1月下旬から物議を醸していた「保育園児へのマスク着用問題」がようやく決着しました。

新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和4年2月10日変更)(ルールブック)に追記されました。

発育状況等からマスクの着用が無理なく可能と判断される児童については、可能な範囲で、一時的に、マスク着用を奨める。ただし、2歳未満児のマスク着用は奨めず、低年齢児については特に慎重に対応する。

マスクを着用する場合には、息苦しくないか、嘔吐していないかなどの子どもの体調変化に十分注意するほか、本人の調子が悪い場合などは無理して着用させる必要はないこと。さらに、一律に着用を求めたり、児童や保護者の意図に反して実質的に無理強いすることにならないよう、現場に対して留意点を丁寧に周知し、適切な運用につなげる。

https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20220210.pdf

鳥取県の平井知事が打ち出した「2歳以上の園児にマスク着用を」という意見からは大幅に後退しています。「一時的」「奨める」「慎重に対応する」「十分注意する」「一律」「実質的に無理強い」「適切な運用」など、自治体や保育現場の一方的な判断に釘を刺す文言が溢れています。

対処方針へ追記される前から、多くの保育所等ではマスク着用問題に直面しています。着用を一律推奨する園もあれば、していない園もあります。朝日新聞が様々な保育所等の事例を取り上げています。

保育園児のマスク着用 模索続く現場 「発達への影響」危惧する声も
https://digital.asahi.com/articles/ASQ2C4QXXQ2BUTIL022.html

多くの保育所等や保護者から寄せられた声に基づくと、マスク着用による感染予防に対する効果を疑う声はありません。課題は健康や発達への悪影響、そしてマスク着用を徹底する事の難しさにあります。

自宅の近くにある保育所等や幼稚園ははこの様な様子です。

【A保育所】
一律の着用推奨は行っていない。着用させたい家庭(3歳児以上)は園に連絡してから着用している。

【Bこども園】
3歳児以上は着用推奨(強要等はしない)、2歳児以下は着用不推奨。

【C小規模保育園】
着用しない(2歳児以下しか在籍していない)

【D幼稚園】
園内も登降園もマスク着用を原則とする。

【E幼稚園】
園内はマスク着用が原則、園外では求めない。

限られたサンプルとなりますが、幼稚園はマスク着用を求める傾向が強く、保育所は緩い傾向にあると感じています。在園時間が短い教育の場である幼稚園と、在園時間が長くて福祉・生活の場である保育所等との性質の違いが現れています。

2-3歳児は難しい、4-5歳児が現実的?

私自身としては、2-3歳児にマスクを着用させる自信は全くありません。イヤイヤ期の真っ最中、靴を履く事すら嫌がる日もあります。マスクを着用させても数秒後には泥まみれになります。

この年齢の児童は未だオムツは外れていません(外れたのは満3歳になるかならないかの頃でした)。オムツを外す前にマスクを着用させるのでしょうか。

2歳児以上のマスク着用を求めた平井知事や後藤厚労相の発言から、「この2人は小さな子供と身近に接し、子育てした経験がない」と受け取りました。

着用を現実的に推奨できるのは4-5歳児(年長・年中クラス)です。5歳児は4月から小学校へ進学します。小学校は原則として常にマスクを着用します。小学校生活の準備段階の一つとして、園内でもマスク着用を推奨するのは現実的でしょう。

なお、昨年4月に入学した新1年生は、入学直後から概ね適切にマスクを着用できていました。中には鼻を出したり口が半分見えている子もいましたが、徐々に減っていきました。入学前からマスクを着用する指導を園や家庭で受けていたのでしょう。

発育によって差があるでしょうが、多くの4歳児もマスクが着用できると感じています。身の回りの事の大半は自分1人で出来る様になる年齢です。拾った他人のマスクを着用する事も考えにくいです。

ただ、園で皆が同じ不織布マスクを着用していた場合、どれが自分のか分からなくなってしまいそうです。名前を書いても、4歳児は読むのが難しいです。2-3歳児は尚更です。

どの年齢からマスク着用を推奨するか、どの程度の強さで奨めるかは、園によって差があるでしょう。オミクロン株の流行具合、子供の発育、園の施設や環境等が大きく違う以上、異なった対応となるのは当然です。

体調不良時は休む、親がハイリスク行動を避ける、学生は部活停止を

それよりも重要なのは、子供の体調が良くなければ早めに休ませる、そして保護者が感染予防に注意する事です。保育園クラスターが多発しているとは言え、その発端の多くは「家庭内感染」です。会食等に参加した両親から子供が感染し、それを園内で広めています。

オミクロン株の流行はまだまだ続きます。大阪府は緊急事態宣言の発出が取りざたされています。3連休中も大阪府と政府との間で様々な調整が行われている筈です。

発出されてもされなくても、府内の学校や保育所等に対する要請(事実上の締め付け)は強くなると見ています。家庭保育の要請地域の拡大、部活動の制限強化あたりが焦点になりそうです。

どれぐらいの園児がマスクを着用するか、明日以降は注意深く見てみます。