保育料の多子軽減措置は非常に難解です。第1子や対象となる施設の定義が細かく定められており、住民自身が正しく判断するのは困難です。私自身も多子加算における第1子の定義が「未就学児」(様々な例外パターンもある)と知ったのは、保育所へ入所してから数年後の事でした。

時に大阪市自身が誤って保育料を算出し、後に気づいて追加請求を行う事態が発生しています。

複雑すぎる「多子世帯の子育て支援制度」に憤り 第2子扱いで保育料『半額』のはずが…第1子扱いで『全額負担』と判明 行政側のミスで“約60万円の追加支払い”求められる悲劇も

https://news.yahoo.co.jp/articles/52048997f35016dd81bc8714977c76a0ca6a1245

本来はインターナショナルスクールに通っている4歳児は「第1子扱い」されないところ、誤って「第1子扱い」されていました。それに伴って、別の保育所等へ登園している0歳児が「第2子」扱いされていました。4歳児は「対象外」、0歳児は「第1子」とするのが正しい取扱いでした。

また、現在は小学校へ通っているきょうだいが同じインターナショナルスクールに在籍していた当時、現在の4歳児は別の保育所等へ登園して(推測)「第2子扱い」とされていました。ここでも「第1子」が正しい扱いでした。

文章だと非常に分かりにくいので、図表に表します。まずは数年前の状況です。

数年前の状況登園・登校先当初の誤った多子軽減措置正しい多子軽減措置
長女小学生
次女インターナショナルスクール(未就学児)第1子→認可外保育施設の保育料第0子(認可外保育施設在籍だから)
長男保育所等?第2子→保育料は半額第1子→保育料は全額
末っ子未出生

次は2023年の状況です。

2023年登園・登校先当初の誤った多子軽減措置正しい多子軽減措置
長女小学生第0子(小学生だから)第0子(小学生だから)
次女小学生第0子(小学生だから)第0子(小学生だから)
長男インターナショナルスクール(未就学児)第1子→認可外保育施設の保育料第0子(認可外保育施設在籍だから)
末っ子保育所等第2子→保育料は半額第1子→保育料は全額

これと類似した事案が大阪市阿倍野区役所の報道発表に掲載されています。

1 概要と事実経過
令和5年2月17日(金曜日)、阿倍野区役所保健福祉課(子育て支援担当)に、ある保育施設から児童の施設利用に関する問合せがありました。

令和5年2月20日(月曜日)、当該児童の世帯状況の確認を行ったところ、きょうだい児2名(以下、「児童A」「児童B」という。)の保育料の算定にあたり、多子軽減措置の対象児童数から除外すべき認可外保育施設を利用しているきょうだい児2名(以下、「児童C」「児童D」という。)を除外していなかったため、保育料について、本来、児童Aは全額、児童Bは半額にすべきところ、2人とも無料として誤って決定し、保育料を徴収していないことが判明しました。

また、阿倍野区に転入前の西区においても同様の事象が発生しており、保育料を徴収していないことが判明しました。

2 影響額
阿倍野区役所:519,610円(令和4年9月分~令和5年2月分)
西区役所:1,248,610円(令和3年4月分~令和4年9月分)
合計:1,768,220円

3 判明後の対応
令和5年2月21日(火曜日)に、当該児童の保護者に電話し、謝罪のうえ経過を説明しました。引き続き丁寧に説明を行うとともに、具体的な納付方法等について調整を進めてまいります。
なお、他に同様の事案がないかを現在確認中です。

https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/abeno/0000593274.html

実は大阪市における多子軽減措置での「第1子」「第2子」とは、「小学校就学前で保育施設等を利用している子ども」が対象となります。ここで言う「保育施設等」は「保育所、認定こども園、地域型保育事業、幼稚園、特別支援学校幼稚部、児童心理治療施設通所部、児童発達支援・医療型児童発達支援、企業主導型保育事業」となります。

令和5年度 保育施設等の保育料のお知らせ
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000501253.html

つまり、たとえ未就学児がいたとしても、自動的に「第1子」となるわけではありません。例えば第1子の4歳児を自宅保育していたら、第2子の0歳児が保育所等へ通っても保育料は全額が掛かってきます。

非常に複雑です。だからか、これに伴うミスが頻発しています。インターナショナルスクールを利用している世帯が多いと思われる西区では、今年3月に5件の計算ミスを公表しました。

1 概要と事実経過
令和5年2月22日(水曜日)報道発表の西区役所保健福祉課(子育て支援担当)における保育料の決定誤りの事案を受け、担当課が当該決定を行った令和3年4月入所に係る保育施設等の申込以降分について、他に同様の事案がないかを調査したところ、5件の保育料の決定を誤っていることが、令和5年3月10日(金曜日)に判明しました。

いずれも、保育料の算定にあたり、多子軽減措置の対象児童数から除外すべき認可外保育施設を利用しているきょうだい児について除外しておらず、4件は全額負担とすべきところ半額負担とし、1件は全額負担とすべきところ無料としていました。

2 影響額
合計5件 1,290,120円

内訳
A世帯 317,530円(令和3年4月分~令和5年1月分)
B世帯 340,290円(令和3年4月分~令和4年3月分)
C世帯 225,500円(令和4年4月分~令和4年8月分)
D世帯 308,300円(令和4年5月分~令和5年1月分)
E世帯  98,500円(令和4年11月分~令和5年3月分)

https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/nishi/0000595663.html

酷いですね。後になって「正しい金額は○○円なので、速やかに支払って下さい。」と言われても、素直に納得できません。MBSニュースの記事に記されている通り、「第3子の時にわかっていたら違う選択肢が」という言葉はその通りです。

大阪市は来年秋から第1子の年齢を問わない第2子保育料無償化を実施する予定です。

【重要】第1子の年齢を問わない第2子保育料無償化を2024/9より実施(確定) 大阪市

小学生以上も「第1子」とカウントするので、認可外保育施設等に在籍している未就学児も「第1子」とカウントされる筈です。ただ、未だ明文では発表されておらず、市長会見でも触れられていません。