2025年大阪・関西万博は大阪府に居住・通学等をしている4歳~18歳の児童生徒を無料で招待する事業を実施します。しかし、万博の事前準備が大幅に遅延している余波等を受け、暗雲が立ちこめています。

 2025年大阪・関西万博に子どもを無料招待する大阪府の事業を巡り、学校現場に混乱が広がっている。府内の小中高校生は個人ではなく学校行事での来場が前提。行事の計画に必要な受け入れ態勢が不明瞭なまま、5月末までに参加意向の回答を求められているためだ。見学できるパビリオンや会場の下見期間に関する情報がない上、安全面の懸念も広がる。

 事業は府在住の小中高生と4、5歳計約100万人が対象。「未来社会を体験し、将来を考える一助にしてもらう」(吉村洋文知事)のが狙いで、25年度にかけて20億円規模の支出を見込む。京都府、兵庫県も学校行事への支援を決めている。

 大阪府教育委員会は3月に各学校向けの説明会を開き、希望する来場日時や会場までの交通手段を回答するよう要請。団体の食事場所となる休憩所は予約制の方向で、要否も伝えるよう求めた。

 一方、見学するパビリオンは「事前指定できない」と説明。遠足のような行事に不可欠な、教員が下見できる時期も示されなかった。

https://nordot.app/1163008115214254812

以前に混乱している様を【大阪・関西万博2025】パビリオン・休憩場所は未定、渋滞必至、社会見学は前途多難で取り上げました。混乱は未だに収束していません。

学校等が遠足を実施する場合、教員等の事前下見は欠かせません。遠方へ出掛ける修学旅行ですら実施しています。

たとえ毎年同じ場所で遠足等を実施していても、1年前と状況が違っている事があります。休憩場所が改修中だった、交通機関の混雑が酷い、移動しやすいスロープが設置された、施設の開館時間が変更された等、事前に下見しなければ分からない点は少なくありません。

下見で得た情報等は本計画の作成や保護者向けの説明会等でも活用します。宿泊を伴う学校行事では事前に保護者説明会を行っており、活動場所や宿泊場所等を撮影した映像を基に説明が行われます。

子供が参加する遠足等でも教員が下見して初めて気づいた事があり、昨年から若干変更して対応するとの案内がありました。下見を行っていなければ、本番当日まで気づけませんでした。

万博会場を下見できる時期は不明、パビリオンは指定できないとなれば、学校や万博見学計画を作成するのは非常に難しくなります。建設工事の日程が非常にタイトとなっており、下手をすると学校関係者が見学できるのは開幕後になりかねません(恐らくはそうなりそう)。

毎年の様に出掛けている場所ならば、昨年までの知見等を活かせます。しかし万博会場は初めての場所です。多くの児童生徒が集団で行動する万博見学を十分な下見なしで実施するのは非常に怖いです。「安全を担保できない」として、参加を断念する学校もあるでしょう。

更に心配なのは未就学児です。無料招待事業の対象には、年長や年中に相当する4-5歳児も含まれています。非常に多くの参加者が集う万博会場にて、未就学児の集団を引率するのは大変です。しかも十分な下見が出来ない、パビリオンは未定、会場内は延々と歩かされるとなると、4-5歳児が参加するのは困難だと判断せざるを得ません。迷子が多発します。

また、万博会場では廃棄物から発生したガスに引火する爆発事故も発生しました。

万博建設会場で『可燃性ガス』が引火しトイレの床が破損の爆発事故 けが人なし 博覧会協会
https://news.yahoo.co.jp/articles/1b77ee5d0b6950576d684ce4bb54f41bee8c4048

ただ、これについては楽観的に考えています。仮にガス対策を行えなければ、そもそも何千万人もの来客を招くのは不可能です。万博の実施そのものに関わる問題です。

会場内は火気厳禁として対応するという話も聞きましたが、徹底できるとは思えません。こっそりと喫煙する人もいるでしょう。

開幕まで残り1年弱。本当に無事に開幕できるのでしょうか。直前になって開催を中止した、世界都市博の二の舞にならないでしょうか(中心の経緯はwikipediaに詳しく掲載)。

我が家は学校単位での無料招待の有無に関わらず、家族で一度は観に行く予定をしています。万博が成功しても大失敗しても、大阪では数十年に渡って語り継がれるのは確実です。1970大阪万博と同じです。

皮肉な言い方ですが、その話題に参加する為にも現地は見てみたいです。

万博協会は来場者総数を半年間で約2,820万人と予定しています。これはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の年間最多入場者数1,495.5万人(2017年)の約2倍、開催期間を考慮すると約4倍の来場者に相当します。

中止された世界都市博では「東京ディズニーランドの年間入場者数が1000万人程度なら都市博が半年強で2000万人は無理」と言われたそうです。今だと「USJの年間入場者数が約1,500万人程度なら、大阪・関西万博が半年強で3000万人弱は無理」となります。