幼稚園等に関する一連の疑惑が報道される数年前から繰り返し苦情・相談が行われていたと明らかになりました。
相談内容は重大な事柄ばかりです。5月22日に行われた大阪市会教育こども委員会にて、井上委員が保護者から入手した資料を明らかにしました。
「標準時間で保育が行われない」「土曜保育が行われない」「園長からの誹謗中傷が酷い」「1歳児のおやつがキウイでアレルギー発症」「おやつが乾パン」「誕生日ケーキの代わりにゼリー」「トイレから転落」「園児が園から脱走し、他の保護者に保護される」「給食が宅配弁当」「保育士が確実に不足している」という内容でした。
しかし、一連の疑惑が報道されるまで大阪市・淀川区は適切な対応を行わず、事実上、高等森友学園保育園による不適切な保育を黙認していました。
以下、同委員会での高等森友学園保育園に関する質疑(趣旨)を書き起こしました。井上委員による質問は、書き起こしの最後に記載しています。
5/22教育こども委員会(森友関係部分)
○山下委員
園を残して欲しいという超え、市が次の園を見つけて欲しい、様々な声がある
5歳児だけでも卒園まで保育させて欲しいという声もある
○市職員
5月13日で5歳児13人
10日に大阪市が把握しているのは非常勤3人(常勤換算1人)
日々4-8人が出張、4月は延べ101人、5月は15日までで延べ55人
○山下委員
5歳児だけでも特別な方法は無いのか?
○市長
保育士配置基準を守るのは当たり前、本来は既に保育できない
大阪市の保育士派遣は例外的、緊急避難的措置
保護者の事情は分かるが、5歳児を特別扱いするのは難しい
○山下委員
この保育所でなくても、5歳児が他の施設にまとめて転所する等、対応を願いたい
国会、大阪府議会、報道の影響は?
○市長
保育士をきちんと配置して欲しい
保育所の件は切り離し、客観的に考えている
虐待、補助金不正疑惑もあるが、最大の問題は保育士不足
保育士派遣、ポイント制を通り越しての優先転所措置は批判を覚悟している
できるだけ保護者、児童を考えた対応を取っていきたい
○江川委員
調査結果の内容、大阪市の方針は?
○市長
3/31に市職員が訪問、籠池総裁からも話を聞いた
職員の勤務実態について5/10に文書で報告があった
求めていた挙証資料が提出されず、追加提出を求めている、今も催促している
森友の協力を得て調査を進めている
不正が判明すれば、返還を請求する、継続告訴も視野に
○江川委員
児童虐待、人権侵害、命に関わる事も起きている
正座して給食、お漏らししたらお仕置き部屋、乳児に非離乳食、いずれも重大事態
事実確認と対応は?
○市長
5人の職員から聞き取り調査したが、事実は認められなかった
4/3から市保育士派遣、虐待に関する報告は受けていない
児童の嘔吐物をビニール手袋で対応すべきところ、素手で扱った事例はあった
保育士不足に強い問題意識を有している
○江川委員
保護者・地域関係者・子供等にもしっかりと事実確認をし、再発防止すべき
事実経過、今後の取組は?
○市長
児童虐待に関する報道はあったが、市としては確認できていない
重要な点なので、調査していきたい
反省すべきだが一般化すべきでない、例外的なケース
児童・保護者が対応の軸、特例的措置を講じた
保育所と幼稚園を共に経営している施設の運営実態を、府と共に進めていきたい
保育士の勤務実態につき、客観的な資料を義務づけていきたい
○井上委員
保護者が開園日数、保育内容等につき、ずっと以前から区役所や市役所に苦情を伝えて改善を求めていた
説明会では保護者との応対記録は残っていないという発言があった
○市職員
保育時間や土曜保育につき、淀川区役所経由で苦情は聞いていた
法人に対して指導した
平成27年度には支援法に基づいて総裁に出頭を求め、指導を行った
○淀川区職員
保育施設の運営に関する苦情に対して、区役所には指導権限がない
管理職に報告、記録を残し、市役所に報告している
保護者説明会で保育士不足について以前から区役所に苦情を伝えたという質問があった
が、こうした問い合わせを受けた記録はない、ここ4年間の担当者・管理職員にも確認したが事実は無かった
○井上委員
保育士不足以外の保護者とのやりとりに関する記録は?
○淀川区職員
保育時間、土曜保育、休日が多い、給食費等の徴収金に疑問がある、という苦情があった
記録を残し、市役所に報告している
○井上委員
保護者が淀川区役所や市職員から入手した資料を配付
認可保育所だから、保護者から要望が上がるのは当然
保育所が断るのは、保育士不足が原因では無いかと想像できる
保育士不足を訴えたが、「区役所に権限はない、大阪市へ直接連絡するように」と冷たく対応された
保護者への個別の聞き取り調査は行ったか?
○淀川区職員
保護者から多数の苦情等があり、詳細に記録して市役所に報告している
○井上委員
形跡が全くない
保護者が「森友報道が始まってからの行政の対応が明らかに違う」
個別の聞き取りを行うべきでは?
○淀川区職員
苦情の都度、内容を丁寧に話を聞いて記録している
園の運営や安全面に関する話は必ず詳細に記録し、市役所へ報告している
○井上委員
まともな対応をした形跡がない
説明会の場で「保護者とのやりとりは記録も記憶も無い」と話した
保護者からの相談を有耶無耶、もみ消してきたのではないか
今後、保護者からの個別の要望・事実確認は聞くのか?
○淀川区職員
(前の発言を繰り返し)
○井上委員
これからの事を訊いている
○淀川区職員
個別に丁寧に聞き取り、対応していく
○井上委員
満1歳前後の子供を迎えに行ったら、顔が腫れていて、慌てて病院へ連れて行った
園ではキウイを食べさせていた
医者は「この保育園は子供を殺す気ですか?」と話した
保育の専門性を全く踏まえていない
宅配弁当による給食が2ヶ月続いた
おやつは乾パン
誕生日にケーキが出ると楽しみにして行ったら、ゼリーが出てきてがっくりした
適切な対応をしてこなかった大阪市の対応は責任重大
大阪市の杜撰な対応が明らかになった
市・府にとって、森友学園が特別な存在だったと明らかになった
保護者が納得する誠意ある対応を求めたい
大阪市が途中でハシゴを外す事なく、最後まで責任を持った対応を望む
同委員会での質疑や配布された資料を読む限り、大阪市や淀川区が保護者からの苦情に真摯に対応せず、不適正な保育を黙認していたのは明らかです。仮に問題がある保育が行われていたとしても、自治体が適切な指導を行わないのであれば、何の為の認可保育制度でしょうか。
一連の疑惑等が報じられる以前から、報道後の様な強い対応を行うべきでした。
区役所には保育所等への指導権限なし、意地を見せた保育所新設審査委員
また、同委員会で明らかになったのは、「区役所に保育所等に関する相談を行っても、全く意味が無い」という事実です。
淀川区役所(保育担当課長)の答弁によると、こうした相談は内容を記録して管理者・市役所の保育指導担当部署(保育企画課の指導監査グループか)へ伝えていたそうです。
保育所等に関する苦情や相談がある場合は、中之島にある市役所の担当部署へ直接申し入れるべきでしょう。区役所を経由する必要は全く無いどころか、担当者や責任が曖昧になってしまいます。
こうした中、意地を見せたのは保育所の新設を審査する審査委員です。高等森友学園保育園の運営法人による保育所新設を認めませんでした。
調べたところによると、同法人は平成28年度に大阪市西区へ保育所を新設する計画を有していました。
しかし、選ばれたのは新町第2保育園でした。仮に森友系の保育所が選ばれていたとなると、ぞっとします。