子育て世帯を苦しめるキーワードの一つは「育休退園」です。育休中に保育所等を利用するのは決して「親のわがまま」ではありません。
「育休退園」とは、下の子の育児休業を取得すると、上の子が保育園を退園になってしまうルール。年明け早々、岐阜新聞が『「育休退園」上の子も追い出される…なぜ?家で終日2人育児「つらい」 理由は保育士不足』という記事の配信があり、話題になりました。「育休退園」の規定を設ける自治体は減ってはいるものの、岐阜県では16市町村で「育休退園」が行われていました。
記事では、「育休退園」の理不尽さを訴える親の声が紹介されていましたが、コメント欄には「親が家にいるなら家庭で保育するのが当たり前」という意見も多く見られました。
育休中に子どもを預けるのは親のわがままなのでしょうか。(以下省略)
理由は上記東洋経済の記事で指摘されています。
(1)上の子と生後間もない下の子の面倒を見る負担が大きい。
(2)育休終了時に2人の子どもを同時入園させることができるかという不安をかかえる。
(3)上の子が保育者や友だちとの関係から離れ、それまで得ていた遊びの場や機会を失う。
私も全く同意見です。私自身は育休退園させられた経験はありませんが、恐らくは特に(1)の負担が極めて重くなると感じています。慣れ親しんだ保育所に登園できずにストレスを抱えている上の子と、24時間目が離せない下の子を同時に育児するのは至難の業です。強固な育休退園制度を導入している自治体の担当者には、この苦しみを経験すべきです。
上記記事には自治体毎の制度一覧も掲載されています。最も厳しいのは埼玉県所沢市です。数年前に育休退園に関する訴訟が提起され、通園継続を認める判決が言い渡されました。
しかしながら、未だに「2歳児クラス以下は原則退園、3歳児クラス以上は育休終了日の月末または満1歳の月末まで」という運用が行われているそうです。事実上2歳差で下の子を出産する事や、育休取得期間も満1歳までと制限されています。家庭のあり方や法定された育休期間を厳しく制約する制度です。
また「(下の子が)満1歳の前日/月末まで継続利用可」という自治体も少なくありません。満1歳をもって復職することを余儀なくされます。0歳児クラスへ申し込んで入所できればよいのですが、年度途中に0歳児クラスへ入所するのは難しい保育所等が多いです。ましてや上の子が登園している保育所等に限れば尚更です。問題なく回っているのでしょうか。
この中に福岡市が含まれていたのが意外です。同市は2023年度から0歳~2歳児の第2子保育料無償化を表明しました。
福岡市、第2子以降の保育料無償化 所得制限なし 23年度から
https://news.yahoo.co.jp/articles/5ae8f06e04a7bf3898671bea34ea105f9d081418
ますます育休退園によるデメリットが大きくなります。無償化の前に、育休退園制度にメスを入れるべきだと感じました。
大阪市などは「満1歳となった年度末まで継続利用可」としています。保育所等で満1歳を迎えるのは0歳児クラスの在園児です。すなわち、毎年の4月の1歳児一斉入所までに復職すればOKです。
これに加えて、慣らし保育を見越して「年度末の翌月末まで継続利用可」としている自治体もあります。良い考え方ですね。
羨ましいのは「無条件で在園可」という自治体です。関西だと京都市・堺市・神戸市が該当します。育休退園や復職というプレッシャーがなく、それぞれの世帯にあったスケジュールで復職等を考えられます。ただ、上の子と同じ保育所等へ入所させたいと考えると、やはり1歳児一斉入所がメルクマールとなるでしょう。
今後は少子化が急加速し、保育所等は余り出す時代となります。育休退園制度は時代錯誤となっていくでしょう。
堺市在住ですが、無条件で在園可ではないですよ。
下の子産まれて、育児休業に変わった段階で上の子退園。
回避したければ上の子育てられないという診断書が必要と言われました。
(中区区役所で2名のスタッフに確認しましたが同じこと言われました。)