大きなニュースです。
一部自治体での導入で話題となっていましたが、大阪市でも未婚のひとり親家庭であっても結婚歴のあるひとり親家庭と同様に保育料を減免する制度を検討するそうです。
ひとり親家庭、未婚も保育料減免へ 大阪市長答弁
2013年11月26日03時00分【左古将規】橋下徹大阪市長は25日、未婚のひとり親家庭に対し、結婚歴のあるひとり親家庭と同様に、保育料を減免する考えを明らかにした。市議会教育こども委員会で答弁した。
橋下市長は「僕は法律婚を重視しているが、税投入で差別して社会を誘導するのは違う。新しい制度を考えるよう局に指示する」と述べた。具体的な仕組みは今後検討する。
国の税制では、離別や死別でひとり親になった家庭には「寡婦(夫)控除」が適用され、保育料にも反映されるが、未婚家庭には適用されない。朝日新聞の調査では9月現在で、全国で少なくとも1県11市がこの制度を未婚家庭に「みなし適用」している。
大阪市によると、未婚のひとり親家庭は市内に約4900世帯と推計され、年収300万円で1歳の子を保育所に預ける場合、結婚歴のある家庭に比べ年9万円の負担増となっている。保育料の減免には年間計約6千万~7千万円が必要という。
(答弁の前後関係がはっきりしないので、上記報道内容のみから推測します。)
保育料は原則として世帯(父母)の前年分の所得税額を基準に計算されます。
寡婦(夫)控除の適用を受けると、27万円が所得から控除されます(特定の寡婦は35万円、くわしくは国税庁HP)
「配偶者と死別・離婚、または生死が明らかでない一定の人」が適用要件とされており、未婚のひとり親は要件を満たしていませんでした。
市長の答弁からは具体的な制度設計はまだ明らかになっていません。
寡婦(夫)控除を受けているひとり親家庭との整合性を重視するのであれば、他自治体と同様に寡婦(夫)控除をみなし適用して所得税額を減算した上で保育料を計算する(扶養控除のみなし適用と同じ計算方法でしょう)と考えられますが、他の計算方法(たとえば保育料を直接減額する)も考えられるでしょう。
また、「保育料」とは一般的に保育所と幼稚園の保育料を指しますが、それ以外の子育て世帯に対する他の様々な施策にもみなし適用している自治体もあります。
下記は新潟市の例です。
「みなし寡婦(夫)控除」適用対象制度一覧表
保育園保育料
こどもショートステイ利用料
日常生活支援事業利用料
高等技能訓練促進費等給付
母子生活支援施設負担金
助産施設負担金
ひまわりクラブ一時利用料
ひまわりクラブ利用料
その他放課後児童クラブ利用料
私立高等学校学費助成金
私立幼稚園保育料減免
児童入所施設負担金
障がい児入所施設負担金
http://www.city.niigata.lg.jp/kosodate/ninshin/info/minashikahukoujyo.html
恐らくは事務方では早い段階から制度案の検討が進められているかと考えられます。
ただ、条例の改正やシステムの改修等が必要になる場合も考えられるので、平成26年度からスタートするのは厳しいと思われます。
(11/30追記)
平成25年11月25日教育こども委員会にて丹野壮治委員(維新)から、婚姻・離婚歴の有無による税・社会保険・保育料の負担の違いを表したレジメが配布されています。
http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu260/live/pdf/20131125tannno.pdf
これによると、年収180万円だと257,100円、年収240万円では119,600円もの負担額の違いがあるそうです。
(12/4追記)
平成25年11月25日教育こども委員会での市長の答弁はこの様な内容でした。
(質問内容や正確な答弁を聞きたい方は、平成25年11月25日教育こども委員会のインターネット録画放映をご覧下さい。
・法律婚を重視する
・(嫡出子と非嫡出子の相続分が異なる民法規定に対する)最高裁違憲決定は支持
・寡婦控除は戦争未亡人を対象に始まったが、今は趣旨が変わってきている
・基本的になくしていかなきゃいけない、実態に合っていない、収入で見るべき
・制度変更には相当時間が掛かる
・税の投入の仕方として不公平が生じている部分は公平さを保つ為に何らかの手当をもうける
・府営住宅の減免制度は法律婚の有無に関わらず適用されている
・保育園保育料と幼稚園の就園奨励費
・減免制度かどうか分からないけど、制度設計はこれから考える、局に指示を出す