保育所等の定員割れが加速しています。しかしながら、「こども誰でも通園制度」への地ならしとも言えます。
保育施設の4割が定員割れ、少子化や需要偏り要因…103自治体調査
県庁所在地や政令市など保育の需要が大きい103自治体の保育施設の少なくとも約4割が、今年4月入園の1次選考終了時点で定員割れになっていたことが、読売新聞のアンケート調査で分かった。少子化で全体の保育需要が縮小しているほか、保育士不足や、特定の施設に利用希望が偏るといった要因が重なったとみられる。
調査は2~3月、県庁所在地と政令市、東京23区、中核市の計109自治体を対象に実施し、103自治体から有効回答を得た。
1次選考の時点で定員割れとなったのは、103自治体にある計約1万8000施設のうち約6800施設だった。利用申込者数の合計は前年比2・3%減の計約28万6400人。71自治体で減少し、理由(複数回答)として、57自治体が「就学前人口の減少」を挙げた。
施設の定員について課題に感じていることを複数回答で尋ねたところ、43自治体が「保育士不足で定員まで子どもを受け入れられない施設がある」とした。
一方、申込者数から1次選考の内定者数を引いた落選者数は約5万9600人で、前年より2%増えた。落選者数が増加した自治体が57、減少した自治体が45だった。通いやすい特定の施設に利用希望が偏ることが影響したようだ。(以下省略)
大阪市も例外ではありません。2次選考を終えた後でも、殆どの保育所等で定員割れが発生しています。
大阪市内で最も保育所等に入所しにくい北区も例外ではありません。4月1日時点で定員を充足している(=年度途中入所を募集していない)のは4保育所等のみです。約9割の保育所等が園児募集を継続しています。
原因は明白です。少子化と保育所等の急増です。同区の平成25年度以降における0歳児一斉入所申込数・募集数・倍率は下記の通りです。
大阪市北区の0歳児一斉入所 | |||
年度 | 申込数 | 募集数 | 倍率 |
H25 | 111 | 88 | 1.26 |
H26 | 147 | 129 | 1.14 |
H27 | 180 | 133 | 1.35 |
H28 | 183 | 164 | 1.12 |
H29 | 203 | 202 | 1.00 |
H30 | 217 | 245 | 0.89 |
H31 | 234 | 254 | 0.92 |
2020 | 258 | 247 | 1.04 |
2021 | 203 | 269 | 0.75 |
2022 | 188 | 283 | 0.66 |
2023 | 188 | 280 | 0.67 |
改めて見直すと、保育所等を取り巻く環境がここ十数年で劇的に変化しているのが感じ取れます。平成25年度の0歳児募集数は僅か88人でしたが、2023年度は280人となっています。3倍増です。
申込数も年々増加しています。が、ピークは2020年の258人でした。そこから年々減少しています。大阪市中心部たる北区でも少子化が進んでいるのに加え、未就学児増加を支えていたタワマン新築が縮小している為です。適地は開発され尽くしてしまったのでしょう。
4月になっても保育所等の定員が充足しないのは当然です。
特定施設への偏りも発生しています。同一区内でも区中心部や駅近くにある保育所等は充足率が高い反面、区外縁部(特に市境)や駅から離れた保育所等は充足率が低い傾向が発生しています。
区中心部等にある保育所等に入所できなかった園児が第2希望以下で入所することにより、外縁部の保育所等も一定程度の園児が入所しています。が、更に未就学児が減少すると、真っ先に充足率が急落するのは外縁部の保育所等です。
保育所等より大きな影響を受けているのは、認可外保育施設や企業主導型保育施設です。保育料の高さや情報の不足等により、これらの施設は第1希望としては選ばれにくいのが実情です。
ただ、視点を変えると、「年度途中でも入所しやすい状況が現れている」とも言えます。これまでは4月の一斉入所で入所できなければ、翌年4月の一斉入所を待たざるを得ないケースが大半でした。しかしながら年度途中の募集枠が生じている事により、急な需要にも対応できる様になっています。
今後は保育所等の充足率が更に低下するのは避けられません。「こども誰でも通園制度(仮称)」によって子育て世代のニーズに応じながら保育需要を喚起するのか、それとも保育施設が自然淘汰されるのを傍観するかは政策判断です。
全国一律での「こども誰でも通園制度」は困難
個人的な考えとなりますが、「こども誰でも通園制度(仮称)」は非常に難しいと感じています。保育所等が置かれた状況が地域によって偏りが酷く、国全体の制度として導入するのが困難だからです。
大阪市の様な都市部でも定員割れが発生している保育所等が増加していますが、充足率はまだまだ100%に近いです。定員を満たない施設や年齢も一部です。手放しに「誰でも通園できる」とは言い難いです。待機児童問題の解消が先です。
一方で地方は少子化が加速しています。子育てする世代の人口が激減している為です。保育所等の充足率は低迷し、統廃合が進んでいます。誰でも通園制度を導入するまでもなく、多くは誰もが入園できるのが実態です。
各地域毎の実情を踏まえ、保育所等の未充足定員を1日預かり等でも活用できる様になるのが落としどころではないでしょうか。
孤立した育児は本当に堪えます。保育所等を利用出来なければ、我が家は既に行き詰まっていました。誰でも保育所等を利用出来るのは建前だとしても、少しずつでも近づいていって欲しいです。
こちらの記事のヤフーコメント欄が、保育士さんからのコメントで溢れていましたが、皆さん一律に、保育士の待遇改善と、それが実現せねば、保育士不足は解消せず、何が誰でも通園だと憤慨されていました
(是非ご一読される事をお勧めします。)
もし定員割れしてるなら、むしろ、保育士一人あたりの子供の数を減らし、保育の質の向上と、保育士の負担軽減すべしとの意見もありました。
先日、保育人数の見直しがありましたが、それでもまだまだ多いです
(だから、先生が子供と一緒にご飯食べざるをえないのも有るかと思います)
ただ、やはり財源なんですよね。
どれだけここにお金を割り振れるか。保育士が担当する子供の数が減れば、相対的に人件費は上がります。
なおコメント欄では、看護師が引き合いに出されてましたが、看護師は連盟を作って政治に強く働きかけてきたのと、夜勤が出来ることから、給与が高いです。
保育士も、個人で政治家になられようとされる方はそこそこおられますが、もっと組織的に動く必要があると感じています。