数年後には我が家の子供が高校受験を迎えます。大阪府立天王寺高校・茨木高校に引き続き、大阪府立北野高校の学校説明見学会に参加しました。
最寄駅の阪急十三駅は乗降客や周囲の店舗を行き来する人で賑わっていました。学校説明会へ向かう姿の親子連れは相対的に少なく感じました。グーグルマップに案内された通りに歩き、駅から15分ほどで辿り着きました。
北側にある正門から校内に入り、少し歩いたところにある受付で氏名等を記入した受付票を提出した後、パンフレット及び校内案内図を頂きました。
説明会が行われる多目的ホール(体育館とは別)への途中には大勢の生徒(自治会所属)がビブスを着用し、道案内や質問対応等を行っていました。
説明会は4回に分けて行われました。午前の部は相当に満員となり、午後の部は締切直前まで受付を行っていました。受付番号から推測すると、参加者は合計1000人弱でしょう。
制服を着用している生徒の割合は約8割でした。天王寺高校や茨木高校の説明会と比べ、ラフな格好をしている保護者がやや多く感じました。
多目的ホールには運動に用いる道具類は見当たらず、発表会や文化系部活の活動場所等として使われている様子でした。両サイドの壁面には歴代校長先生の顔写真が掲げらており、長年の伝統が伝わってきました。
一方で多目的ホールの壁面や外部の階段は痛みが酷かったです。ホール内の壁紙が剥がれていたり、階段は一部が劣化していました。十分な予算が配分されていないのかもしれません。
説明会
説明会は校長先生の話から始まりました。
・グローバルリーダーを3年間で養成する
・創立150年
・宝は生徒や教職員
2番目は首席の先生(保健体育科)。まずは体育関係について。
・創立150周年、現中学3年生が入学するのは139期生、いずれも素数
・来年から制服が変わる(場内どよめく)
・全人教育、六稜魂
・体育行事の充実(球技大会、水泳大会、体育大会、断郊)
・水泳大会は50m x 25m プールにてガチンコで行う。
・断郊は淀川河川敷を男子10km、女子7km走る。
・ラジオ体操第2を覚える。
・水泳は全員が80mを泳げるように練習する
・太さ1センチの木綿ロープを使い、全員が二重跳び(男子は前50回・後20回、女子は前20回・後10回)が出来るようにする
・学力と比べれば、体育は基本レベル
学業関係。
・プロジェクターにてGL10校の授業時間を写す。北野は65分授業x5限。
・夏休みの短縮や土曜授業の実施、11日間で55時間、35単位授業を確保している(説明がやや混乱?)
・各学年毎の配当科目や単位数を映写したが、字が細かすぎて読めない。
・文理は2年から分かれる。
・4月~11月は8時5分、12月~3月は8時25分始業、通勤ラッシュに巻き込まれないメリット
・15時以降は部活動
・56単位目の授業として、探求学習や講演会等を行う
・教職員が作成した校内模試を実施している
・1年は設定したテーマにて学問の深さを知り、2-3年はより具体的な探求を行う。
最後に部活動や行事関係を。
・部活動の加入率は100%
・学校生活は忙しくてしんどいので、心理師が週1回常駐しているカウンセリングルームを設置している
・文化芸術祭では書道や絵画展示、音楽選択クラスはレミゼラブル(ソリストあり)を上演する
・一部作品は地下ギャラリーにも
3番目は生徒自治会役員(1年男子)が学校生活や行事等を紹介しました。
・北野生の1日は朝が早い、朝礼や終礼がない。
・昼休みに部活動の練習や中庭発表の準備をする生徒も。
・2-3限の間に早弁を食べる生徒もいる。
・来年度から制服がリニューアルされる(最終決定はまだ、現在は仮決定段階)
・全ての生徒が着やすい制服がモットー
・スラックスやジャケットは2つの型から選べる
・スカートとスラックスを選択可、ネクタイやリボンも選べる
・制服案のサンプルを展示中(撮影不可)
・運動部20部、文化部21部がある(動画で紹介、総じて運動部が盛んだと感じた)
・校舎はOBが設計した。
・教室、ロッカー室、体育館、剣道場、柔道場、ハンドコート(バレーボールと併用)がある
・屋外に50m x 25m プールがある。ビシバシ鍛えられる。
・75000冊以上の蔵書がある図書館、セミナーハウス(演劇等を行う)、六稜会館(OB等も利用する)、六稜クラブ(部室?)、自治会室、中庭(ダンス部)もある
・食堂はカレー410円、定食は560円~660円、コロッケ110円
・トレーニング室、メモリアルウォール(機銃掃射跡)、展望台(地学研究部が利用)がある
・歓迎オリエンテーション、スタートアップ研修、六稜祭、修学旅行、水泳大会も実施
・運動会等の優秀者に木の葉バッジ、文化祭ではハナニラバッジが贈られる(制服に付けられる)
・遠足、体育大会、文芸祭、断郊(GHQによる中止命令、コロナ以外は毎年実施)も行われている
最後に首席の先生が締めの挨拶をし、約70分間の説明会は終わりました。半分強は自治会役員の生徒が話していました。
説明会では意外な事に学業関係の話は少なめでした。パンフレットを読めば分かるという判断か、学校として学業に力を入れているわけではない(生徒が勝手に勉強する)という考えなのかは分かりません。
特に最近の流行である異文化交流・留学・大学訪問といった話は皆無でした。「グローバルリーダーを養成する」のであれば、その具体的な内容をもう少し聞きたかったです。
首席の先生の話の半分以上は運動関係でした。北野高校は体育や運動行事に力を入れているという噂を聞いていましたが、実態は噂以上でした。文理学科ではなく「体育学科」の間違いかもしれません。
北野高校から分割する形で創立された天王寺高校も運動系の行事が非常に盛んな学校です。
ただ、細かく見ていくと、中身には大きな違いがあります。北野高校は体育授業を拡張しているのに対し、天王寺高校は登山・山荘生活・遠泳等の形で外部へ目が向いています。
体育の授業の延長線上にて運動を行う北野高校と、野外・自然活動の中で体を動かす天王寺高校という違いがあるのかもしれません。
こうした学校で十分な学生生活を過ごすには体力が必須です。ハードな授業・部活動・行事等に耐えうる体力が、最終的には受験勉強に役立つのでしょう。勉強にも体力が重要です。
校内
説明会後は校内を自由に探索できました。以下、特徴的な点を記します。
【校舎・設備】
・校舎はコンクリートの打ちっ放し、公立高校とは思えない
・教室は広く、整理整頓や清掃が行き届いていた
・廊下は天井が高く、開放感があった
・一部の廊下は屋外にあり、雨の日の通行に支障があるかもしれない
・全ての教室が南側に面しており、陽当たりは極めて良い。反対に夏場の暑さが不安になる。
・説明会当日は多くの教室で生徒が体育大会の「仮装」の準備を行っていた(土曜日も自主的な登校が多い?)。
・体育館(2-3階)の大きさは一般的。1階が柔道場、剣道場、食堂(定員100人程度?)になっている。
・1階にロッカー室があり、各自の荷物等を収納できる。
・図書室ではなく「図書館」という形で独立している(土足禁止)。
・図書館の蔵書は非常に多い。卒業生たる手塚治虫関係の蔵書も多い。司書も配属されている。
・図書館の地下階(半地下)は自習室、非常に静かな環境だった
・グラウンドも広く、遠くには梅田のビル街も見渡せる
・古い部室棟?はツタが這っているが、近日中に新しい部室棟(六稜倶楽部)が運用される
・六稜会館には学校の歴史と伝統に関する物品が数多く展示されており、普通の高校では考えられない程だった。
・手塚治虫直筆のコンテ絵等が数多くあった。
【生徒の様子】
・多くの生徒が仮装(体育大会)の準備の為に登校していた。
・生徒の多くは北摂地域や大阪市内に居住している。
・中庭等でダンス?の練習をしている生徒も。
・部活動も行われていて、校舎内では文化部の加入活動が盛んだった。
・見知らぬ親世代の人間ともしっかりと会話が出来ているのが印象的だった(普通の高校生ではなかなかできない)。
【新しい制服】
・まだ最終決定前の制服が体育館前(だったと思う)で展示されていた
・一般的なブレザー、色は青みがかった濃紺。
・スラックスやスカートにはシャドーチェック(影格子)が用いられている。
・来年度から着用する予定。
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(追記)
150周年記念式典にて新制服を着用した在校生が登壇した姿がありました。
10月28日 150周年記念式典
来年度から変わる制服も披露。
https://www.osaka-c.ed.jp/blog/kitano/pta/2023/11/02-245619.html
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進学実績等は天王寺高校や茨木高校と比べられる事が多いのですが、校舎や設備は全く水準が違います。公立高校とは考えられない程です。圧巻でした。遠方からでも入学希望者が集まるのも理解できました(但し実入学者は北摂や大阪市内が殆どという話も)。
至る所で感じられたのは「伝統」でした。六稜会館や六稜倶楽部、そして六稜ウェブに代表される様に、恐らくは卒業生の発言力が非常に強いのでしょう。
流行に流される事はない、古くからの伝統を墨守する姿勢が説明会でも垣間見えました。
様々な面で非常に特徴的な学校だと感じました。「大阪一の進学校だから」「有名大学に行きたいから」「塾(大半は馬○教室出身)や学校の先生に勧められたから」と言った理由のみで進学すると、痛い目に遭うと痛感しました。
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