H27保育所等一斉入所に関する結果分析、14回目はリクエストにお応えして住吉区を取り上げます。
実は待機児童が極めて深刻な地域です。
都心部に匹敵します。
ただ、深刻化している理由や状況は大きく異なっています。

なお、次回以降は淀川区・中央区・浪速区・西区を取り上げる予定です。
「○○区の状況を早めに知りたい」「○○保育所についてもっと突っ込んだ分析を」などのリクエストがありましたら、コメント・問い合わせからお寄せ下さい。

各保育所毎の新入所者数・入所者平均点・入所基準点を取り上げ、H26とH27を比較した上で分析検討を行ってみます。
(入所者平均点・入所基準点の計算方法はこちらに記載しています。)

なお、下記の投稿も参考にして下さい。
【H27保育所一斉入所申込分析】(15)住吉区
【H26保育所一斉入所結果分析】(21)住吉区

入所基準点付き保育所等マップ(住吉区)
h27_kekka_sumiyoshi
【H27版】大阪市子育て支援施設マップ(非公式)より

種別名称H27H26
入所者数入所者平均入所基準点入所者数入所者平均入所基準点
民間保育所あびこひかり保育園10187.515512193.0175
こぐま保育園16197.419518188.8125
ひまわり乳児保育園27188.517531185.5165
ひまわり保育園12183.015517170.8115
遠里小野保育園28190.916534180.8135
山之内保育園22184.115528167.3125
四恩みろく2夜間保育園3188.8165
四恩みろく保育園4118.0453175.5135
四恩るり2乳児保育園5177.512513172.4125
四恩るり保育園4185.51659176.6135
四恩乳児保育園19163.413522174.1135
大領乳児保育園12173.014516176.8105
大領保育園14170.51258180.555
長居保育園27169.212536180.5135
長居保育園乳児センター26181.313531183.9155
藤保育園47187.015556189.4165
公立保育所苅田南保育所25190.317523188.6175
住吉乳児保育所32187.717529195.2175
住吉保育所5161.51253202.2195
浅香東保育所19181.315533173.7145
万領保育所27181.816530183.2155
こども園きりん保育園15194.2185
まんだい保育園18194.4175
認定こども園東よさみ幼稚園26162.8125
小規模A亀の子共同保育所4178.0175
小規模Bすまいる保育園山之内4188.0185
小規模CKIDSROOMBaby-bee3165.5165

大阪市の保育所等利用待機児童数について(平成27年4月1日現在)より作成

大和川に接している区の中で保育所へ入所するのが飛び抜けて難しいのが、ここ住吉区です。
隣接する住之江区・東住吉区と比較しても差が歴然としています。
むしろ地下鉄御堂筋線・JR阪和線で繋がっている阿倍野区に近い状況です。

就学前児童数は昨年から約2%減少して7,270人となっています。
昨年は約1%の減少だったので、就学前児童数の減少率は加速しています。

保育所等への新規利用申込数も減少しています。
昨年より51人減少して707人となりました。

ただ、新規利用児童数の減少幅が著しい事になっています。
昨年から135人も減少し453人となりました。
約20%という減少率は都島区に次ぐ市内2位の値です。
都島区では昨年に新規開所した保育所が多かった反動という理由があります。
住吉区では多くの既設保育所で募集数が減っているのが理由の一つです。

もう一つの理由は、昨年の新規利用者数588人という数字が若干おかしいからかもしれません。
平成26年度一斉入所における住吉区内の保育所等の新入所者数を合算すると452人となります。
区外・市外利用者等の存在によって若干の誤差は生じますが、100人以上の違いは若干とは言えません。
ひょっとして、昨年の新規利用者数は認定こども園の部分で誤差が生じていたのかもしれません。

昨年との違いは無視したとしても、住吉区では保育所等へ入所するのが困難な状況に変わりはありません。
保留数は昨年より84人も多い254人となりました。
市内1位の増加数です。

保留率も急上昇し。35.9%となりました。
3人に1人が入所できなかった結果です。
天王寺区(38.0%)・中央区(33.5%)に匹敵する高さです。

こうなった大きな理由の一つは、保育施設の著しい不足です。
保育所等の在籍率は31.0%です。
これより低いのは、中央区・西区・天王寺区・阿倍野区という都心部のみです。
在籍児童数の増加数も上記各区に劣っています。

一方、新入所者の平均点はほぼ市内の中間です。
昨年とほぼ同値の181.84点であり、市内では13番目です。

これらの数字から、下記の様な仮説は導き出されます。
(1)住吉区には幼稚園が多く(実際に多い)、子育て世帯は主に幼稚園を利用していた。
(2)共働き世帯(パートタイム等を含む)は少なく、保育所等を利用する児童も多くなかったので、保育所等の整備は後回しにされた。
(3)経済情勢の変動により共働き世帯が増え、より長時間預かってくれる保育所等へのニーズが高まった
(4)ビジネス街たる梅田・淀屋橋・本町等は遠く、フルタイム共働きではなく近隣地域でパートタイムとして働く世帯が急増している(フルタイム共働きは中心部への居住を検討する)
(5)結果として新入所者の平均点は変わらず、それに満たずに入所できなかった児童が急増した

長時間保育は必要ないが幼稚園の教育時間では足りず、幼稚園の預かり保育を利用するのに十分な収入は見込めない・・・そんな姿が描けます。

保育所毎に見ていきます。

住吉区内で入所するのが最も難しかったのは、殿辻1丁目にあるこぐま保育園でした。
入所基準点が195、入所者平均点は197.4点でした。
1-2歳児入所はフルタイム共働きでも入所できない恐れがあるでしょう。
住吉区役所や南海高野線沢ノ町駅に近くて利便性が高く、長居公園通の南側の地域から多くの希望者が集まっているのでしょう。
また、あべの筋(府道30号線)に近いまんだい保育園・万領保育所・住吉乳児保育所・遠里小野保育園も入所するのがやや難しいと言えるでしょう。

同様に、地下鉄御堂筋線沿線にある保育所もやや難しい保育所が多いです。
きりん保育園・ひまわり(乳児)保育園・苅田南保育所です。
本町等にてフルタイムで働いている方が多い地域ではないでしょうか。

個別の保育所の数字を追う限り、入所するのに著しく高い点数が必要な保育所は殆どありません。
また、入所基準点が極端に低い保育所等もありません。
短時間勤務による保育所利用を望む世帯が急増し、保育所不足が深刻化していると推測されます。
こうした働き方を検討している方は、両隣の東住吉区・住之江区の保育所もご検討下さい。
住吉区とは全く状況が異なっています。

都心部でフルタイムで働くには通勤時間が掛かり過ぎ、近隣地域で短時間勤務を希望すると保育所へ入所しにくいのが住吉区です。
子育て世帯にとって、保育所が極めて利用しにくい地域ではないでしょうか。