H28保育所等一斉入所結果分析、地域編です。第11回は阿倍野区を取り上げます。なお、同区に関する過去の分析記事は、「検索:阿倍野区 分析」からご覧下さい。
分析精度の向上の為、今年から各保育所・年齢(0-2歳児)毎の「推定入所最低点」(以下「最低点」とします。)を掲載します。
ビジネス地域を除くと、阿倍野区の保育所等整備率は市内ワースト
阿倍野区は毎年3パーセント前後のペースで就学前児童が増加しています。落ち着いた住宅街の真ん中を地下鉄御堂筋線が通過しており、住環境と利便性が両立できる為でしょうか。私立・国立学校が多いのも特徴的です。
しかし、保育所等への入所は決して容易ではありません。利用保留数は前年より47人増えて163人に達し、保留率は30.1%もの高さとなりました。申し込んだ10人中、3人は決まらなかった計算です。
特に際立って低いのは保育所等の在籍率、すなわり整備率です。阿倍野区は28.8%であり、中央区(24.9%)に次ぐ低さです。中央区はビジネス街・繁華街がメインという特殊事情があるでしょう。住宅・マンション等が広がる地域に限ると、阿倍野区の保育所等整備率は市内ワーストです。
理由の一つは幼稚園の多さでしょう。阿倍野区は私立幼稚園が多くある事から、保育所の整備が遅れているという一面があります。また、施設公募の対象は認定こども園・小規模保育とされ、保育所の新設は殆ど行われていません。
結果、保留数・保留率は共に前年から上昇しました。悪化具合は北区に次ぎます。
区全域で厳しく、特に北部は入所困難
各保育所・年齢毎の推定入所最低点を見ていきます。全年齢を通じて、阿倍野区では「区全域で厳しい、特に北部(概ね松虫通より北側)は極めて困難」という傾向があります。
阿倍野区では、0歳児であればフルタイム未満でも入所できる保育所が少なくありません。0歳児入所倍率は1.07倍であり、殆どの入所希望者は入所できた形です。
ただ、一部の保育所では0歳児最低点が200点以上となっています。極めて厳しいのは天王寺駅に近い地域です。三明保育所・高松保育所の最低点は201点だと推測されます。事実上、第1子の入所は絶望的でしょう。
少ない募集人数に対して多くの児童が入所を希望しており、多くはきょうだいが既に在籍している児童の入所で決まってしまうからです。0歳児・第1子での入所を検討される場合は、0歳児募集数が多い保育所を選ばれるのが重要かもしれません。
一方、1歳児は状況が異なります。殆どの保育所でフルタイム共働き以上の点数が求められます。更に6カ所の保育所では200点でも入所できなかった結果がうかがえます。
大きな理由は1歳児倍率の高さです。H28一斉入所は2.02倍であり、ほぼ半数の児童が入所できませんでした。保育所等が絶対的に不足しています。
特に厳しいのは北部地域にある保育所です。1歳児最低点が201点以上である保育所は殆どが北部に集中しています。特に望之門保育園・阿倍野保育園・あい保育園昭和町の最低点は207点という高さです。きょうだいが在籍していても入所できない児童が生じた可能性があります。
2歳児は1歳児以上に厳しい状況です。殆どの保育所は201点以上、一部が200点以下という結果です。募集数が少なく、募集を行っている保育所に希望が集中している形です。
こうした傾向も南下するに従って薄れていきます。また、地域型保育事業は保育所より入所しやすくなっています(但し1歳児は200点が殆ど)。
北部地域が厳しければ、東住吉区・西成区も検討を
北部地域に住んでいる第1子の場合、近隣の保育所は全て入所できそうも無いという家庭もあるでしょう。一つの代替案となるのが、東住吉区・西成区内の保育所です。
東住吉区内には、JR阪和線のすぐ東側に北田辺保育園・めぐむ保育園があります。両園とも阿倍野区内の保育所より入所しやすくなっています。住環境も近く、自転車を利用すれば登園は容易でしょう。
反対側、西成区内という選択もあります。上町台地を下れば、すぐに山王保育所・天下茶屋保育所があります。最低点は低く、パートタイム勤務の方でも入所できるでしょう。
しかし、阿倍野区内で完結すべきなのが本来であり、入所希望者の願いでしょう。不思議なぐらいに保育所ができないのが阿倍野区です。
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次回以降は、概ね西区・福島区・此花区・都島区・淀川区・東淀川区の順に掲載していく予定です。リクエスト等があればコメント・問い合わせからお寄せ下さい。
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