先日、ヤフーニュースにて目を疑う記事を拝見しました。「きょうだいで違う保育園に通うメリット5つ「現役保育士目線」ママ友ネットワークが2倍」です。

きょうだいで違う保育園に通うメリット5つ「現役保育士目線」ママ友ネットワークが2倍
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9aec2a6355770b529ac83503206bf85150e80471

私自身は2箇所保育を経験していませんが、周囲の方々は悉く「しんどい」と漏らしています。ネット上で議論する意図はありませんが、上記記事にて実情と乖離した部分を指摘します。

年齢に合わせて保育園の規模を選べる

都会でも田舎でも年齢に応じて保育園を選べるほどに余裕はありません。

大阪市の場合、合理的な理由がない転所申請では基本点数が半分とされます。少子化が急激に進んで保育所等が余っている地域でない限り、年齢に合わせて保育園を選べるとは机上の空論です。

強いて言えば、その可能性があるのは地域型保育事業でしょう。0-2歳児は比較的小さな規模で過ごし、3歳児からは規模が大きな保育所等へ転所します。

ただ、登園や転所等の負担を考え、大阪市の殆どの保護者は6年保育を行う保育所等を第1希望としています。

保育園の個性を客観的に評価できる

確かに2箇所の保育園に在籍していたら、それぞれを相互比較できます。でも、そこからどちらの保育園へ都合良く転所できるとは言い難いです。

大阪市の場合、きょうだいいずれかが通っている保育所等へ他のきょうだいが転所する場合、「合理的な理由がある」と判断されるのが一般的です。

しかし、客観的に評価する為に2箇所の保育園に同時に在籍するのはナンセンスです。保育園は子供が健やかに成長するのが目的です。子供を敢えて別々の保育園に通わせ、保護者が客観的に評価する為の場所ではありません。

ママ友ネットワークが2倍

ママ友ネットワークが2倍になるメリットが理解できません。コロナ禍前から保護者同士の関係は決して強くなかったのですが、コロナ禍後はより顕著です。むしろ土日や夜間に立て続けにLINEメッセージが入る方が迷惑です。

きょうだいが体調不良時にも通園し易い

現役保育士がこれをメリットと強調したのが信じられません。「別の保育園に通っていれば、きょうだいの体調不良を隠蔽できる」という趣旨です。

コロナ禍の最中はきょうだいが体調不良の際は他のきょうだいにも登園を遠慮してもらう時期もありました。

しかし、現在は体調を崩したきょうだいがお休みし、それ以外のきょうだいは登園できています。きょうだい間で体調不良が伝播するかは疾病の種類や自宅での過ごし方等に影響されます。

同じ保育園に通っていれば、別のきょうだいが休んでいる情報が保育士間で共有されます。登園中のきょうだいの様子は普段より注意してみてくれ、普段と違う様子があれば早めに保護者へ連絡してくれます。

行事を何度も観覧できる

何度も観覧するのは負担です。自分が出ない他の保育園の運動会を観覧させられる、他のきょうだいも退屈します。

保護者の日程調整も大変です。何よりも2箇所の運動会の日程が重なったら二進も三進もいきません。居住している地域でも複数の保育園や幼稚園等の運動会は重なる事があります。

ただ、小学校区内の保育園・幼稚園と小学校・中学校は重ならない様に調整しています。園庭が狭い保育園や幼稚園が多く、学区の小学校の運動場を借りて運動会を行う施設が多いです。自然に小学校と幼稚園等の運動会は別日程となります。

2箇所保育は保護者の負担大

きょうだいで違う保育園に通う最大のデメリットは「日々の負担」です。持ち物はバラバラ、行事日程もバラバラ、登園先もバラバラ、登降園に要する時間は2倍です。

当ウェブサイトでも過去に多くの方から「2箇所保育を解消したい!」というご相談を頂きました。今日の様な大雨の日は登園するのが困難となり、仕事を休まざるを得なかったと言う話もありました。まるでカメハメハ大王です。笑い話ではありません。

大阪市は保育所等の新設や様々な加点項目を設ける事により、2箇所保育の解消を目指しています。以前と比べ、2箇所保育にならざるを得ない事例は相当減少したと感じています。

ただ、中には目を疑う事例もあります。0歳児定員は比較的多い(9人や12人)反面、1歳児定員が極端に少ない(1-3人)という保育所です。第1子は0歳児クラスへすんなりと入所できたものの、年度後半に生まれて1歳クラスへ入所できない第2子が溢れかえっているというものでした。

大阪市は新設保育所等に対して「1歳児定員は0歳児定員より多く」という旨を示していますが、人数差は明示していません。0歳児定員10人・1歳児定員11人という運用も可能となっています。

第2子の生まれ月次第では、2箇所保育が恒久化されかねません。「きょうだいで違う保育園に通うメリット」とは程遠い生活を強いられます。

なお、我が家は子供が保育所・小学校・中学校へと通っています。3箇所ともなり、行事日程等を把握するのが難しくなってきました。

特に時間割変更や弁当が鬼門です。最近は「前日に念を押さなかった子供(小学生や中学生)が悪い」と開き直っています。