2024年7月に、高知市立長浜小学校の4年男児が水泳の授業中に同市立南国中学校プールにて溺死した事件が起こりました。

【2025/2/26更新】高知市立長浜小学校の4年男児が水泳授業中に溺死 借用した中学校プールにて(時系列)

同市が設置した検証委員会が聞き取り調査等を行い、「高知市立長浜小学校児童プール事故検証報告書(340ページ)」を作成・公表しました。

高知市立長浜小学校児童プール事故検証報告書
https://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/life/227153_916716_misc.pdf

全文を拝読しました。小学校が中学校のプールを借りた経緯から事故当日の授業の流れ等、様々な事実が事細かく認定されています。非常に精緻な報告書だと感じました。

事故に至った大きな原因の一つは、小学4年生が中学校プールで水泳の授業を行った事でした。

南国中学校プールの代替利用にあたっては致命的なミスがありました。「水位測定」です。

同中学校のプールは最深部が1.4メートル、最浅部が1.2メートルでした。プールサイドに表示されています。

同小校長ら教員4名が現地を確認した際に水深表記を確認しました。一方、持参した棒をプール内に入れて実水深を測定した結果は、最深部が118センチメートル、最浅部が98センチメートルでした。この深さは小学校プールの水深とほぼ同じです。

しかし、同小校長は中学校プールの実水深が深くなる可能性を考えていませんでした。実水深は給水や降雨によって変わるものです。実水深ではなく、中学校プールの最深部の水深に強い注意を払うべきでした。

水深測定から第1回の授業を行うまでの間には計100ミリ以上の降雨がありました。第1回の授業に同行した校長は、水深測定時より水位が上がっていたと認識しました。仮に満水状態まで水位が上がっていたならば、水深測定時より約22センチも水深が変わっていました。

が、水深が深くなっているという事実は長浜小学校の教職異の間では共有されませんでした。中学校へ水深が深くなった理由や対応策等を訊ねた事実も確認できませんでした。

慣れ親しんでいた小学校のプールとは異なる中学校のプール、しかも水深は相当程度に高くなっています。小学4年生にとっては深すぎるプールです。第1回の授業では「深い」と声を上げる児童もいました。

第3回の授業で亡くなった児童は足がプール底まで届かないかもと声を上げ、水の中に頭を浸けられない状態でした。教員は「絶対に(最浅部である)東側のプールサイドの方にいるように」と指示を出しました。

それでも足はプールの底になかなか届きません。第1回の授業では計3人の児童が溺れかけ、教員に救いあげられました。

当日の放課後、中学校でのプール授業を実施した4年教員2名は校長へ「児童3人が溺れかけた」「プールが満水だった」「4年生が中学校プールを利用するのは不安だ」との旨を報告しました。が、校長は具体的な対応をとりませんでした。

第2回以降の授業も深い南国中学校のプールを利用する事となり、第3回授業で悲劇が起こりました。

(続きは別記事にて)