数年後には我が家の子供が高校受験を迎えます。情報収集は早いほうが良いという考えから、大阪府立天王寺高校(天高)の学校説明会(オープンスクール)に参加しました。

正門から説明会が行われる体育館までは数多くの生徒が案内に立ち、参加者が迷わない様に誘導してくれました。殆どの生徒が私服を着用していました。

説明会に参加者は学校発表では900人以上との事でしたが、実人数を概算で数えたら700人強でした。マスク着用率は90%以上でした。参加者の殆どは親子連れでした。多くの保護者は授業参観よりキッチリした服装、子供は制服姿ばかりでした。

受付で配布された資料は下記の通りです。
(1)説明会次第(タイムスケジュール等)
(2)学校紹介パンフレット
(3)進路実績資料(過去3年分、進学実績と合格実績を分けて記載)
(4)天高通信165号(校長講話・遠足・運動会等)
(5)校内案内図・部活動一覧

体育館は広さに感激しました。本当に広い! 舞台と体育館の横幅を比較すると、その大きさが分かるでしょう。

小学校や中学校の体育館とは規模が全く違います。私が大昔に通っていた高校にあった体育館よりも遙かに広く、「流石は大阪府有数の府立高校だ」と感心してしまいました。椅子を900脚ならべても余裕がありました。

まずは校長先生の話。内容はあまり覚えていません。

次に学校紹介DVDが上映。音声が流れず、途中で2度も止まりました。教室内の風景がマスク姿だったので、ここ3年の間に作成された物です。天王寺高校への志望動機、朝7時から空いている自習室、授業、TeaTime(早弁時間?)、食堂、部活動、行事紹介等がありました。授業紹介よりも部活動紹介が長く、力を入れて編集されていました。

自習室が早朝から空いているのは羨ましいです。ただ、私が通っていた高校は普通教室が早朝から空いていて、朝7時過ぎに登校して自習した時期もありました。食堂は広く、綺麗なのは好印象です。弁当を作って持たせるだけの時間的余裕がないので、我が家としては食堂は最重要ポイントです。

登山・遠泳行事は旧制中学校時代の名残なのでしょう。ワンゲル部もその一つです。

続いて高校2年生女子生徒の話。朝は早くて8時10分からショートホームルームが始まる、授業進度は速い(予復習は必須)、部活や行事も多い、3日間の台湾研修等。ハキハキしたしゃべりが印象的でした。

今度は卒業生の話。在学中は男子運動部のキャプテン、現在は阪大理系1回生。野人、行事、部活、部活、部活。勉強よりも部活や行事に青春を捧げた高校生活だったと感じました。それでも阪大へ進学するのは流石です。

ここで教務主任の先生にバトンタッチ。
・自分で考えて行動する
・周囲に到底適わない子がいる
・一生懸命がかっこいい
・勉強以外もとても大事
・SSHやGLHSに指定されており、多くの予算を基にいろいろできる
・2年から文理選択
・45分授業が7時間目まで
・恐らく大阪府内の公立高校で授業時間数は最も多い
・夏休みは8月21日まで、土曜授業が年11回、2学期制、テストは年4回
・基本的に私服で登校し、式典等は標準服を着用する
・授業第一主義、国数英は毎日ある
・勉強は学校で、授業で勝負
・課題研究、論文、大阪サイエンスデイもある
・アメリカ(校内掲示によると参加費約60万円、後日補助25万円が出る)、オーストラリア、台湾研修もある
・入試はC問題、当日検査重視、がんばって

最後は進路指導主事の先生。最初に「秀才を誇らず野人を誇る。名門を言わず実力を問う。明朗にして適度に楽しむことを忘れない。」という心構えを強調し、卒業生アンケートを紹介しました。
・全力でやらせてくれる環境
・全力でしかやらせてくれない環境
・行事には必ず参加すべし
・部活動は最後までやりきる
・悔いが残る引退は切り替えが上手くいかない
・ハードな学校

最後に進路関係の話を少し。
・受験は団体戦、環境が違う
・国公立大学医学部医学科の合格者は31人(府内トップ、北野に勝ったと強調)
・模試は1年3回、2年4回、3年10回
・進路講話、面談、卒業生が寄贈した進路図書2000冊がある
・通塾率は1-2年が3~4割、3年生はもう少し高い(自習室目当ても)

非常に充実した学校生活を送れそうな反面、忙しい学校生活を強いられるとも感じました。朝は8時前後には登校、7時間授業、放課後は部活動、予復習は必須、土曜授業は月1回、更に研修や探求活動等がカットインします。

満足した学校生活を送るには相応の体力が必要です。高校時代の私だったら無理でした。野人とまでは言わなくとも、平均以上の体力は求められます。

反対に進路指導に力を入れている雰囲気はやや薄いです。中学校からハードな勉強を続けてきた生徒が多く、早い段階からそれぞれの進路を思い描き、学校が手取り足取り指導や情報提供を行わなう必要性が乏しいのでしょう。

反対に進路情報を調べられる資料や、分からない問題を訊ねやすい雰囲気は重要です。天王寺高校にはそうした環境が揃っているのでしょう。

説明会後は部活動や校内見学がありました。当日は午前に土曜授業(3-4限を中学生が見学)、午後から部活動というスケジュールでした。

多くの部活動が所狭しと活動していました。運動場やコート等は各部毎に時間を割り当て、限られた時間内で利用していました。校内には人工芝や短距離走のスタートダッシュを練習できるコート(正式な名前が分からない)もあり、限られたスペースを利用して練習していました。

運動場の一角からはあべのハルカスが見えました。不思議な光景です。

校舎内の様子もうかがいました。活動している文化部もあれば、教室に残って雑談や自習をしている生徒もいました。高校生活ってこういう物ですね。

食堂も観に行きました。丼物は450円、麺類は350円が主流です。高校生の胃袋を満たすだけの分量もあるのでしょう。座席数は約140席でした。ピーク時は座れないかも?

図書室はやや狭く、蔵書も少なめでした(他に書庫があるかも?)。授業や部活動は充実している反面、図書館には力を入れていないと感じました。

それ以上に不満があるのはトイレです。昭和から平成初期を感じさせる古さと狭さです。背景に大阪府の予算不足があるとしたら残念です。

注目したのは廊下の片隅に置かれていた課題です。漢文の現代語訳、数学の漸化式、化学式等、数十年前に見た様な記憶があります。当時の記憶を思い出して解いてみようとしましたが、全く太刀打ちできませんでした。これを涼しい顔をして解く天王寺高校の学生は末恐ろしいです。

非常に充実した学校生活を送れそうですが、それ相応に体力も必要です。授業以上に部活動や行事に力を入れているぐらいです。合う合わないがハッキリしています。

その為か、他の文理学科設置校と比べて天王寺高校の入試倍率はやや低くなっています。2023年度入試の最終倍率は文理学科10校で最も低い1.17倍に留まりました。過去5年間で最も高いのは2021年度の1.23倍です。希望者が殺到する文理学科の中では異彩を放っています。

大阪府外出身者としては、府内の公立高校は知らない場所だらけです。親世代の頃とは時代も違います。あくまで主目的は子供の為の情報収集ですが、同時に親の頭の中も時代に合わせてアップデートする必要があります。

収穫が多い説明会でした。

なお、下の子が高校を卒業するにはまだまだ時間が掛かります。子育ては長期戦です。児童手当云々の議論が小さく見えます。