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(6/12追記)

調布市で開園が延期された保育所は調布ヶ丘ではないかとの話が寄せられました。公園の近くです。埼玉県内の法人による保育所の開所予定・職員募集がありましたが、予定通りに開所されていません。接道している道路は通常よりやや狭く感じられます。
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市川市での保育園開園断念に続き、東京都調布市でも保育園の開園が断念されたそうです。

認可保育園 住民反対で開園延期、東京・調布市でも

東京都調布市内で開園を予定していた私立の認可保育園が開園を延期していたことが分かった。市は「市の住民への説明不足が原因」としているが、説明会では騒音などを懸念する住民の反対意見が相次いでいた。

埼玉県の社会福祉法人が60人を預かって昨年11月に開園する予定だった。しかし、市が昨年4月に開いた住民説明会では「静かな住宅地の環境が守れない」といった意見や、「道が狭く安全が確保できない」など送迎車の通行に対する不安の声が相次いだ。法人側は保護者の車利用禁止などを約束したが、理解は得られず、開園を見送った。

近くの70代男性は「保育園は必要と思うが、市は必要性を十分に説明せず、説明会も法人に任せきりだった」と市の対応を批判した。市子ども政策課は「丁寧な説明が足りなかった。誠意を持って対応したい」と話した。

調布市の昨年4月時点での待機児童は296人。

毎日新聞2016年4月14日 東京朝刊

具体的な建設予定地や周辺状況は現時点で明らかになっていません。ただ、具体的な経緯が第2回調布市子ども・子育て会議にて報告されています。

・周辺住民から「場所的にこの地域に保育施設はちょっとそぐわない」という意見が多数あった
・かなり静かな住環境
・事業者は園児60人程度の施設を計画、先生も含めると80-90人程度が一気に流入する
・かなりご高齢の方が多い地域であり,主には急に住環境が激変することへの不安がある
・子供の声の問題やいろいろなご心配を伺っている
・説明会には市の担当者も参加した
・認可を行う児童福祉審議会(東京都)は、近隣との関係を重視している
・従来は工事前に説明を行っていたが、今回は初めて計画段階での説明会を開催した
・運営法人としても、近隣住民から事前に意見を伺いたかった
・一部の人ではなく、大多数の方から反対の意見があった
・法的には進められなくはない
・開園後は現場の先生が最前線に立つので、良くない関係で開園すると先生の緊張にも繋がる
・市としては、一定程度の合意を図っていただきたい
・反対運動で阻止できるか否かは、立地条件によると思う
・接道する道路が通常より少し狭く、予定地は袋小路の突き当たりにあった
・正直なところ、今まで保育園を作った条件とはかなり異なる点が多かった

第2回調布市子ども・子育て会議議事録より(趣旨)

主たる反対理由は「住環境の激変」

議事録によると、高齢者が多い地域に保育園が出来る事によって住環境が激変する事への懸念が強く意識されています。日中は園児60人と職員20名以上が過ごす事となり、静謐な住環境が変わる不安があるそうです。多くの人数が行き交い、日中に園児や職員の声が響き渡る事への抵抗が感じられます。

それに加えて立地条件の悪さも指摘されています。建設予定地は袋小路の突き当たり、接道する道路も通常より狭いそうです。保育園の目の前に車を着けた場合、Uターンが出来ない幅員かもしれません。

法的には建設可能か

こうした事から近隣住民の一部ではなく、大多数の反対がありました。法的には建設を進めても瑕疵はないでしょう。

しかし、園児は周辺住民に見守られて成長していきます。近隣住民の強い反対にも関わらず建設・開園を迎えても、歓迎されないでしょう。「開園反対」ののぼり旗が立ち並ぶ中を登園し、軽いトラブルでも強いクレームが付く恐れが強いです。

共通点は「保育園に不適な立地」「周辺住民の反対」

保育園の開園に関する様々なトラブル等を通じて、開園を断念せざるを得ない共通点が見えてきました。

一つは「客観的に保育園に適した土地ではない」という点です。道路が狭くて児童と接触する恐れがあるのが典型例でしょう。反対に交通量が余りに多いのも問題だと指摘されています(阪南町のこども館)。

袋小路の突き当たりの様に込み入った場所も問題がありそうです。斜地・旗竿地も同様かもしれません。こうした土地は住宅用地としても使いにくいのが実情です。避難経路を一方向しか取れない可能性があり、児童の安全面でも問題がありそうです。木造家屋が密集している地域では、火災が本当に心配です。

また、周辺環境や建物が児童の発育に適切でないケースも該当するでしょう。たとえば大阪市内ではラブホテルの目の前に保育園が新設されました(詳細はこちら)。隣に暴力団事務所がある場合も含まれます。

もう一つは「周辺住民の反対」です。騒音・大勢の人や車の行き来等、理由は様々です。

不適な立地であっても、周辺住民が反対しなければ粛々と工事が進んでいきます。建設予定地の周囲がラブホテルや病院等の様に住民がいない地域であれば、反対する住民はいないでしょう。また、ワンルームマンションばかりであれば、反対運動は起きにくいです(嫌な住民は転居する)。

反対運動が起こり得るのは、気軽に転居できない一戸建てが多く、町内会等を通じて住民同士の交流が行われている地域です。有力者が音頭をとって数人が賛同したら、あっという間に広がりそうです。自治体へのアプローチ方法も熟知しており、職員や議員への働きかけも盛んに行われるでしょう。

軽視される子育て世帯の意見

なお、こうした反対運動では子育て世帯の意見はあまり採り上げられていません。そもそも閑静な住宅街の一戸建てを購入する様な資金力が子育て世帯にはありません。特に首都圏ではマンションというのが実情でしょう。当事者である子育て世帯が不在のまま、建てる建てないという話が進んでしまっています。

仮に同じ場所に設立されるのが老人向けの福祉施設だった場合はどうなるのでしょうか。同じ様に住環境の激変を嫌って反対するのか、それとも施設の利便性を優先して賛成するのか、非常に興味深いです。