厚生労働省より令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況が発表されました。

2023年の出生数は72万7277人で、前年の77万759人より4万3482人減少しました。母の年齢別では、45歳以上で増加、それ以外は減少しています。合計特殊出生率は1.20(前年は1.26)へ減少しました。


https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/kekka.pdf

第1子出生時の母の平均年齢は遂に31.0歳に達しました。過去最高です。晩婚化・高齢出産化が進んでいます。

都道府県別の合計特殊出生率は沖縄県(1.60)、宮崎県(1.49)、長崎県(1.49)が高く、東京都(0.99)、北海道(1.06)、宮城県(1.07)が低くなっています。

しかし、「出生数」で見ると全く異なる結果が現れます。2023年に産まれた子供の内、11.9%が東京生まれ(86,347人)です。8人に1人が東京生まれです。

都道府県合計特殊出生率出生数(対全国比)
全国1.20727,277100.0%
北海道1.0624,4293.4%
青森1.235,6960.8%
岩手1.165,4320.7%
宮城1.0712,3281.7%
秋田1.103,6110.5%
山形1.225,1510.7%
福島1.219,0191.2%
茨城1.2214,8982.0%
栃木1.199,9581.4%
群馬1.259,9501.4%
埼玉1.1442,1075.8%
千葉1.1435,6584.9%
東京0.9986,34711.9%
神奈川1.1353,9897.4%
新潟1.2310,9161.5%
富山1.355,5120.8%
石川1.346,7520.9%
福井1.464,5630.6%
山梨1.324,3970.6%
長野1.3411,1251.5%
岐阜1.3110,4691.4%
静岡1.2518,9692.6%
愛知1.2948,4026.7%
三重1.299,5241.3%
滋賀1.389,2491.3%
京都1.1113,8821.9%
大阪1.1955,2927.6%
兵庫1.2932,6154.5%
奈良1.216,9431.0%
和歌山1.334,9010.7%
鳥取1.443,2630.4%
島根1.463,7590.5%
岡山1.3211,5751.6%
広島1.3316,6822.3%
山口1.407,1891.0%
徳島1.363,9030.5%
香川1.405,3650.7%
愛媛1.316,9501.0%
高知1.303,3800.5%
福岡1.2633,9424.7%
佐賀1.465,1440.7%
長崎1.497,6561.1%
熊本1.4711,1891.5%
大分1.396,2590.9%
宮崎1.496,5020.9%
鹿児島1.489,8671.4%
沖縄1.6012,5491.7%
不明190.0%

出生数が2番目に多かったのは大阪府、3番目は愛知県でした。三大都市圏の中心地域が子育て世帯を引きつけています。

合計特殊出生率が高かった沖縄県の出生数は全国比1.7%、宮崎県は0.9%、長崎県は1.1%でした。人口が少ない地方で出生率が高くても、人口が集中する都市部での出生数には遠く及びません。

就職活動等で一定期間を過ごした経験はありますが、東京で子育てした経験はありません。学生時代の同級生からは「住居コストが高すぎる」「中学受験や中高の学費が高すぎる」「子供がたくさんいる、少子化とは思えない」という話は聞きます。

大阪でも住居費や教育費の高さは痛感しています。低く抑えようとすると、日々の生活の満足度や子供達の将来に影を落としてしまいます。

少子化対策として最も肝要なのは若年層・子育て世帯の所得向上です。後者は様々な子育て支援策が年々充実しています。が、前者は全くの手つかずです。

子育て世帯としての立場で強く感じるのは、実は独身若年層(20代~30代前半程度を想定)の生活実態が全く見えないのです。

プライベートな部分はどうやって生活しているのか、手取り収入はどれぐらいあるか、どういった出会いの場があるか等、さっぱり分かりません。私がそうした日々を過ごしたのはもう10年以上も昔です。当時と今とでは時代が違うので、私自身の経験は参考になりません。

結婚したい独身若年層が何に困っているかがよく見えないのは、政治や企業等で意思決定を行う層は尚更でしょう。子育て世帯も含め、こうした層に意見を伝える機会等が余りに少ないのが実情です。

数少ない選択肢の一つは「選挙」ですが、20-40代の投票率は低迷しています。選挙活動や政治活動等でも政治家(候補者を含む)とこうした年代との接点は希薄です。

高齢男性に偏った意思決定層が子育て支援等を定めても、若年層等が求めている施策と食い違うのは当然です。

少子化は今後も進みます。2024年の出生数は70万人を割る見通しです。