(男児が意識不明に陥った新居浜上部のぞみ保育園)

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(3/26追記)
男児は心拍が回復しましたが、意識は戻っていません。現在は在宅で過ごしています。

新居浜市特定教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための検証委員会が報告書を市へ提出しました。

去年、愛媛県新居浜市の保育園で、生後8か月の男の子が給食のりんごをのどに詰まらせて意識不明となった事故で、市の検証委員会は、りんごを離乳食とすることへのリスクの認識不足などが事故につながったとする報告書を市に提出しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240325/k10014402111000.html

同報告書は新居浜市ウェブサイトに掲載されています。

新居浜市認可保育所における重大事故の再発防止のための検証委員会報告書
https://www.city.niihama.lg.jp/uploaded/life/134845_607694_misc.pdf

新居浜市認可保育所における重大事故の再発防止のための検証委員会報告書(概要)
https://www.city.niihama.lg.jp/uploaded/life/134845_607953_misc.pdf

気になった点等は、下記に記しました。

生後8か月男児がリンゴ片で窒息 「重大な誤嚥リスクに誰も気付かず」検証報告書が公開 愛媛県新居浜市

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(6/27追記)

本件事故に関する愛媛県・新居浜市による指導監査結果が公表されました。リンゴの提供方法が国の指針に反していました。

「新居浜上部のぞみ保育園」に対する指導監査結果について
https://www.city.niihama.lg.jp/soshiki/128/nozomikansa.html

https://www.city.niihama.lg.jp/uploaded/life/123797_546601_misc.pdf

上記書類が触れている「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」には、「食べさせる時に特に配慮が必要な食材」としてリンゴが取り上げられています。

リンゴは「咀嚼により細かくなったとしても食塊の固さ、切り方によってはつまりやすい食材」として、「完了期までは加熱して提供する」と明記されています。

しかしながら同園は小さく小さく切り分けただけであり、加熱していませんでした。大きな過失があるのは明白です。

また、同園では給食に伴う事故が相次いで発生していました。そこで新居浜市は食事提供体制の改善についてはより具体的な指摘を行いました。

https://www.city.niihama.lg.jp/uploaded/life/123797_546602_misc.pdf

当たり前の内容ばかりです。

怖かったのはヒヤリハット事例の取り扱いです。同園では過去2年間に於ける給食でのヒヤリハット事例を記録していませんでした。窒息や異物混入事故に繋がりそうな危険な事象が発生しても、それを園内で報告・共有する仕組みが無かった事となります。

これだけ短期間で多くの事故が起きたので、過去2年では相当数のヒヤリハット事例があった筈です。が、何も記録されていません。こうした事故一歩手前の事象把握・再発防止を行ったいなかった事が、本件事故に繋がりました。

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(6/7追記)
同じ保育所で給食に伴う事故が新たに2件発生している事が明らかになりました。アレルギー食(卵)及びクッキングペーパーの混入です。

会見する社会福祉法人新居浜社会福祉事業協会の石井孝允理事長(左端)ら=2023年6月6日午後1時4分、愛媛県新居浜市、堀江泰史撮影
 生後8カ月だった男児が給食後に意識不明の重体になった新居浜上部のぞみ保育園(愛媛県新居浜市中村2丁目)は6日、新たに2件の事故が起きたと発表した。事故後、別の男児に提供したサラダの中に紙片が見つかり、卵アレルギーの女児に卵が入った菓子を食べさせた。2人とも登園しているという。

 園によると、保育参観日だった5月17日、離乳食として出したカボチャサラダを母親が8カ月の男児に食べさせた際、数ミリ大の紙片を複数見つけ、翌日提出した連絡帳で「複数入っていました」と園に報告。カボチャを細かく切る際にクッキングペーパーを敷いており、この紙片が混入した可能性がある。実物は残っておらず、男児が食べたかどうかは判然としていないとしている。

 さらに同月24日の午後3時のおやつで、卵アレルギーがある1歳7カ月の女児に卵が入ったマドレーヌ(8グラム)を食べさせた。保育士はアレルギーを把握していたが、用意していた別のお菓子と取り違えた。

https://digital.asahi.com/articles/ASR672JTHR66PTLC00F.html

いずれも園児がリンゴを食べた事故を受け、給食に関する作業手順等を切り替えた事によって誘発された事故だとしています。重篤な症状等に繋がらなかったのが不幸中の幸いです。

リンゴによる窒息は重大な事故です。安全手順を見直し、改善するのは当然です。しかしながら調理手順の改善だけに目を奪われ、園児が最終的に食事を食べる歳の確認が軽視されていました。保育士が気をつけていれば、マドレーヌやクッキングペーパーの提供は防げた筈です。

この話を聞き、同園では以前から給食に伴う事故が発生しているのではないかという疑問を有しています。

そもそも自宅でリンゴを食べた事があったとしても、給食2日目にリンゴ片を提供するのは考えにくいです。入園直後や給食開始直後は様々な事故等が起きやすい時期です。安全サイドに重心を掛け、とにかく「安全第一」で過ごす期間です。お粥を潰した物などを食べ、少しずつ園生活に慣れていく時期です。

「リンゴ片」に目が行きがちですが、私はむしろ給食開始2日目に提供した事を重大視しています。「乳児や幼児の成長に合わせ、安全な給食を提供する」というポリシーが欠落しています。

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(5/22追記)
食べたのはすり下ろしたリンゴではありませんでした。小さく小さく切り分けたリンゴ片でした。

同園によると、16日午前10時半ごろ、縦7ミリ、横2ミリ、厚さ3ミリの大きさに切ったリンゴ2かけらを保育士が男児の口に入れた直後、呼吸をしなくなった。園側が119番し、救急隊員が駆け付けたときには心肺停止状態だった。男児にリンゴのアレルギーはないという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f7e2b9894342b76f96d84c6688229f967b351f3

本当に小さく切り分けたリンゴを提供していました。が、8か月の園児が歯茎等で砕いて食べるのは難しかったと感じます。飲み込むしかなかったのでしょう。加熱して柔らかくするか、完全にすり下ろすのが望ましかったです。

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またしても不幸な事故が発生してしまいました。保育所へ入所したばかりの8か月男児がリンゴを食べた直後に心肺停止となり、今も意識が戻っていません。

生後8か月の男の子 保育所でリンゴを食べた直後、一時、心肺停止状態 のどにつまらせたか?現在も意識不明の重体

愛媛県新居浜市内にある保育所で16日、8か月の男の子が給食中に心肺停止となる事故がありました。園児は現在も病院で治療を受けていますが、意識不明の重体です。

事故があったのは、新居浜市などが出資する社会福祉法人が運営する「新居浜上部のぞみ保育園」で、法人などが20日に開いた会見によりますと、当日午前10時半頃、担当保育士が離乳食を食べさせていたところ、長さ7ミリ、厚さ3ミリほどに刻んだリンゴ2切を口にした直後、泣き始めたということです。

その後、泣かなくなったため、リンゴをのどにつまらせたと思った保育士と、室内にいた看護師が背中をたたき、吐き出させようとしましたが、顔色が白っぽくなったため、救急車を呼んだということです。

救急搬送中は心肺停止状態で、病院に到着後、蘇生しましたが、男の子は現在も意識不明の重体です。

保護者が記入したチェックシートで、「リンゴは食べたことがある」と確認していて、また、園は「給食を無理やり食べさせた事実はない」と説明しています。

男の子は今月、入園し、事故発生前日の15日から給食を始めたばかりでした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/06dde251240913248ccb8d7b94a7e6aebb151640

事故が起きたのは「新居浜上部のぞみ保育園」です。定員60名という小規模な保育所です。保育士は全園児の名前と顔が一致するほどの規模です。

本事故は2つの要素が絡んでいると考えられます。「入園直後」と「リンゴ」です。

保育所等へ新たに入所した直後は事故が起こりやすい時期です。7年前に大阪市で発生した死亡事故は、入所した当日に発生しました。

【ニュース】認可外保育「たんぽぽの国」(大阪市淀川区東三国)で1歳男児が死亡

保育現場での突然死は、保育が始まった当日に怒るケースが多いとされます。

最近の調査では、保育現場や自宅で発生する乳幼児の突然死は、保育が始まった当日とか、あるいは予防接種を受けた当日あるいは翌日とか、何か環境の変化とかストレスが生じた直後に、急変し亡くなるというケースが多いとされる。今回、初めて預けられたその当日に事態が起こっているため、イベントとしては全体的には稀な出来事だが、非常に起こりやすい時期にあったことは間違いない。

https://yodokikaku.net/?p=17821

特に5月はGWがある為、通常より慣らし保育期間が長くなります。今日は5月20日ですが、実質的には5月が始まって2週間しか経っていません。園児も事故が発生した前日たる15日から食事を始めたばかりでした。

「リンゴ」は注意を要する食べ物です。3年前に大阪市の保育所では、1歳2か月の男児がリンゴやコッペパンを喉に詰まらせて亡くなりました。

【9/21更新】大阪市城東区「ゆりかご第2保育園」で1歳児死亡 食事を喉に詰まらせたか

我が家は8か月の時点ではリンゴを食べさせませんでした。園で食べさせるとしても、完全にすり下ろした状態にしている筈です。すり下ろしが甘く、リンゴ片が残っていた可能性が考えられます。

ヤフーニュースに同園を利用していた方のコメントが寄せられています。

この保育園を利用していた者です。
うちの子も0歳児の頃からお世話になっていましたが、この保育園は小規模なところで、特に低年齢児はフリーの先生を多く配置したりして配慮し、細やかなお世話をしてくれる園で在園中に事故等はありませんでした。
我が子は中々離乳食が進まなかったのですが、先生や先生の手配してくれた市の栄養士さんと相談をしながら乗り切った経緯があります。
アレルギー等にも、申告に合わせて細やかな対応をしてくれ、月齢に合わせた保育を丁寧にしてくれました。初めて口にするもの等も、保護者と確認を取りつつ進めてくれたお陰か、うちの子は好き嫌いもありません。
実の親以上に子供の立場に立って考えてくれる素敵な園でした。
子供の数が少ないだけに、担当していない子供の名前を全員の先生が覚えてくれるようなアットホームな園だけに、先生のショックを考えると心配です。
お子さんの無事を祈らずにはいられません。

https://news.yahoo.co.jp/articles/06dde251240913248ccb8d7b94a7e6aebb151640/comments

細やかな対応をしてくれる、アットホームな園だそうです。

男児の回復を祈るばかりです。