大阪市は様々な手法を駆使しつつ、保育所等の新設を図っています。
しかしながら徐々に限界も見えてきました。例えば公有財産を利用した保育所整備です。
過去2年間は各700人以上の募集枠を創出してきました。しかし、2020年度は300人に留まる見通しです。
そこで大阪市は都市公園内に保育所を設置する方針を明らかにしました。
対象となるのは、浪速公園(浪速区)です。
・本市では待機児童を含む保育を必要とする児童の入所枠の確保を図るため、保育所整備にあたっては民有地を使った保育事業者の公募に加えて、平成29年度より、特別対策のひとつとして、庁舎や市営住宅などの市有財産の活用を進めてきた。
・その結果、これまでに1,800人分以上の入所枠を確保してきたところで、本年4月の待機児童数が過去最少の28人となったことにも大きく寄与している。
・しかし、依然として利用保留児童も2,000人以上いるため、引続き、保育所の整備は必要である。
・今回、新たな取組として、大阪市ではじめて都市公園を活用した保育所を設置・運営する保育事業者の公募を10月31日(木曜日)より開始する。
・増加する都心部の保育ニーズに応えるべく、JR難波駅から南へ500mに位置する浪速公園を設置場所とする。
・浪速公園は、グランドや多数の遊具があるほか、春には本市の花である桜が咲くなど、市民の憩いの場として花と緑の豊かな環境であり、こども達にとっても初めての集団生活の場として良好な環境である。
・定員100人以上で令和3年4月の開設とし、令和3年4月1日~令和25年3月31日の22年間を公園使用期間とする。
・公募にあたっては、今後の未来を支える大阪のこども達に質の高い保育を提供することはもとより、公園の魅力向上なども条件とする。詳細は、令和元年10月31日に本市のホームページに募集要項を掲載する。
・本市の保育・幼児教育の充実に向け尽力していただける保育事業者にぜひ応募していただきたいhttps://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/cmsfiles/contents/0000467/467008/gaiyou01.pdf
浪速公園はJR浪速駅の南にあります。
非常に広い公園です。保育所が設置されても、これまで通りに悠々と遊べるでしょう。
ターゲットは操車場跡地のマンション群に住む世帯か?
浪速区は北部と南部で保育所事情が大きく異なる区です。
実はJR浪速駅の周辺地域は、著しい保育所不足に陥っている地域です。
同駅周辺の旧操車場跡に数多くの高層マンションが建築されました。が、ここで子育てする世帯に見合うだけの保育所は全く整備されませんでした。
結果、周辺にある蓮美幼児学園みなとまちナーサリー・桜川保育園等へ数多くの申込が殺到しています。
しかしながら、1-4歳児を中心に第1希望者が募集数を大きく上回ってしまい、多くの世帯が苦しんでいます。
浪速公園に保育所が設置されれば、高層マンション群や周辺地域に居住する子育て世帯とっては朗報となるでしょう。
なんば・本町界隈であれば、自転車で登園した足で自転車出勤もできます。
なお、同区南部は深刻な少子化が進行しています。子育て世帯が流出し、幾つかの公立保育所も休止されました。
大阪城は見送り? 下福島公園は? 靱公園は?
以前に【9/3更新】大阪市が都市公園での保育所占用許可基準案についてパブコメ実施、最有力は大阪城公園?という記事を掲載しました。
大阪城には商業施設の誘致が優先され、保育所が設置される雰囲気は皆無です。
大阪市は都心部では無く、都心部に隣接する地域にある大型公園への保育所設置を考えているのかもしれません。
であれば、待機児童問題が深刻であり、大きな公園に恵まれ、地代が高い区が次の候補です。
真っ先に福島区が思い浮かびました。下福島公園です。
また、数年ほど前に、靱公園内にこども園を設置する構想もありました。今はどうなっているのでしょうか。
(2/12追記)「選定に至りませんでした」
審査結果が発表されました。まさかの結果です。
応募法人の審査の結果、設置・運営予定者の選定に至りませんでした。
今後スケジュール等を見直し、「浪速公園を活用した保育所の設置・運営法人の募集」(再募集)をできるだけ早期に実施します。(以下省略)
鳴り物入りで打ち出した施策がこの結果とは、壮大な肩すかしを食らったかのような印象です。
浪速区北部は待機児童問題が深刻な地域の一つです。公園内に設置される保育所に対しては、強い保育ニーズがあるでしょう。
選定に至らなかった理由が気になります。理由如何によっては、今後も事業者を選定するのは難しいかもしれません。