今日2月3日は節分です。子育て世帯に気をつけて欲しいのは「節分の豆等を5歳以下の子供に食べさせない」という事です。毎年の様に死者が発生しています。

消費者庁「節分の豆等は5歳以下の子供に絶対食べさせないで、大変危険」

ちょうど3年前となる2020年2月3日には、松江認定こども園で行われた節分の豆まき中に園児が死亡する痛ましい事故が発生しました。事故の概要や経緯等を記した報告書が松江市ウェブサイトに掲載されています(※グーグル検索では旧サイトが表示され、リンク切れとなっています)。

教育・保育施設等における重大事故の再発防止について(松江市)
https://www.city.matsue.lg.jp/kosodate_kyoiku/kosodateshien/7/2/6720.html

【概要版】

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【全文】

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死因は窒息死でした。気道下部に豆がありました。

3.事故の概要
令和 2 年 2 月 3 日、市内保育所型認定こども園において、当時 4 歳 4 か月の男児(以下「本児」という。)が節分行事中に意識不明の状態になり、救急搬送された医療機関で当日死亡が確認された。死体検案書の直接死因は「窒息死」、原因は「気道閉塞」であり、気道下部に豆があったことを本児保護者からの聞き取りにより確認した。

児童が豆を飲み込んだタイミングは不明のままです。報告書では(1)行事の最初に豆を食べた、(2)豆まき中に何らかの拍子で豆が口内に入り込んだという可能性を指摘しています。

節分行事のどのタイミングで豆が気道に入ってしまったのかは明らかになっていない。可能性として考えられる原因は「節分行事の最初に炒り大豆を食べたこと」もしくは「節分行事に炒り大豆をまくことにより、何かの拍子に豆が子どもの口内に入りこんだこと」である。

大人でも同じですが、食事した直後に激しい運動をするのは非常に危険です。食べたものを戻してしまったり、飲み込んでしまう事もあります。ましてや子供、更には固い豆なら尚更です。豆まき中に拾った豆を飲み込んでも同じです。

前者の場合、誤嚥を起こしやすい食品を喫食したのちに激しい動きなどをすることは非常に危険であるといえる。後者の場合、その危険性を保育現場や保育士も十分認識した上で、豆の代わりに丸めた新聞紙をまくなど行事の進め方を計画・実施する必要があると思われる。

ここでいう「激しい動き」とは、節分行事として行われた鬼が園児に襲いかかり、何人かを連れ去ろうとした演出です。死亡した園児は泣きながら身体を大きくよじり、手を振り切って逃げました。

〇遊戯室へ赤鬼、青鬼、園長が入った。
〇3 歳児クラスの園児は、布団庫前にかたまるように集まっていた。
〇赤鬼、青鬼役の保育士は何人かの園児を連れ去ろうとする演出を行い、本児に対しても連れ去ろうとした。本児は、写真によるとこのとき泣きながら体を大きくよじるようにしていた。
〇本児は手を振り切って逃げた。

全力で鬼から逃れ様としたのでしょう。4歳児の力は強いです。大人が手加減していると、持って行かれるほどの力があります。大きな声で泣き叫んでおり、豆が気道に入りやすい状態だったと言えます。

この直後、園児はしゃがみ込み、手足をバタバタとさせました。顔は青白く、唇は紫色となり、呼びかけに応じず、呼吸もありませんでした。

〇本児は布団庫の前にしゃがみ込み、他の子どもたちの集団から外れ前の方へ出て、床にうつぶせに倒れ、手で床をバンバンと 5 回程度たたく様子が見られた。「手足をバタバタさせていた」という保育士もいた。
〇本児は、その後仰向けになり、顔は青白く、唇は紫色で呼びかけにも答えなかった。
〇主任が確認すると顔は青白く、唇は紫色で呼びかけにも答えなかった。
〇意識も呼吸もないため看護師が心臓マッサージと人工呼吸を施した。
〇AED を装着したが除細動の適応とならなかった。

豆を園児に渡したのは10時頃、鬼が登場したのは10時45分頃、園児に異変を確認したのは10時49分頃、病院で死亡が宣告されたのは12時3分でした。わずか2時間、あっという間の出来事でした。保護者や関係者のショックは計り知れません。

報告書では本件事故における課題が指摘されています。(1)節分行事に豆を使用する事の危険性、(2)節分行事の目的や進め方、(3)行事中の見守り不足、(4)本人の特性(豆が嫌い、嫌いな食べ物は飲み込む癖があった)です。

子育て中の保護者としては、ただ「子供に固い豆を食べさせない」に尽きます。たとえ(2)(3)(4)に一定の問題があったとして、固い豆さえ食べていなければ命を落とす事はなかったでしょう。

節分の豆まきは日本の風習です。が、時代にそぐわない風習は形を変えたり、または廃れるのもやむを得ません。恵方巻きを食べる風習が年々広がっているのもその裏返しかもしれません。