NHKが「朝の小1の壁」を大々的に取り上げています。

「朝の小1の壁」で親が転職も?こども家庭庁が初の全国調査へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240704/k10014501171000.html

30分遅くなっただけで…共働き世帯 悩ます「朝の“小1の壁”」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240411/k10014417661000.html

対応策として上記ニュースで取り上げられたのは、「親が転職する」「小学校で朝7時からの預かり保育を実施する」というものでした。

でも、これって何かおかしくありませんか? 一人での出発がやや難しい小学校低学年での、朝の数十分の話です。その為にこれだけの労力を子育て世帯や学校が負うべきものなのでしょうか。

転職には様々な事情が伴いますが、子供の為に待遇が下がってしまう転職は決して本意では無いでしょう。

また、保育園とは異なり、学校は勉強する場所です。朝7時からの登校となると、起床するのは6時前後です。眠気眼で登校しても、授業に集中するのは難しいでしょう。

更に学校から帰宅した後は宿題や翌日の準備が待っています。保育園と学校では子供に掛かる負担が全く違います。「小1の壁」対策として、学校の校門を開く時間を早めるのは悪手です。

こうした現状は子育て世帯や子供に一方的な「犠牲」を求めていませんか? 1人目でこうした壁に直面してしまうと、2人目や3人目は躊躇してしまいます。

解決するヒントは上記ニュース中にあります。

・「以前の職場では所定勤務が午前9時からとなっていましたが、午前8時ごろから会議が開かれることも定期的に」
・「妻は時短勤務を認められていましたが、実際には8時過ぎから欠席できない会議が行われることもしばしば」
・「柔軟な働き方ができる労働環境を条件に転職活動」
・「所定勤務は午前8時から午後5時。自宅から勤務先までは車で小一時間かかる」

所定勤務時間が早すぎる(一般的にメーカーは早い)、所定時間前から会議が行われる、職場が柔軟な働き方を認めていないのが主な理由です。つまり「朝の時間」が決定的な意味を持ちます。

端的に考えられるのは、小学生を含む子育て世帯が朝の出勤時間を調整できる制度を全面的に導入する方法でしょう。

時短勤務・フレックス制・在宅勤務等、方法は様々です。どの様な制度を導入するであれ、「両親のいずれか(もしくは両方)が小学校へ出発する子供を見送ってから自宅を出発できる」のが必要不可欠です。

制度導入以前に撤廃すべきなのは、「所定時間外の打ち合わせ」でしょう。時短制度を有名無実化し、更には時間外の働き方によって昇進等が左右します。

これに参加できる男性社員だけ(及び男性社員の働き方に合わせられる)で「オールドボーイズクラブ(男性中心の非公式な組織内コミュニティ)」が形成されかねません。

保育園を朝7時から開所する制度も再検討が必要ではないかと考えています。朝7時から夜7時までの12時間保育は子供にも保育園にも負担が掛かります。果たして続けられるのでしょうか。

私達大人が目指しているのは「子供に無用な負担を掛ける」社会なのでしょうか。企業の経済活動が重視され過ぎてしまい、子供を含む社会全体がそれに合わせざるを得ないのが実情です。