平成28年度保育所等一斉入所申込状況分析、第1回は大阪市各区毎の比較を行います。市全体や各区毎のざっくりとした状況、具体的には前年からの変化などを見ていきます。

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(11/2修正)
H27の数字に一部誤りがあったので修正しました。
募集数変更後の数字ではなく、変更前の数字を用いていました。
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※あくまで10月28日に発表された数字に基づきます。
※今年から小規模保育・事業所内保育・家庭的保育も分析対象に含めています。

大阪市から発表された平成28年度保育施設利用申込状況に基づき、区別・年齢別・年度別の申込数・募集数一覧表を作成しました。
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昨年(平成26年度一斉入所)と比較し、入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.1倍以上減少した区は水色、また入所倍率が2倍を超えた箇所は赤で表示しています。

大阪市全体

申込数が減少した昨年とは異なり、今年は13,736人から14,246人へと510人増加しています。0歳児(215人増)・1歳児(331人増)の増加幅が大きいです。しかし、就学前児童数は既に減少に転じています。多くの区で満遍なく増加している事から、子供・子育て支援新制度による小規模保育等の充実が新たな利用を促したと推測されます。

小規模保育の増設等により募集数は昨年の11,773人から1,857人も増加し、何と13,630人となりました。以前より待機児童問題が深刻だった0歳児(409人増)、1歳児(550人増)で顕著に増加しています。しかし、上記の通りに申込数も増加しています。1-2歳児を中心に保育施設に入所できない待機児童は未だに多いのが実情です。

年齢別

上でも触れた通り、0-2歳児の申込数が増加しています。小規模保育等の充実によって新たに保育施設等を利用した世帯が多いのでしょう。申込数以上に募集数が増加しており、0-2歳児の入所倍率は昨年より低下しています。0歳児は0.88倍まで低下しました。

一方、1-2歳児の入所倍率は1.4倍弱と高止まりしています。特に市内中心部では2倍を超える区も珍しくありません。0歳児で入所できなかった場合、1-2歳児でも入所できないケースが少なくないでしょう。制度上、0歳児入所が困難である年度後半産まれの児童・保護者の不利益は甚大です。

区毎

入所倍率が大きく上昇した区はありません。小規模保育施設の充実により、倍率の上昇が避けられた構図です。しかし、多くの保護者は0-5歳児まで一括して保育を行う保育所への入所を希望しているのが実情です。多くの申込が保育所へ集中する形となっています。そうした保育所の入所倍率(特に1-2歳児)は昨年以上に跳ね上がっています。区毎・保育所毎の内容は今後の投稿で掘り下げていきます。

入所倍率が市内で最も高いのは、西区の1.93倍です。申込数が昨年から88人も増加しています。新町第二保育園が4月開所に間に合わなかった影響で従来から高かった倍率が高止まりし、他区より頭二つほど高い倍率となりました。1-3歳児の入所倍率はいずれも2.5倍を超え、特に3歳児は7.67倍と異常に高い数値となりました。小規模保育等を卒園しても新たな保育の場が見つからない3歳児が多発するのは避けられません。今後、大きな問題となるでしょう。

西区の次に入所倍率が高いのは、阿倍野区の1.52倍です。1-3歳児の入所倍率が2倍を超えています。募集数は28人増加しましたが、申込数は大きく上回る56人も増加しました。ここ数年の間に阿倍野区で新設された保育所はあい保育園昭和町のみであり、地域型保育事業も定員が少ない施設が多くを占めています。

入所倍率が約1.4倍と高いのは北区・中央区・天王寺区です。新年度に向けて3区はいずれも複数の保育所を新設しており、倍率は昨年より大きく低下しています。まだまだ入所しにくい状況ですが、子育て世帯の支援にたいする行政の姿勢が感じられます。

驚くのは中央区です。申込数が昨年より134人も増加しています。市内で最も大きい増加数です。タワーマンション等の相次ぐ新築が影響しているのでしょう。しかし、募集数もほぼ同数である141人も増加しています。1-2歳児入所倍率は2倍を超えており、0-5歳児の保育を行う既設保育所を中心に入所しにくい状況は続きます。北区・天王寺区も1-2歳児入所倍率が2倍を超えています。

しかし、3区とも3歳児入所倍率は大きく低下しています。新設保育所の3歳児クラスは募集数が多い為です。小規模保育施設の充実に比例して、今後も3歳児入所が厳しくなる区が多くなると推測されます。連携施設による受け入れに頼らず、区全体として3歳児定員の充実、つまりは0-5歳児の保育を行う保育所の充実がより迫られるでしょう。

今年、やや注意が必要なのは都島区です。平成28年度に向けて保育所は新設されていません。昨年に新設保育所による大規模な募集が行われた反動で、今年は2-3歳児の入所倍率が大きく上昇しています。

年齢 x 区

やはり気になるのは、年齢と区の組み合わせでしょう。入所倍率が2倍を超えている年齢・区の組み合わせ(表中では赤)を抽出します。こうした年齢・区が組み合わさった保育所への入所は、決して容易ではないでしょう。保育所毎の数字を追うと、3倍を超える入所倍率も目立ちます。

【1歳児】
北区・中央区・西区・天王寺区・阿倍野区

【2歳児】
北区・都島区・中央区・西区・天王寺区・阿倍野区

【3歳児】
西区・阿倍野区・住吉区

【4歳児】
鶴見区

今後の予定

昨日公開した「【速報・重要】H28大阪市保育施設利用申込状況等が公表されました」には大変大きな反響を頂いています。

今後は北区・中央区・平野区・城東区・旭区・福島区の状況を順次考察していく予定です。なお、「○○区の状況を早く知りたい」「○○保育所について突っ込んで分析して欲しい」等と言ったご要望がありましたら、コメント欄もしくはお問い合わせからお伝え下さい。

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(10/30追記)
西淀川区・住之江区も早めに着手します。
大変多くのメールを頂いております。週明けから順次お返事を差し上げるので、今しばらくお待ち下さい。