全国各地の小中学校にて「プールの注水しっぱなし」が相次いで発生しています。非常に多くの水を出し続けた為、過剰に生じた水道料金は数十万以上となるケースが専らです。

ただ、教職員に負担を求めるかは判断が割れています。賠償を求めなかったりする事案もあれば、全額ないし一定額の負担を求める事案もあります。各自治体の考え方、業務マニュアルの有無、過失の程度等が影響しています。

横浜市立小でプール水3日間流出 損害58万円、教諭に賠償求めず
https://news.yahoo.co.jp/articles/d36aa4248025263997eca9ddec491f420c6f3873

小学校プールの水大量流出、宮城 マニュアルに不備、賠償求めず

宮城県富谷市は22日、市立東向陽台小で25メートルプールの水が13日間にわたって出しっ放しになり、約200万円の損害が生じたと発表した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/15328c2637a3b1f427c549de830c739b6dc15f37

プール水流出で半額弁償、川崎 教諭と校長に請求分

 川崎市立稲田小で25メートルプール約6杯分の水を出しっ放しにするミスがあった問題で、市は15日、水道代の半額として男性教諭と校長に請求していた約95万円が全て入金されたと明らかにした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f1bd0ec133fe991c542518d5ea2c2ad5d2340614

今回は大阪市立矢田北小学校にて発生しました。3日弱に渡って注水をし続けていました。

 大阪市立矢田北小学校において、プールへの注水を停止せずに注水を続ける事案がありました。

 このような事案が発生したことにつきまして、深くお詫び申しあげますとともに、再発防止に努めてまいります。

1 概要と事実経過
 令和6年6月28日(金曜日)12時頃、プールの水位が低かったことから、教職員1名が注水作業を行いました。

 その際、本来注水作業を行った場合は、職員室ホワイトボードに注水作業中である旨を記載することになっていますが、当該教諭は記載をしていませんでした。

 13時30分頃、雨天のためプールでの授業は中止となりましたが、当該教諭は注水の停止を失念しました。

 17時頃、教職員2名がプールの浄化装置の停止作業を行いましたが、プールへ注水していることには気づかず、注水は続いたままとなりました。

 7月1日(月曜日)1時頃、注水を停止していないことを思い出した当該教諭は、当該校に向かいプールの状況を確認したところ、注水が継続したままの状態であったため注水の停止作業を行いました。

 なお、授業などへの影響はありません。

2 原因

 当該教諭が注水の停止を失念したこと、プール管理にかかる要項に示されていた注水作業中である旨をホワイトボードに記載することを怠っていたことが原因です。

https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kyoiku/0000630303.html

どれだけの水が流れっぱなしになり、過剰な水道料金が発生したのでしょうか。

同じ様に横浜市で3日間出しっ放しになったケースでは、約812立方メートルの水が流れ続けました。水道料金は約58万7千円でした。今回の大阪市の事例でも同程度の水が流れっぱなしとなり、それに伴う料金が発生したと考えられます。

焦点となるのは教職員の賠償責任です。矢田北小学校では注水作業中である旨を職員室のホワイトボードに記載する手順となっていましたが、当該教職員はそれを怠っていました。

天候に問題がなければ午後からの水泳授業中に担当教員が水を止めたでしょうが、雨天によって水泳授業は中止となりました。夕方に浄化設備を点検した教員も、注水に気付きませんでした。

教員が注水を止めるのに気付いたのは、日曜深夜(月曜未明)でした。翌日の出勤準備等をしている最中に気付いたのでしょう。

ホワイトボードへの記入を怠り、約3日後まで気付かなかった等、担当者の過失は明らかです。しかし、プール注水作業は人間のメモや記憶力だけを頼りにすべきものでしょうか。

学校の先生は本当に忙しいです。頭の片隅に「注水実施中」とあっても、授業や児童対応を行っていると忘れてしまうのも仕方ありません。他の先生の作業動線からも外れているので、何かのついでに気付く事も期待できません。

一つに機械の力を借りる方法もあります。例えば一定時間後や一定量を注水した後に自動的に停止したり、プールの注排水量を職員室から監視できる装置を設置する事は可能でしょう。お風呂の湯船と一緒です。

人間が関与する作業量を増やしてしまうと言う面では推奨しにくいのですが、退勤時に教頭ないしは別の先生が注水が止まっている旨を確認する旨を定めるという考え方もあります。注水時は職員室から旗などを持ち出し、注水終了後には旗などを戻す方法もあります。

更にはそもそもプールの注水管理は先生の仕事なのでしょうか。大阪市立学校には管理作業員やサポートスタッフが配属されています。こうした職員でも作業は可能です。

単純な監視作業は極力機械化する、もしくはこうした作業を担う職員に委ねるのが望ましいです。忙しすぎる先生の責任を追及するのは酷だと感じました。