—–
(2/5追記)
2歳以上の園児に対するマスク着用推奨が一転して見送られました。
政府のコロナ対策分科会は保育所などでの感染対策として、子どものマスク着用について、当初、2歳以上への着用を推奨するとしていたものを「年齢を明記しない」という提言にかえました。
政府・新型コロナ対策分科会 尾身 茂 会長
「児童の発育状況に応じて可能な範囲でマスクを着用していただきたい」分科会の終了後、尾身会長は保育所などでのクラスターが多発していることを踏まえ、このように話しました。分科会の冒頭で示された対策案では、2歳以上の子どものマスク着用について「可能な範囲で推奨する」としていました。
しかし、専門家から年齢による一律対応に慎重な意見が相次いだため、年齢を明記しない形となりました。
最終的には下記の文言へ変更されました。
発育状況等からマスクの着用が無理なく可能と判断される児童については可能な範囲でマスク着用を推奨すること。その上で、それぞれの児童について、息苦しくないかどうかを十分注意し、十分な時間を確保しながら、可能と考えられる場合には、正しいマスクの着用ができるよう助言や配慮を行うほか、本人の調子が悪い場合や、持続的にマスクを適切に着用することが難しい場合は、無理して着用させる必要はないとの運用を行うこと。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai12/gijisidai_4.pdf
園児毎の年齢や発育状況等に応じ、保育所等や保育士が適宜判断するとされました。週明けには保育所等から「マスク着用について」と題するプリントが配布されるのではないでしょうか。自治体の保育部局が作成したプリントを配布する市町村もあるでしょう。
自分で小さな子を育児した経験がある方であれば、「2歳児のマスク着用は無理だ」と肌感覚で分かります。2-3歳児はイヤイヤ期です。オムツをはかせるのも一苦労、それに加えてマスクを着用させ続けるなんて無理です。嫌になって投げ捨てたり、拾ったマスクを着けたり等々、トラブルが起こるだけです。
様々な報道等によると、知事会や経済界の意見を踏まえて鳥取県の平井知事等が会議で主張したのですが、特に医療関係者(特に小児科医)から強い反対意見が出たそうです。
平井知事も当初案に前向きだった後藤厚労相も官僚出身です。実際に子育てした経験が著しく少なかったのでしょう(官僚は激務ですから)。子供が関係する施設の感染対策を強化しようとし、勇み足を踏んでしまいました。子育てした経験がある人間からは出てこない発想です。
自治体や施設によって差異はあるでしょうが、まずは5歳児や4歳児から着用を推奨するのではないでしょうか。5歳児は2ヶ月後には小学生となるので、その準備という位置づけも可能です。
衛生面等を踏まえると、当初から「不織布マスク」に統一しておいた方が楽かと思います。布マスクは何度でも使えますが、衛生面や感染予防効果に不安があります。
記名した不織布マスクを数枚準備し、昼食前後で交換するのが良いと感じます。2歳以上のマスク着用を促している東野田ちどり保育園と同じ方法です。
—–
保育園での光景が一変するかもしれません。
全国知事会は厚労相へ「2歳以上の園児のマスク着用を勧めて欲しい」と要望しました。
保育園で新型コロナウイルス感染が広がっている状況を踏まえ、全国知事会は3日、後藤厚生労働相とのオンライン意見交換の場で、国として2歳以上の園児にマスク着用を勧めるよう要望した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/67dbc25dccbb5fde82261c255d8c2225a6ca5a0a
「2歳児未満はしようがないかもしれないが、2歳以上はオミクロン(株の対策)では重要」
https://www.sankei.com/article/20220203-X3VEJY65JZIMLOJ5DXBH2FSWYU/
後藤厚労相は前向きに進める考えを表明しました。
2歳以上のマスク着用「前向きに進めるべき」後藤厚生労働相
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220204/k10013466421000.html
日本小児科学会は「乳幼児のマスク着用には危険があります。特に2歳未満の子どもでは、気をつけましょう。」としています(詳細)。こうした方針を受け、知事会は2歳以上の園児を対象とした要望したのでしょう。
ただ、2-3歳児がマスクを着用するのは本当に難しいです。そもそもオムツが外れていない子もいます。マスクを嫌がって大泣きしたり、外して放り投げる姿が思い浮かびます。拾ったマスクを着けてしまう子もいるでしょう。
我が家がお世話になっている保育所では、園児にマスク着用を推奨していません。「マスクの効果は認めるが、正しく着用するのが難しい。顔色が見えづらく、体調悪化が分かりにくい。」という理由でした。着用している園児(3歳以上)は一部です。
一方、2歳以上の園児にマスク着用を求めている園もあります。
(東野田ちどり保育園・江川永里子 園長)
『満2歳になった子どもからマスク可能と園医からも指導を受け、保護者と相談して、子ども達が嫌がるようなら強要しないことを原則として(不織布マスクを)つけていた』その結果、複数の感染者が出た際にも、それぞれ家庭内感染と判断され、濃厚接触者は出ませんでした。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000243239.html
同園では1日2枚の不織布マスクを準備し、昼食前後で付け替えているそうです。どうやってマスクを正しく着用させ、着用し続けられるのか、本当に不思議です。良い方法があれば教えて欲しいぐらいです。
園児にマスク着用を求めるのであれば、これまでの方針からは大きな転換となります。園や保護者の理解が不可欠です。