新型コロナウイルスの感染者が第3波と呼ばれる状況へと急増加しています。

特に11月15日に発表された大阪府の陽性率が約15%に達したのは衝撃でした。半年ぶりの高い陽性率です。

検査件数が不足しているという指摘もあれば、クラスター(医療機関)を集中的に検査したからでは無いかという指摘もあります。

大阪府は今日から集計方法を変更します。過渡的に集計期間が昨日18時~24時までと短縮されるので、本日の発表者は少なくなる筈です(ここで多かったら大変)。

知る限りですが、私の周囲では感染したという話は聞いていません。ただ、学校も保育所も警戒レベルを上げています。

学校からは「マスクや手洗いの徹底を」という趣旨の連絡がありました。保育所は消毒液の数が増えました。

先週末、保育施設での集団感染に関して重要な2記事が公開されました。

みなと保健所からのお知らせ(11月11日)「区内の保育園における新型コロナの事例報告」調査の結果、園内での感染リスクは極めて低いと判断
https://www.city.minato.tokyo.jp/houdou/kuse/koho/press/202011/20201111_press.html

保育施設でのコロナ集団感染を防ぐには(高山義浩)
https://news.yahoo.co.jp/byline/takayamayoshihiro/20201112-00207480/

前者は東京都港区や東京都小児科医会等による調査です。

結果

濃厚接触者と判断されたのは職員18人、園児61人であった。そのうち、職員18人、園児46人にPCR検査を実施し、1施設の職員1人のみが陽性。
施設内での集団感染は確認されなかった。
初発例が園児であった2施設における初発例の推定感染経路は家庭であり、内1人は無症状、1人は1日のみ発熱がみられた。
園児への施設内感染は認められなかった。

考察

園内の十分な感染予防対策を行っていることもあり、園児がマスクを通常していないにもかかわらず、園内での施設内感染のリスクは極めて低いと考えられる。園児が初発例である場合、職員や園児への感染は全く認められなかったことから、無症状、あるいは発症前の園児において感染リスクは低いと推測される。

一方、濃厚接触者のうち、PCR検査陽性の職員における在園中の休憩時間または昼食時のマスクをはずした状態での会話による職員間の感染が示唆されたが、おおむね保育園での感染症対策は、施設内流行を防ぐに十分であったと考えられる。このことから調査した施設内での職員から園児、園児から職員、園児から園児への感染の可能性は低いと判断した。

https://tokyo-pediatrics.org/wp/wp-content/uploads/2020/11/03e01945d869fdaec21e3bf5338679ee-1.pdf

園児→園児や職員への感染は極めて少ない?

本論文で重要なのは「園児が初発例である場合、職員や園児への感染は全く認められなかった」という部分でしょう。

保育施設を利用している園児の大半はマスクを着用していません。全面的にマスクを着用している小学校とは大違いです。

また、保育所では毎朝の検温が義務化されてます。コロナ禍以前から体温が37.5度を越えていたら、保育は断られます。こうした事情からか、以前から子供の体調には自然と注意を払う様になっていました。

特にこのご時世、咳やくしゃみをし出したら、たとえ体温が低くても自主的に家庭保育を行う家庭は少なくなかったでしょう。

また、園児の感染経路の大半は家庭内感染です。園児が発症する前に両親が発症するのが専らです。

園児が発症して他者へ感染させる前に両親等の陽性が確認され、登園を取りやめるケースが一般的では無いでしょうか。

こうした様々な事情から、園児を起点とする感染リスクが極めて低くなっていると考えられます。少し安心できる材料ですね。

ただ、この論文に対しては疑問もあります。

上記調査では園児が初発例だった事案は2件しか含まれていません。これだけで「リスクは極めて低い」と言い切れるのでしょうか。

一方、3月以降に保育施設の関係者が感染した事例を取り上げた記事を見直したところ、改めて気づいた点もあります。

保育施設で複数人が感染した事例では、いずれも職員も感染していました。園児のみの間で感染が広がった事例は確認できていません。

しかしながら、園内で感染したと推測される園児を起点として、自宅等で両親が感染した事例は確認されています。

マスクを外した会話に要注意

保育施設での感染リスクとして指摘されているのは、「休憩時間または昼食時のマスクをはずした状態での会話による職員間の感染」ですね。

後者は保育施設での集団感染を防ぐ方法について取り上げています。こちらでも同様の指摘があります。

詳細に追跡したわけではありませんが、職員から園児への感染リスクは高いものの、園児から職員へ、あるいは園児同士の感染リスクは高くはないようです。これは、家庭において、園児から家族への感染事例が少ないことからも伺えます。

詳細に現場の状況を聞き取ってみると、職員が昼食を共にしたなど、職員がマスクを外すイベントで拡がった可能性がありました。職員と園児が一緒に食べていると、園児たちにも感染が拡がっていきます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/takayamayoshihiro/20201112-00207480/

次いで、繰り返しますが、職員が園児と一緒に食べないことです。園児同士の食事は構いませんが、職員は別に食べるようにしてください。なお、園児の食事を手伝う職員は、事前に手指消毒を行い、手伝っている間は自分の首から上を触らないように心がけます。

保育士等の職員がマスクを外した際に感染が広がった可能性が繰り返し示唆されています。

食事中であっても、保育士は気が休まりません。園児はいつ何をするか分かりません。話しかけられもします。

食事をしていてマスクを外しているからから話さない、というわけにもいきません。

マスクを外した状態での園児対応を避けるには、「園児の前では必ずマスクを着用する」のを徹底するしかないでしょう。

保育士は食事を休憩室等で食べ、園児の食事中にはマスクを着用した保育士が配膳等に専念するのが無難でしょうか。

その反対に、マスクを外した休憩室や園長室で食事や会話等を行って保育士や職員間で感染が広がったと考えられる事例も確認されています。いわゆる「バックヤード」ですね。

盲点となりがちなのが、職場のバックヤードです。これは保育園に限りません。病院でも、ホテルでも、歓楽街でも言えることです。職員同士で食事をしたり、飲みに行ったりが集団感染の原因となります。一律にダメだと言うつもりはありませんが、少人数を単位にするなど、とりわけ流行期では配慮が求められます。

保育施設に限らず、企業事務所や事業所等でも休憩室等での過ごし方が問題視されています。勤務時間中はマスク着用を徹底させられても、休憩時間中までは目が届かないですね。

クラスターが発生したとある工場の関係者から、「保健所の指導で手指消毒・マスク着用・勤務中の三密回避を徹底する様にしたが、代わりに休憩時間中はますます休憩室に引きこもってしまう様になった」という本末転倒な話を聞きました。

冬場の発表会、開催できる?

冬場に向けて気掛かりなのは、発表会の有無ですね。現在のところ、例年通りに学年やクラスを越えた発表会を予定しています。多くの保護者も観に行きます。

しかし、高山先生は「中止した方がよいと思われます」としています。

また、集団感染の規模を小さくするため、学年やクラスを越えたイベントは中止した方がよいと思われます。できるだけ、同じグループでのケアを心掛け、担当する職員も固定することをお勧めします。(中略)

園によっては、保護者の送迎が集中していることがリスクになっていました。時間をずらすなどの工夫で混雑を避けていただければと思います。保護者は屋内に入らない方がよいですが、園児によっては助けが必要なこともあるでしょう。症状確認と手指衛生がされていれば厳格にしなくてもよいです。なお、理想的には、同じ親または指定された人が送迎に関わるべきです。できれば、祖父母など高齢者は、自らの感染予防のために迎えに行くべきではありません。

9月~10月程度の感染者数であれば、大阪でも様々なイベント等を行えたでしょう。しかし、これだけ感染者が増えてきてしまうと局面が変わります。

特に屋内で行う発表会に感染者が紛れ込んでしまうと、たとえマスク着用・手指消毒・換気を徹底しても感染を広げてしまう恐れは否定できません。

なお、10月に何とか行えた運動会では、見学者を原則として父母に限定しました。数日前からの体調管理、及び当日の体温や健康状態を記した書類の提出も求められました。

見に行けなかった他の家庭の祖父母からは「見に行けなくて残念だけど、今年は仕方ない。来年は見に行きたい。」と話を聞きました。

冬に向け、大阪府では更に感染者が増加する可能性が極めて高いです。1日の感染者が400人に達する日も近いと見ています。

重要なのは「日々の保育等の継続」です。半年前の様な登園自粛や臨時休校はゴメンです。

その為には急所を押さえた感染予防対策(マスク着用等)を徹底し、感染を著しく拡大させるリスクが高い行為を控えるのが大切でしょう。

今週末の旅行を迷い始めています

余談ですが、今週末の3連休に旅行をする計画を立てています。しかし、感染者の急増を受けて、予定通りに旅行に出掛けるか否かを迷い始めています。

旅行その物のリスクは極めて限定的でしょうが、旅先で外食が続く事が不安です。もしも自分自身が既に感染していたら、旅先で他の方にうつしてしまう可能性があります。

もう少し考えます。