(8/2追記)
2023年(令和5年度)の結果はこちらです。
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2022年5月に行われた全国学力テスト(全国学力・学習状況調査等)の結果が公表されました。
大まかな傾向は昨年と変わりません。都道府県別では北陸3県・秋田・東京が上位、最下位は沖縄です。詳しい結果は、令和4年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料に掲載されています。
大阪府の小中学校は下位に低迷、大阪市は最低水準
では、大阪市・大阪府の結果はどうだったのでしょうか。
国語・算数・理科の点数を合算し、都道府県・政令市毎に順位を付けました。まずは都道府県です。
大阪府の小学校の順位は40位、中学校は39位でした。昨年と比べて小学校は大幅に下落、中学校はほぼ同順位でした。
次は政令市です。
大阪市の小学校は全国最低の19位(北九州市が同点)、そして中学校は19位(最下位は北九州市)でした。全国最低水準なのは相変わらずです。
ここ数年、大阪市や大阪市教委は「学力向上」を至上命題として取り組んできました。しかし、その成果は全く出ていません。学力向上へ向けた様々な対策は失敗したと言わざるを得ません。
「教育の効果が出るには年月が掛かる」のはその通りです。しかし、大阪市は10年以上も対策を行っています。
大阪市教育委員会 調査結果を活かした学校改善をめざして
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/detail/1290834.htm
抜本的な何かが間違っているのかもしれません。
昨年(2021年度)の学校毎の点数を見ていると、点数が飛躍的に上昇した学校がある一方、大幅に低下した学校も少なくありませんでした。学校毎の順位に大きな変動がありました。
ただ、以前から点数がよく無かった学校が、更に点数が下がってしまったケースが目に付きました。児童生徒も学校も学力向上を諦めてしまったかの様に見えました。
ここ1-2年ほど、先生方からは「時間が無い」「人が足りない」という話を頻繁に聞きます。コロナ禍による臨時休業等によって授業時間が削られているのに加え、授業時間外の雑務が多いそうです。
保護者目線でも負担になっていると感じる雑務があります。「配布プリントの多さ」です。学校・学年・学級便りはまだしも、外部から持ち込まれるチラシ類が余りに多いのです。
○○こども新聞、○○クラブの勧誘、○○アクティビティのお知らせなど、あたかも学校を勧誘の場としているチラシが多すぎます。学校は営業活動の場ではありません。私は表題だけ見て廃品回収箱に投げ入れています。
お世話になっている学校の先生方は細かく親切に指導して下さっています。毎日の様に宿題も出されています。指導等に不満はありません。
一方、先生からは毎年の様に「二極化が酷い」という話を聞きます。学力分布が正規分布でなく、台形型やラクダ型(ピークが2カ所ある)になってしまっているそうです。
算数は習熟度別クラスで授業を行っていますが、それ以外の授業で行うには教員が足りないと聞きます。
二極化の大きな要因は、恐らくは家庭に問題があるのでしょう。当サイトで毎年の様に指摘していますが、学力に世帯所得や両親の学歴が密接に関係しているのは周知の事実です。
児童生徒本人の資質に加え、教育に対する家庭毎の熱意に大きな差があります。両親共に高等教育を受け、生活が安定し、子供を塾に通わせていたら、学力が伸びやすい環境にあります。
反対に両親が高等教育を受けておらず、生活が安定せず、塾に通わせるだけの経済的余裕が無ければ、学力が伸びやすい環境とは言い難いです。
これ以上の対策を学校で行うのが難しいです。家庭における学習習慣の確立やスマホやゲーム時間の削減等、「家庭内の対策」に切り込まざるを得ないと感じています。
正直に申し上げて、家庭の問題にするのは酷です。
「テストを増やせば学力が上がる」という考え自体が誤りであり、ふたこぶ状態を解消するためには「普段の丁寧な授業とフォロー」により、学力のしんどい子どもたちを支えることが必要なのですが、おっしゃる通り大阪府は見当違いの行政を繰り返しています。(Sケイリビングなんて、全面で個別指導●の広告入りです。)
多忙化だけではありません。大阪府では、「本来配置されていなければいけない教職員がいない」いわゆる「教育の穴あき」が常態化しています。
これは、教員採用試験の「倍率」にこだわるあまり、志願者数が少ないことをごまかすために採用予定人数(本来必要な数)よりもはるかに少ない人数しか合格させていないこと、それをごまかすために「定数内講師」を増やした結果、いざという時の代替講師登録者を使い切ってしまい、人がいないことも要因です。
本来必要な人数がいない中で業務は本来通り…どうなるでしょうか?
まともに授業できる状況ではありません。
また、子どもたちもつめこみです。全国では「1学級あたりの子どもの数」を、法律よりも少なくして丁寧に授業をできるようにしている都道府県は大阪含む4府県以外すべてで実施されています。
大阪は府として独自にそうした措置は行っていません。普段の学校での学習を行政が軽視し、「テストで追い立てりゃ学力が上がるだろう」というスタンスです。
なお、大阪府の独自テストは常に株式会社内田洋行です。
毎年施策の検証もろくにされないまま、特定の業者にお金を流し続けるために「チャレンジテスト」「すくすくウォッチ」がなされていると言っても良いと思います。
かれらの目的は「子どもたちの成長」ではありません。「教育を利用して以下に維新の会を支援する業者にお金を流すか」です。