コロナ禍で休業を余儀なくされた子育て世帯に朗報です。

臨時休校・休園等によって仕事を休んだ保護者への助成制度につき、保護者本人が申請しても受給できる様に改められます。

去年、全国一斉で行われた臨時休校で仕事を休まざるを得なくなった保護者への助成制度について、政府は、企業が申請しないことが原因で、助成が受けられないケースが相次いでいることから、本人による申請で受給できるよう改める方針を固めました。

新型コロナウイルスの臨時休校で仕事を休まざるを得なくなった保護者を支援するため、厚生労働省は、去年3月、助成制度を設け、1日あたり1万5000円を上限に助成金を支給しています。

しかし、企業が申請しないことが原因で、助成金を受けられないケースが相次いでいて、これまでの支給は予算額の3割程度にとどまっています。

このため政府は、企業の申請がなくても、保護者本人が申請すれば受給できるよう、制度を改める方針を固めました。

具体的には、企業の指示で休んだにもかかわらず、休業手当が支払われない人を支援する「休業支援金」の制度などを活用し、本人の申請を受けて、実際に仕事を休んだことを企業に確認することで、助成金などを支給できるようにするとしています。

政府は、詳しい制度設計を進め、近く発表することにしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210304/k10012896221000.html

対象となるのは、新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金でしょう。

小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金をご活用ください

令和2年10月1日から令和3年3月31日までの間に、以下の子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く)を取得させた事業主は助成金の対象となります!

事業主の皆さまには、この助成金を活用して有給の休暇制度を設けていただき、年休の有無にかかわらず利用できるようにすることで、保護者が希望に応じて休暇を取得できる環境を整えていただけるようお願いします。

①新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等をした小学校等に通う子ども

「臨時休業等」とは

新型コロナウイルス感染症に関する対応として、小学校などが臨時休業した場合、自治体や放課後児童クラブ、保育所などから利用を控えるよう依頼があった場合が対象となります。なお、保護者の自主的な判断で休ませた場合は対象外です

「小学校等」とは

・小学校、義務教育学校の前期課程、各種学校(幼稚園または小学校の課程に類する課程を置くものに限る)、特別支援学校(全ての部)★障害のある子どもについては、中学校、義務教育学校の後期課程、高等学校、各種学校(高等学校までの課程に類する課程)なども含む。・放課後児童クラブ、放課後等デイサービス・幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業等、子どもの一時的な預かりなどを行う事業、障害児の通所支援を行う施設など

②新型コロナウイルスに感染した子どもなど、小学校等を休む必要がある(※)子ども

(ア)新型コロナウイルスに感染した子ども(イ)新型コロナウィルスに感染したおそれのある子ども(発熱などの風邪症状、濃厚接触者)(ウ)医療的ケアが日常的に必要な子ども、または新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患などを有する子ども※学校の場合は、学校長が出席を停止し、または出席しなくてもよいと認めた場合をいいます。

③対象となる保護者

・親権者、未成年後見人、その他の者(里親、祖父母など)であって、子どもを現に監護する者が対象となります。・各事業主が有給休暇の対象とする場合は、子どもの世話を一時的に補助する親族も含みます。

④対象となる有給の休暇の範囲

日曜日、夏休みなどに取得した休暇の扱い

「①に該当する子ども」に関する休暇の対象は以下のとおりです。・学校:授業日※日曜日や夏休み(夏休み期間が再設定された場合は、再設定後のもの)などは対象外・その他の施設(放課後児童クラブなど):本来施設が利用可能な日

「②に該当する子ども」に関する休暇の対象は以下のとおりです。・授業日であるかにかかわらず、その子どもの世話をするために休暇を取得した日

半日単位の休暇、時間単位の休暇の扱い
・対象となります。なお、勤務時間短縮は所定労働時間自体の短縮措置であり、休暇とは異なるため対象外となります。

就業規則などにおける規定の有無・休暇制度について
就業規則や社内規定の整備を行うことが望ましいですが、就業規則などが整備されていない場合でも、要件に該当する休暇を付与した場合は対象となります。

年次有給休暇や欠勤、勤務時間短縮を、事後的に特別休暇に振り替えた場合の扱い
・対象になります。ただし、事後的に特別休暇に振り替えることについて労働者本人に説明し、同意を得ていただくことが必要です。

労働者に対して支払う賃金の額
・年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金の額を支払うことが必要です。助成金の支給上限である15,000円を超える場合であっても、全額を支払う必要があります。

https://www.mhlw.go.jp/content/000706911.pdf

このリーフレットには「保育所などから利用を控えるよう依頼があった場合が対象となります」と書かれています。保育所等の登園自粛依頼も対象になりそうですね。

当初は事業主からの申請が必要とされていました。しかし、「事業主が申請してくれない」という事例が非常に多く、国会等でも問題視されていました。

昨年末時点での執行率は僅か24%でした。

休校助成金の予算執行24% 企業が申請消極的

新型コロナウイルスの感染拡大で子どもが学校を休む際に働く親も休みを取りやすくする政府の助成金制度が十分に活用されない状況にある。三月の制度創設以降、予算執行率は四分の一に満たない。助成を申請する勤務先の企業などが業務の停滞などを嫌って利用をためらう例が相次いでいるからだ。

政府の「小学校休業等対応助成金」は、二月末に当時の安倍晋三首相が一斉休校を要請した際、収入が減る保護者に「しっかりと手当てする」と表明し、政府が設けた。企業などが従業員に通常の年次有給休暇とは別に、特別の有給休暇を取得させた場合、賃金の全額(現行で日額上限一万五千円)を助成する。

小学校の一斉休校時だけでなく、幼稚園・保育園の登園自粛要請に応じたり、疑いを含め子どもが新型コロナに感染して休んだりした時も利用は可能。通常の欠勤や有給休暇として処理した休みにも、さかのぼって適用できる。

厚生労働省は二〇二〇年度補正予算(一次、二次)でフリーランスら個人事業主向けの支援金と合わせ、計千七百十九億円を確保した。だが給付は今月十八日時点で四百七億円。執行率は24%にとどまる。

経営者の中には「出勤している人と不公平になる」「休まれると業務が回らない」と、申請に二の足を踏むケースが多いという。全国の労働局には「制度を利用できない」との相談が約千五百件寄せられている。

支援を受けられなかった親たちは、個人でも申請できる制度に変えるよう求める署名をインターネット上などで千五百筆分集め、今月十七日に厚労省に提出した。だが、厚労省側は個人申請について「仕事を勝手に休んで助成を受けることも可能になる。あくまで事業者に納得して利用してもらうことが必要」と、制度変更には消極的だ。 (以下省略)

https://www.chunichi.co.jp/article/177632

全国一律に一斉休校は行われていませんが、今も感染者が発生した学校や保育所等での休校・休園が続いています。

上限日数まで付与された有給休暇を快く利用出来る企業もある反面、少ない有給休暇を取得するのすら四苦八苦する企業も少なくありません。

アルバイト等でも有給休暇の取得が法的に可能にも関わらず、取得させない話は頻繁に聞きます。残念ながら労働者の権利を消極的に解する経営者もいます。

今回の制度改正により、企業に代わって本人が申請し、担当官庁が企業に休業の事実等を確認した上で助成金が支給されます。

不透明なのは助成金の支給先ですね。適正な金額が本人へ直接支給されれば不安はないのですが、企業を経由すると労働者の手元へ届かない恐れがあります。

近日中に改正された制度が発表される筈です。その際に改めて追記します。