(衆院予算委員会にて質疑した柚木道義議員(立憲民主党)、衆院予算委youtubeより切り取り)
衆院予算委員会にて卒業式におけるマスクの取扱いが議論されました。
永岡文科相は2日、今春の卒業式でのマスク着用について、それぞれの家庭での判断となるとの考えを示した。
2日の衆院予算委員会で、学校現場のマスク着用について議論が交わされ、永岡文科相は今春の卒業式でのマスク着用について「対応を速やかに検討したい」と述べた上で、「『マスクをしなければ嫌だ』という子どもはマスクをして出席し、『マスクを外して行く』と家庭で決めた子どもはマスクを外しての参加となると思う」と述べた。
さらに「個人というよりも家庭での議論が大きな要素を占めると思う」と指摘し、卒業式でのマスク着用はそれぞれの家庭での判断となるとの考えを示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/81f1893ec994c15036636cb5f428969555fc0bec
立憲民主党の柚木道義議員からの質問に対し、永岡文部科学大臣が答弁しました。
衆院予算委員会(2023年2月2日開催)
https://www.youtube.com/live/QxI5QMrwlhA
(開始から約2時間後にやりとりされています)
正確を期する為に、関連する質疑や答弁(趣旨)を文字起こししました。
【柚木議員】
・娘が3月に小学校を卒業する
・現場は早く方針を出して欲しい
・マスク無しで卒業式を迎えられるのか、一定の方向性を出して欲しい【加藤厚労相】
・個人の主体的な選択を尊重する、個人が判断する、効果的な場面を政府が周知する方針
・具体的な時期は足元の感染状況を見ていく
・出来るだけ早期に
・一定の準備期間が必要なのは理解している【柚木議員】
・学校現場から様々な意見を聞いている
・少なくとも来週中には厚労省部会はアドバイザリーボード等で決定する必要がある
・現場のせいにならない様に、個人の判断を尊重される様に
・教委から文書等を配布すべき、2月中に行われないと大混乱する【永岡文科相】
・卒業式のマスク着用を現場責任とすべきではない
・着用は個人で考える
・個人では無く、家庭での議論が大きい
・速やかに検討する【柚木議員】
・卒業式に子供達や学生達はマスクを外して参加出席できる可能性がある、保護者も含めて、でよいか?【永岡文科相】
・家庭の議論を含め、マスク着用を個人で判断する【柚木議員】
・現状での私の理解は、保護者も生徒も職員も個人の判断
・現場でトラブルが起きないのを祈る
・個人の判断が尊重されるガイドラインや通知を行うべき【加藤厚労相】
・マスク着用に関するチラシは変更する
マスク着用を嫌う自民党議員が質疑を行ったとおもいきや、立憲民主党の柚木議員が脱マスクを促す質疑を行っていました。
この質疑や答弁で残念に感じたのは、科学的な観点が一切無視されている点です。マスク着用によって、感染予防が図られていたのは間違いない事実です。これを一切無視し、「せっかくの卒業式だから・・・・」という「お気持ち」でマスクを外す様に促す議論には賛成できません。
柚木議員は「個人の判断を尊重すべき」という旨を主張しています。が、その本質は「娘も議員本人もノーマスクで卒業式に出席したい」という考えです。
これに対し、永岡文科相の答弁も不可解です。学校や教委が判断するのではなく、「家庭の議論」を強調しています。マスク着用の有無を家庭で判断し、卒業式に参加して欲しいとの趣旨です。あたかも「学校や教委は口出ししない」と言わんばかりです。
更に柚木議員は脱マスクを拡大させようと質疑しました。「保護者も生徒も職員も個人の判断」と述べました(これに対する永岡文科相の答弁は無い)。
卒業式においてノーマスクを可とする範囲や程度を定めるのは難しい問題でしょう。参加者は子供本人・教職員・保護者・兄弟姉妹・祖父母・近隣住民等の多岐にわたります。当日は講堂等で行われる式のみならず、各教室で最後の授業やお別れ会等が行われます。
コロナ禍以降、卒業式に関しては多くの相談や愚痴を聞かされていました。「孫の学校行事に祖父母が出席できない」という問題です。
感染対策や時間短縮の為、コロナ禍における多くの卒業式では参加する人数に制限を設けています。お世話になっている学校では「同居家族2名のみ」という制限でした。両親が出席する場合、祖父母や兄弟姉妹は出席不可でした。未就学児も極力保育所等に登園し、やむを得ない場合に限って出席を可とする方針でした。
果たして今年はどうなるのでしょうか。多くの祖父母や近隣住民(来賓)は何らかの基礎疾患等を有しています。万全の感染対策が求められます。しかし、ここでノーマスクの子供・保護者・教職員が同じ時間を過ごしたら、高齢者に感染を広げてしまう恐れは否定できません。
すなわち卒業式における子供等の脱マスクは、祖父母や基礎疾患を有する方の参加を事実上困難なものとします。
感染対策に留意しながら孫の晴れ姿を見たい祖父母の気持ちよりもマスクを外したい子供や保護者の気持ちを優先するのであれば、その旨を公の場で説明して欲しいです。
どんな方針等を打ち出したとしても、様々な意見や問い合わせが学校に集中するのは避けがたいです。窓口となる先生(多くは教頭先生)の過労が心配です。