H28保育所等一斉入所結果分析、地域編です。第13回は此花区を取り上げます。なお、同区に関する過去の分析記事は、「検索:此花区 分析」からご覧下さい。
分析精度の向上の為、今年から各保育所・年齢(0-2歳児)毎の「推定入所最低点」(以下「最低点」とします。)を掲載します。
未就学児数は減少傾向へ転じる
此花区での未就学児数は数年ほど横ばいとなっていました。しかし、平成28年4月時点で昨年より1%強の減少に転じました。少子化の波が此花区にも到達したのでしょう。
若干ながら保育所等にも入所しやすくなっています。新規入所申込数・利用保留数はいずれも減少し、保留率は2割を切りました。ただ、入所者平均点ベースで見ると、昨年より上昇した保育所等が目立ちます。「申込数は減少したが、申込者の点数は上昇している」という結果がうかがえます。
保育所等は区役所周辺に集中
一方、此花区の保育所には大きな問題が横たわっています。「保育所の偏在」です。
地図を見ると一目瞭然です。此花区内にある保育所等の大半は、区役所がある区内中心部に設置されています。あたかも1町内会につき1施設がある様な雰囲気です。入所最低点は決して高くなく、自宅最寄にある第1希望の保育所へ入所できる方が少なくないでしょう。
反対に、それ以外の地域では保育所等は疎らです。たとえば阪神高速・阪神なんば線に囲まれた高見・伝法東部地域は、広い面積と多くの住居があるにも関わらず2保育所しかありません。また、多くのマンションが建ち並んでいるユニバーサルシティ駅前には、1保育所しかありません。
西九条駅周辺には多くの保育所が集まっています。しかし、これにも理由があります。
ユニバーサルシティ駅周辺は最激戦地域
中心部以外の地域を一つ一つ見ていきます。まずは此花区で最も保育所へ入所しにくい、ユニバーサルティ駅周辺地域からです。
同駅周辺で入所しにくい理由は単純です。しんが保育園しかないからです。数年前に同園は分園を設置しました。しかし、周囲で保育を必要とする世帯数に全く追いついていません。H28一斉入所の入所倍率は、区内で最も高い3.27倍でした。入所希望者の内、入所できたのは3割程度に過ぎません。
また、入所最低点も高い水準です。0歳児はフルタイム必須、1歳児は加点必須、そして2歳児は募集がありません(中間発表時)。平成28年4月の入所者15人の内、10人が201点以上で入所しています。
此花区は同駅周辺に保育所・地域型保育事業を積極的に誘致しようとしていますが、思う様な結果が出ていません。今後も見込みが薄いのではないでしょうか。
余波は島屋地域・西九条駅周辺へ
しんが保育園を第1希望としながら入所できなかった方は、何と30人以上に達しています。こうした方は、他の地域にある保育所等へ登園せざるを得ません。
第1に考えられるのは、島屋小学校の隣にある島屋保育所です。自転車で15分程度の道のりでしょうか。登園可能な距離にあるとは言え、勤務先の場所によっては時間を大きくロスしてしまいかねません。
同保育所の最低点は0-2歳児全てが200点です。フルタイム共働きでなければ入所は困難でしょう。同保育所の周辺に住んでいる第1希望者と、ユニバーサルティ駅の周辺に住んでいる第2希望者、双方が重なり合うイメージです。
次に電車通勤している方です。相当数の利用者がいると推測されるのは、西九条駅周辺にある保育所です。同駅は大阪環状線・阪神なんば線との乗換駅です。乗り換えるついでに保育所へ立ち寄れれば、最小限の時間で済みます。
同駅周辺にあるのは、西九条保育所・勢至学園西九条園・西九条おはな保育園(地域型)・ふじのもり保育園(福島区)です。入所最低点は決して低くありません。特に2歳児が高いのは、しんが保育園の2歳児募集が無いのが影響している為でしょう。
やむを得ず居住地域以外の保育所等へ登園するのは、児童・保護者に極めて大きな負担が掛かります。ユニバーサルシティ駅周辺の保育需要は、1保育所の新設でも応じきれない程度の規模があると推測されます。
入所倍率・区内他地域との対比・河口という地理的性質から、同駅周辺の待機児童問題は市内で最も深刻な部類と言えます。異常事態が続いています。
高見・伝法東部地域は保育所過疎
同じく保育所へ入りにくいのは、高見・伝法東部地域です。面積・住居と比べ、保育所が明らかに足りていません。特に中心部にある高見保育所は多くの希望者が集中し、1歳児倍率は毎年4倍を超えています。0-1歳児で入所するには、フルタイム共働きでなければ難しい状況です。
この地域は古くからの住居に加え、工場跡地等に大型マンション等が建設されています。マンション建設に対して、保育所等の整備が進まなかったとうかがえます。再開発計画において、マンション地区内に1保育所を設置する様に盛り込むべきでした。
地域差に要注意
此花区は区全体としてみるとやや入所しやすい傾向にあります。しかし、区中心部とそれ以外の地域では、同じ区とは思えないほどの違いが生じています。多くの区では中心部がやや入所しにくい傾向が強いですが、此花区は逆です。
こうなってしまった理由の一つは、周辺地域での再開発計画に見合う保育所の新設が行われなかった為でしょう。ユニバーサルシティ駅周辺と高見地域、いずれも再開発によって数多くの子育て世帯が転入したと推測されます。また、西九条地域はその余波を受けた形です。
こうした地域で保育所入所を考えている方は、十分にご注意下さい。
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次回以降は概ね西区(前後編になりそう?)・都島区・淀川区・東淀川区・西淀川区(2歳児も)の順に掲載していく予定です。リクエスト等があればコメント・問い合わせからお寄せ下さい。
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此花区と福島区をリクエストしました者です。
どちらの区も解説頂きありがとうございました。