ここ数年、教員の多忙さが何度も指摘されています。実際に働き方はどうなのか、関テレが大阪市立豊仁小学校を取材しました。

学校の先生は「定額働かせ放題」と言われているのをご存じでしょうか。長時間労働や人手不足が深刻な問題となっています。5月、自民党は働き方や待遇を改善する案を提言し、政府は、近く対策の方向性を示すことにしています。何をどこから変えていくべきなのでしょうか。“息つく暇もない”先生の一日を密着取材しました。(以下省略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/2716affcdd59087e5c0d8b285e17b9615e41bc79

先生は本当に多忙です。上記記事からとある先生(45歳、2児の父親)1日の流れを抽出しました。

時間出来事
1時半起床、授業準備
7時過ぎ自宅を出発し、自転車で保育所へ向かう
8時小学校に出勤、PCで欠席確認等を行う
1時間目総合の授業、パソコンを利用して修学旅行関係の調べ物学習を行う
休み時間登校していない家庭に連絡し、欠席事由を確認した
2時間目算数の授業、授業中にテスト採点を行う
給食欠席児童向けの手紙を書く、食事時間は64秒だった
昼休み運動場で子供と遊ぶ
15時半6時間目の授業が終わり、子供が下校した
16時~17時過ぎ学年主任会議
17時過ぎ退勤し、保育所に子供を迎えに行く

教員の勤務時間の特徴の一つは「朝が早い」ことです。子供は8時過ぎには登校するので、それまでに登校する必要があります。それに合わせ、教員の子供が保育所へ登園する時間も前倒しされます。小学生がいたら、学校が開くまでは1人で過ごす家庭もあります。

勤務中は休み時間が殆どありません。授業の合間・給食・昼休みも常に業務に追われています。これも特徴的です。

子供を保育所へ迎えに行く必要があるので、退勤時間は早めです。教員は配偶者も教員というケースも多く、日替わりでどちらかが早上がり(もう1人は遅くまで残業)をする家庭もあるそうです。

帰宅してからも仕事は終わりません。働き方改革の一環で退勤時間を早める動きが強まりましたが、業務量はなかなか減りません。結果として自宅に持ち帰る仕事が増えました。当然ながら残業代は付きません。

ここ数年、教員の仕事は増える一方です。子供が小学校へ通い始めた以降に限っても、道徳・英語・プログラミング・コロナ対策・GIGAスクール・オンライン授業が上積みされています。

反対に仕事を減らそうとする動きは弱いです。定時退勤日を設定する、18時以降の電話応対を自動音声に切り替える、欠席連絡をICT化(ミマモルメ)する等は行われていますが、今まで行われていなかったのが不思議なぐらいです。

実は教員には残業代が支給されません。代わりに月給の4%が上積みして支給されています。これによって学校には残業時間を減らそうとするインセンティブが働きません。いわゆる「定額働かせ放題」という状態になっています。

以前に個人懇談会で担任の先生に「何が忙しいですか?何が負担ですか?」と訊ねました。真っ先に返ってきたのは「学校外との案件」でした。具体的には教育委員会・区役所・地域団体・警察・児童相談所です。様々なアンケートや依頼が届いているらしく、回答・調整・手伝い等が重い負担になっているそうです。

特に子供が学校外で問題行動を起こすと、全てのスケジューリングが崩壊する程の影響を受けるそうです。また、「働き方改革を推進するなら、真っ先に市教委から学校への連絡やアンケート依頼等を減らして欲しい」と愚痴を零していました。

人手不足も深刻です。正規採用の倍率低下による質の低下(私も実感しています)、講師不足、育休・産休取得者の増加等、学校が抱える業務量に対するマンパワーが明らかに足りていません。

先の関テレの記事にある通り、多くの教員は授業や子供とのふれあいが好きです。だからこそ学校で働いているのでしょう。でも、十分な時間を捻出するのが難しいのが実情です。保護者としても教員が授業や授業準備に専念できる環境を望んでいます。

このままでは教員も児童生徒も保護者も不幸になります。業務量に見合った人員や待遇を手当し、入念に準備された授業等を行って欲しいです。