施設数の増加と比例しているのでしょうか。全国各地でいわゆる「不適切保育」が後を絶ちません。
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こうした事例を把握して防止策のマニュアル作成を目指すべく、厚生労働省が実態調査を行おうとしています。
保育所内で起きた園児への暴言や暴力、放置など虐待が疑われる「不適切保育」について、厚生労働省が本年度中にも初の実態調査をする方針であることが分かった。待機児童対策で保育施設が急増する中、保育士らが園児をたたいてけがをさせたり、怒鳴ったりする事例が発覚しており、国は市区町村の対応状況の把握や虐待防止策のマニュアル作成を目指す。
厚労省が本年度に実施する「子ども・子育て支援推進調査研究事業」の1つ。今月から調査・研究をする団体を公募。団体は社会福祉法人やNPO法人などを想定し、予算は上限1500万円。
厚労省保育課によると、保育所などの児童福祉施設の運営基準には「児童の心身に有害な影響を与える行為をしてはならない」という規定はあるが、不適切保育や虐待の定義、実際に起きた場合の対応については、保育を実施する市区町村に対し国から統一的な考えは示されていない。
虐待などの通報を受けた市区町村はその施設に事実を確認し、都道府県と連携して指導・監査する場合もあるが、対応はまちまちだ。
介護や障害福祉分野では国の虐待対応マニュアル・手引があるが、保育分野では手引などが存在しない。厚労省は今回の調査を通じて、市区町村が不適切保育を未然に防ぐ取り組みや実際に起きた際の対応を調査し、さらに防止策や対応マニュアルを作る。
厚労省の担当者は「『不適切保育』という言葉は虐待より幅広い概念で使っているが、こうした言葉の定義や考え方も整理できれば」と話している。
該当する事業は「令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業にかかる公募について(二次公募)」です。
調査研究課題1
不適切保育に関する対応について調査研究課題を設定する背景・目的
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第9条の2においては、「児童福祉施設の職員は、入所中の児童に対し、(中略)当該児童の心身に有害な影響を与える行為をしてはならない」との不適切保育や虐待を禁止する旨の規定が置かれているが、保育所内の不適切保育等の防止の取組や、保育所内で起こった不適切保育等への対応について、現在、国から市区町村等に対して統一的な対応を示したものはない。
この点について、第198回通常国会の衆議院本会議(令和元年5月10日)において、根本厚生労働大臣(当時)より「保育所における虐待等の調査について(中略)今後、自治体における実態把握の現状を確認した上で、全国的な実態把握に向けて具体的な方法を検討してまいりたい」と答弁をしているところであり、全国の市区町村における保育所内の不適切保育等への対応等について、早急に実態把握を行う必要がある。
また、介護・障害福祉分野においては、国において、既に虐待対応に関するマニュアル・手引きが作成されているが、保育分野においてマニュアルは作成されておらず、マニュアルを作成してほしいとの要望も市区町村等から多く寄せられている。さらに、自民党の虐待等に関する特命委員会においても、その提言をとりまとめるに当たり、保育所内虐待が議論に上がり、一部の議員から対応を強化するよう発言があったところである。
想定される事業の手法・内容
(悉皆調査)全国の市区町村に対して、未然防止のための取組や保育所内で起こった不適切保育等の対応についてどのように行っているか等の実態調査を行う。
(ヒアリングの実施)自治体に対するアンケート調査の結果を踏まえ、好事例として紹介できる取組みを行っている自治体に対して、より詳細な取組内容や認識等についてヒアリングを行う。
(研究会の開催)自治体担当者、保育関係者、有識者からなる研究会を開催し、悉皆調査及びヒアリングにおいて得られた結果を踏まえ、保育所内の不適切保育等に関する対応について議論を行うとともに、成果物をとりまとめる。なお、調査研究等を進めるに当たっては、適宜、厚生労働省子ども家庭局保育課と協議すること。
各種事例を見ていると、果たして「不適切保育」という言葉が適当かと悩まされる事案も少なくありません。
特に児童の身体や精神に大きな傷害等を負わせる保育は、むしろ「暴行・傷害」や「虐待」と捉えるべきかもしれません。言葉の境界が非常に曖昧であり、定義づけできていません。
不適切保育に関するマニュアル等が整備されていない不利益は、一義的に保育所の利用者(園児や保護者)に降りかかっています。
保育所や保育士の問題行動等を行政に相談しても、十分な対応が得られないという話を頻繁に耳にします。
以前に同じ保育所に登園していた方が区役所に相談したのですが、「園とよく話し合って下さい」と冷たく追い返されたと聞きました。
もしも不適切保育の事案集や対応マニュアル等が定められていたら、これに基づく行動や指導等を行う様に行政窓口に相談等がしやすくなるでしょう。
窓口担当者の主観や裁量権によって対応が異なるのは、相談者(住民)としては非常に困ってしまいます。
他の窓口に相談(区役所でダメなら市役所)したり、更には市会議員等に話を持ち込まざるを得ない事もあります。
明文化されたマニュアルが存在する事により、住民は「マニュアルのこの部分に反しているから、指導を求めたい」と相談しやすくなります。
より安心できる保育が行える為、ぜひ事業を進めて欲しいですね。