多くの子育て世帯がコロナ禍における育児に苦しんでいる姿が浮き彫りになりました。

子育て「孤立化」、コロナ禍影響か 情報「友人から」半減 母親調査

 友人や父母からのサポートは減り、子どもへのイライラや不安が増えた――。保護者への民間調査で、幼い子を育てる母親が以前より孤立し、育児に負担を感じている現状が明らかになった。コロナ禍の影響を指摘する専門家もいる。

 ベネッセ教育総合研究所が2022年3月、就学前の子がいる首都圏の保護者4030人を調査。このうち1歳半以上の幼児がいる母親3410人の回答を分析した。(以下省略)

https://digital.asahi.com/articles/DA3S15533202.html

これはベネッセ教育総合研究所が発表した「第6回 幼児の生活アンケート ダイジェスト版[2022年]」によるものです。

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気になった項目をピックアップします。なお、このアンケートの対象は首都圏に在住している世帯です。日本全体の傾向とは若干異なります。

減少する幼稚園児・未就園児、増加する保育園児

年を追う毎に幼稚園児や未就園児が減少し、保育園児や認定こども園児が増加しています。

次回調査では幼稚園児の数を保育園児が上回る見通しです。幼稚園と保育園の違いは年々薄まっていますが、遂に「未就園児の中心は保育園児」という時代となります。

こうした属性の変化は、子供の生活にも影響を及ぼしています。自宅を朝に出発する時間帯が全体的に早まり、帰宅する時間帯も遅くなっています。中には7時前に自宅を出発する子供もいます。

また、平日帰宅後に遊ぶ相手は両親が増加し、きょうだいやともだちは減少しています。幼稚園はともかく、保育所から降園した後に友達と遊ぶ時間は皆無です。小学生すら平日は友達と遊ぶ時間はありません。

通信教育が大幅減

これも保育園児の増加と関係しているかもしれません。習いごとをしている子供が減少しています。特に通信教育や一括して購入する教材が大幅に減っています。

未就学児が通信教育で学習するには、親が付きっきりとなる必要があります。が、保育所を利用している世帯には、そうした時間はありません。

それ以外の習い事は横ばいないし増加している物が多いです。外部の講師等が教えてくれるタイプの習い事にはニーズがあります。

早期教育へのニーズ増

その反面で早期教育に対するニーズは増加しています。

首都圏在住者に対するアンケートなので、小学校受験を考えている世帯もあるのでしょう。我が家は子供が興味を持ちだしてから、自然と覚えるように仕向けました。小学校入学後の学習は問題ありません。

園への要望が大幅増

「集団生活のルール」や「友達付き合い」など、園から子供へ教えて貰いたい内容が全ての項目で大幅に増加しています。

子育て世帯は本当に忙しいです。特にフルタイムで保育所を利用している家庭は尚更です。土日ですら子供とゆっくり向き合う時間を作りにくいです。

となると、どうしても園に頼ってしまう(頼らざるを得ない)場面は増えます。我が家もその一つです。

特に増加した要望は「自由な遊びを増やしてほしい」と「知的教育を増やしてほしい」でした。相反する要素かもしれません。園に対する保護者ニーズは一枚岩ではありません。園が全ての要望に応えるのは難しいでしょう。

SNSもしつけ情報源

しつけの情報源は祖父母や母親の友人知人が大幅に減少し、SNSが急増しています。

祖父母の時代と今では、しつけの内容等が全く違っています。子育てに対する価値観や危険認識等も異なります。身内と言えども、安心できないのが本音です。

祖父母や友人知人が減少しているのは、コロナ禍で交流が難しくなったのも影響しているでしょう。些細な雑談等がしずらいです。

SNSが急増しているのも時代ですね。しばしばリツイートが回ってきます。ただ、SNSは誤った情報も少なくありません。正しい情報と間違った情報を見極めるのも大切ですが、これが難しいです。

不在時に頼れない

不在時に頼れる人がいない世帯が増加しています。

我が家もです。スケジューリングが非常に厳しく、様々な予定を回るのに四苦八苦しています。外せない用事に子供の体調不良が重なると、スケジュールが破綻しています。

忙しい子育て世帯が頼るのは園とネット

アンケートの結果を通じて、子育て世帯を取り巻く環境が大幅に変化している事が読み取れます。具体的には子育てにおける園やネット空間の存在感が急激に増しています。

繰り返しになりますが、子育て世帯は本当に忙しいです。平日は自宅・勤務先・園ぐらいしか行動できません。週末は平日の準備や習い事等で精一杯です。それ以外の人的接触がどうしても減少してしまいます。

が、しつけや教育等に関するニーズは昔と変わりません。向かう先は、子供が多くの時間を過ごす幼稚園や保育所等となります。様々な要望等が園に集中してしまう構図です。

ネットも同様です。隙間時間でき、膨大な情報に触れられます。但し、何が重要かつ正しい情報かを見極めるのが容易ではありません。

奇しくも来週は節分です。恐らくは「節分の豆に要注意」というリツイートが大量に流布します。これは正しい情報です。消費者庁も同趣旨の指摘をしています。

消費者庁「節分の豆等は5歳以下の子供に絶対食べさせないで、大変危険」

ここ数日、少子化対策として様々な無償化案が取りざたされています。子育て分野に多くの予算を充てる事には賛成です。

ただ、こうした子育て世帯のニーズ等を鑑みると、子育て世帯が頼りにする園の機能充実を図る事が必要です。孤立しがちな子育て世帯に寄り添い、園を利用していない世帯とも何らかの接点を設ける事が求められるでしょう。特に園を利用していない0-2歳児が取り残される事態を危惧しています。

経済的支援はありがたいです。でも、そればかりではありません。現状の議論はバランスを欠いています。タダより高い物はありません。